2008年1月25日
酒樽屋の「お八つ」其の拾壱
京都の親戚から頂いた上七軒の「老松」の「蓮根餅」
「お八つ」の下に見えるものは酒樽(さかだる)用の箍(タガ)を巻くために竹を割ったもの。
蓮根のでんぷんを寒天で固めたものです。
昔から、茶席菓子として、盂蘭盆会や夏の追善の茶席菓子として作っていた菓子。
現当主が、十年程前に中国・浙江省(長江下流域)にて茶摘みをした折、美味しい蓮粉(蓮根のでんぷん)を見い出して作ったのが始まりです。
浙江省の西湖は山紫水明の地として知られ、西湖十景がとりわけ有名です。
三方を丘陵に囲まれ蘇東坡や白居易の名に因む堤を配した景勝古跡にも富んだ美しい湖です。
浙江省と日本には、文化的な共通点が多くあります。特に食べ物の類似は多く、共通の言葉もあります。
この蓮根餅、彼の地を訪れた栄西や道元も食べたかもしれません。
中国の「餅」表記は、米の餅ではありません。中国では、米のモチが「糠(コウ)」、米以外のモチが「餅(ピン)」と呼ばれます。「蓮根餅」は、蓮根のモチ。米のモチではないので、「餅」と呼びます。
夏なら「夏柑糖」がお奨めです。
住所:京都市上京区北野上七軒
電話:075-463-3050 FAX:075-463-3051
2008年1月21日
海を渡った「たるや竹十」の酒樽
このごろ、酒樽を使って鏡開きをしたいという依頼が海外からよくあります。
昨年は、ロンドンへ結婚式の披露宴用に酒樽をお送りしたのですが、
今度はアメリカのノースカロライナ州から現地で催す新年会に酒樽のよる鏡開きをしたいので四斗樽(72リットル)を手に入れたいとの相談がありました。
ロンドンに送ったのは一斗樽(18リットル)だったのですけれど、今度は100人以上が参加する催しなので大きな酒樽でないと迫力が出ません。
ところが、航空便の運賃は三辺の合計が160センチを超えると酒樽の価格をはるかに上回ります。
そこで、今回は上から見ると四斗樽(72リットル)ですが、36リットル入りに底上げして、更に下の部分を切り取ってしまうという、かつて無い手法をとりました。
これを更に段ボール梱包しないと海外輸送は受け付けてくれないので、サイズ合わせに少々苦労しましたが、その甲斐あってか樽酒(中身はカリフォルニア米の吟醸の由)はさすがに美味しい、と現地の方々にもたいそう気に入ってもらえたそうです。
吉野杉の酒樽に清酒を入れておくと酒の味がまろやかになって、口当たりが良くなっていきます。
皆さん、最初は菰樽を依頼されてこられるのですけれど、菰(こも)は植物検疫により殆どの国で通関出来ません。
仕方なくビニール菰を使うのですが、これほど味気ないものはありません。
菰(こも)はあくまで輸送中における酒樽のための保護材。
酒樽が届いたら、菰を解いて裸の樽を出し、杉の木目と結い竹の美しさを楽しんで頂きたいものです。
写真のように正面に好みの文字を和紙に墨書きして貼れば酒樽が引き締まります。
この酒樽は トライアングル地区日本企業商工会(TJBA)から、この合同新年会に寄付されたものだそうです。
「米国ノースカロライナ州トライアングル地区日本関連団体合同新年会」
会場はダーラム市デューク大学内デュークガーデン
この日の様子は地元の新聞The News & Observer紙に「餅つき」や「おせち」と共に紹介されました。
日本以上に日本古来の伝統的な風習に則った新年会だったようで、世話をされた方々は さぞ大変だった事だろうと、その苦労が偲ばれます。
2008年1月20日
樽丸(たるまる)製作技術が文化財に指定された
写真・文化庁
酒樽に使う材料である吉野地方の樽丸(たるまる)の製作技術が一月十八日に重要無形民俗文化財に指定されました。
二紙に詳しいので記事を紹介しておきます。
奈良県吉野地方で伝承されている樽丸(たるまる)の製作技術について、国の文化審議会は18日、重要無形民俗文化財に指定するよう答申した。吉野杉の特性を生かしながら酒樽の用材を作る貴重な加工技術で、芸能ではなく伝統的な製作技術が重要無形民俗文化財に指定されるのは、県内では初めての例となる。
産経ニュースより 2008年1月19日
樽丸は、側板を作り、それらを丸めて竹の輪などで一定量束ねた用材。吉野地方では江戸時代中期に、兵庫県の灘や伊丹などで使われる酒樽のために製作が始まった。きめ細かな年輪と香りを持つ吉野杉の特徴を生かし、最盛期の江戸時代後期~明治時代には吉野林業を代表する生産品となり、割りばしの製作技術も派生したという。
現在は「吉野の樽丸製作技術保存会」(栗山晴昇会長)の職人14人が技術を伝える。木材を割ったり削ったりする基本的な技術だが、6つに分かれる工程では、木材の特性を知る熟練した技が求められるという
国の文化審議会は18日、吉野川の上流地域に伝わる「吉野の樽丸(たるまる)製作技術」を、重要無形民俗文化財として指定するよう文部科学大臣に答申した。県内の同文化財は6件目となる。
「樽丸」は、吉野杉から作った「クレ」と呼ばれる酒だるの側面の板を、運搬のために竹の輪の中に詰め込んだ束のこと。
江戸時代中期に始まったとされ、きめ細かな年輪と香りの良さが好まれ、酒造が盛んだった灘や伊丹などに向け出荷されていた。吉野の林業そのものが「樽丸林業」と呼ばれていた時期もある。林産加工技術としての重要さが評価された。
現在も川上村、吉野町、黒滝村、下市町で受け継がれ、地元の「吉野の樽丸製作技術保存会」が保護、継承に努めている。【花澤茂人】
毎日新聞(奈良版)より 2008年1月19日
数年前に樽丸を作る道具が文化財に指定された事に次ぐものですが、これらを使う酒樽の存在を忘れているようなので、「樽丸製作技術保存会」でも酒樽の製作技術についても目を向けてくれるように文化庁に懇願するそうです。
酒樽に使う材料である吉野地方の樽丸(たるまる)の製作技術が一月十八日に重要無形民俗文化財に指定されました。
二紙に詳しいので記事を紹介しておきます。
奈良県吉野地方で伝承されている樽丸(たるまる)の製作技術について、国の文化審議会は18日、重要無形民俗文化財に指定するよう答申した。吉野杉の特性を生かしながら酒樽の用材を作る貴重な加工技術で、芸能ではなく伝統的な製作技術が重要無形民俗文化財に指定されるのは、県内では初めての例となる。
産経ニュースより 2008年1月19日
樽丸は、側板を作り、それらを丸めて竹の輪などで一定量束ねた用材。吉野地方では江戸時代中期に、兵庫県の灘や伊丹などで使われる酒樽のために製作が始まった。きめ細かな年輪と香りを持つ吉野杉の特徴を生かし、最盛期の江戸時代後期~明治時代には吉野林業を代表する生産品となり、割りばしの製作技術も派生したという。
現在は「吉野の樽丸製作技術保存会」(栗山晴昇会長)の職人14人が技術を伝える。木材を割ったり削ったりする基本的な技術だが、6つに分かれる工程では、木材の特性を知る熟練した技が求められるという
国の文化審議会は18日、吉野川の上流地域に伝わる「吉野の樽丸(たるまる)製作技術」を、重要無形民俗文化財として指定するよう文部科学大臣に答申した。県内の同文化財は6件目となる。
「樽丸」は、吉野杉から作った「クレ」と呼ばれる酒だるの側面の板を、運搬のために竹の輪の中に詰め込んだ束のこと。
江戸時代中期に始まったとされ、きめ細かな年輪と香りの良さが好まれ、酒造が盛んだった灘や伊丹などに向け出荷されていた。吉野の林業そのものが「樽丸林業」と呼ばれていた時期もある。林産加工技術としての重要さが評価された。
現在も川上村、吉野町、黒滝村、下市町で受け継がれ、地元の「吉野の樽丸製作技術保存会」が保護、継承に努めている。【花澤茂人】
毎日新聞(奈良版)より 2008年1月19日
数年前に樽丸を作る道具が文化財に指定された事に次ぐものですが、これらを使う酒樽の存在を忘れているようなので、「樽丸製作技術保存会」でも酒樽の製作技術についても目を向けてくれるように文化庁に懇願するそうです。
2008年1月15日
酒樽屋(さかだるや)の御年賀
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