木製樽に使う吉野杉は木目に沿って割ります。
鋸(のこぎり)という道具は木目を無視するので、酒樽屋では殆ど使いません。
木目を無視すると「洩れ」の原因になります。
酒樽屋の親方の現場の仕事は木の目を読むことです。
職人達は親方の見落とした見落とした材料を作業中に発見すると得意がって作業台から投げ捨てます。
いくら厳選しても、箍(たが)の力が強すぎたり、肉眼では見えない欠品を見落とすと、
木製樽製作は失敗です。
漬物樽や味噌樽のように蓋(ふた)のない木製樽は箍(たが)の力を支える部分がないので、
写真のように「目回り」といって、木目が割れ易い傾向にあります。
こんな状態になった木製樽を「どさ」と呼んでおります。
『どさ』とは佐渡(さど)の倒置語で、江戸時代に賭博で捕まると佐渡へ島流しになったことから、賭場に役人が踏み込むことを『どさ』と呼びました。
一旦島流しになると中々戻ることは出来ない事に比して元に戻しにくい木製樽の事を昔の職人達は「どさ」と呼んだのではないかと思われます。
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