木製樽の代表、吉野杉樽つくりの基本は外側の吉野杉の榑(くれ)を円形に並べた時の内周と、同じく吉野杉を竹釘で継いだ底と蓋(ふた)の外周が一致している事です。
写真の木製樽では榑(側材)の内周が蓋(ふた)の外周を上回っているので、榑の木目が押しつぶされて原型をとどめておりません。
これは、木製樽の箍(たが)締めに機械を使うので可能な状態で、昔のように手で締めていた時代ではあり得ななかった事です。
こんな風になっても、吉野杉特有のしなやかさが樽づくりの技術を補ってくれます。
写真のように蓋より側の方が多い木製樽の状態を「ほりこみ加減』
又、逆に蓋が側全体より少ない木製樽の状態を「はり加減」と言います。
いずれにしても、手作り木製樽の製作過程で最も重要な点は、この吉野杉の材料の幅の加減です。
「いい加減」に作ると洩れの原因になったり、杉材が折れたりしてしまいます。
「杉樽は及ばざるが如し」の語源は、ここから来ているだと思い込んでおりましたが、
実際は孔子の言葉らしく、
木製樽などの物作りだけではなく、誰もがいつも心がけておらねばならい事には違いありません。
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