2008年10月31日
爆発寸前の漬物樽(だる)
これは、日本ではなく北フランスの光景です。
どこの国でも木樽は年々減って来て石油を原料とした化学物質製の容器が99%を占めるようになりました。
この容器は草入れに使っていますが、余りに大量に入れたためと経年による劣化のために
側面が割れて来ております。ますます亀裂は広がって、爆発するのは時間の問題でしょう。
こういった人工樹脂による容器は安価で扱いも簡単なので1970年頃から急速に普及した事は皆さんの家の中にある各種容器をご覧になればお判りかと思います。
ただ、その反面、どの町にもあった桶屋さんが壊滅状態になり、樽屋も需要が激減しました。
また外材に押されて内材が売れないものですから日本の森林も手入れをしないものですから、
荒れ放題になってしまいました。
竹もしかりです。
今頃になって、昔の方がよかったから元に戻せと言われても、手遅れです。
職人もいなくなり、技術の伝承もされることなく消えてしまいました。
「たるや竹十」では、古い資料を参考にして昔の製法を復元し、材料は各地の業者の協力のもとに良質の木樽を作るよう心がけております。
2008年10月29日
酒樽屋を撮るアマチュアカメラマンとウーマン
2008年10月27日
酒樽屋のお八つ 其の貳拾肆
2008年10月26日
新潟の樽太鼓(たるだいこ)
秋祭りにおける樽太鼓の極めつけは、やはり「にいがた総おどり」でしょう。
かつて農民たちが三日三晩、樽太鼓を叩き下駄を鳴らして踊り続けたという祭りを
地元の若い有志たちと企業の協賛を得て復活させ、動画の中心で樽太鼓を叩いている永島鼓山先生の指導の元、祭り好きの若い男女の共鳴をバックに今や新潟を代表する祭りに発展しました。
たるや竹十へもメンバーの一人佐藤さんがわざわざ訪ねて来てくれて、強いバチにも耐えられる特殊な樽太鼓を何種も試作し、現在の新潟専用強化型樽太鼓が完成しました。
来年こそ、この祭りに参加するつもりでおります。
水の新潟〜〜〜〜〜〜〜〜
末は万代ばんだい はしゃ長い はしゃ長い
とんとと たたけよ 樽たる砧 きぬた 港にお船が よってきた
(サアサ ハラショ ハラショノロンロン) 北原白秋作詞「新潟小唄」
新潟樽きぬた ~明和義人口伝~ という本が出たというので、昨年早速注文しましたが、
残念ながら、内容は「祭り」から少し外れていました。
2008年10月24日
金比羅山に酒樽を発送する
四国の金比羅宮の祭に「流し樽」という儀式があります。
宮本昌孝氏の「こんぴら樽」という小説の冒頭で簡略に説明されているので紹介します。
「こんぴら樽(だる)」。
流し樽、流し初穂ともいう。
金比羅参りをしたくとも、自分では参詣出来ない者が[奉納金比羅大権現]の旗を立てた
空き樽に初穂料を入れて、これを海に流すという習わしである。
俗謡にいう。
沖のかもめか こんぴら樽か
今もゆらゆら 波の上
こんぴら樽を拾った者は、金比羅宮へ代参して、これを奉納しなければならぬ。」
講談社 1995年初版 後に改題して文庫化 初出同年刊「季刊歴史ピープル」初夏号
「りや女の仇討ち」を改題
今では、地元の各企業が祭に協賛して各社の旗を酒樽に付け、
海には流さず直接、金比羅宮に奉納するようです。
一空樽(一度酒樽に使った古樽)が現在は入手し難くなって来たので、
樽屋に新しい酒樽の注文が入ります。
奉納する酒樽ですから、普段より襟を正し、材料も心持ち良いものを吟味して作ります。
写真は昨年、若冲と応挙の展覧会を観に行った折に最上段まで登って撮影したもの。
因に酒樽の中でも上段左の縄の架かっていない物は本当に酒樽として使われた「一空樽」で
「たるや竹十」製ではありません。
全ての酒樽には三ツ輪掛けという特殊な縛り方の縄を掛けて奉納します。
2008年10月23日
酒樽屋の前を神輿が通る
まことにローカルな町内の話です。
秋祭りの季節です。
「たるや竹十」の前で町内の神輿が御祓の儀を執り行なってくれました。
樽屋の前には、いつも出荷待ちの酒樽や漬物樽がたくさん並んでいるのですが、
この日は日曜日、酒樽類を全て片付けてしまっていたので、慌ててひとつだけ樽太鼓を店内から
出して来ました。
樽太鼓だけではなくて、酒樽も出しておけばよかったと後悔するも
来年から、祭り前のは きちんと店舗前も掃除しておこう。
神輿を担ぐのは知った顔ばかり。
酒樽屋の主人も、この祭りに参加したいのですが全国各地で同時期に秋祭りや秋の音楽会が続き、それに使う酒樽や樽太鼓の製作に夜なべが続く時期ですので練習に出る時間がとれないのです。
酒樽屋の蟲養ひ 其之玖
虫養ひには少々、量が多いかも知れませんが、大阪高麗橋のすし萬の詰め合わせです。
もちろん名物「雀鮨」も入っています。
雀鮨に限ってだと記憶しますが、今でも薪を使い竃(かまど)で米を炊いている所が、
どこか「たるや竹十」と共通する気がします。
頑固という事とは違うのです。そうしないと美味しいものを作る事が出来ないのでしょう。
創業から300年以上、同じ製法を続けておられるようです。
雀鮨は小さな木桶に入って販売されています。
2008年10月21日
大桶における杉と竹の妙
2008年10月20日
笑う酒樽(さかだる)
それこそ江戸川乱歩の新発見小説のタイトルのようですが、
酒樽(さかだる)は怒ることはありませんが、笑うことは稀にあります。
正確には竹の箍(タガ)が笑うのです。
細長い割竹を丸く巻く時にどうしても、自然の形に逆らって巻く訳ですから
決まった位置に竹が入らず、一部飛び出してしまった状態になることもあります。
これを見落として酒樽(さかだる)にしてしまった場合、職人たちの間では「酒樽(さかだる)が笑っている」と言います。
実際に職人の間では恥ずかしいことなので、職人が実際に笑う訳ではありませんが、
作った方の職人は自分の技量を笑われている気分になります。
勿論、「たるや竹十」としては商品にならないわけですから、箍(タガ)の工程は一から作り直し出荷します。
「わらう」には「咲う」という書き方もあり、つぼみが開いたり実が熟して皮が裂けることや、縫い目がほころびる意味になります。
「樽がわらう」という場合は、こちらの意味の方が近いかも知れません。
ほっこんとわろうて栗の落ちにけり(尤草子)
樽酒(たるざけ)売り切れる。酒樽屋は忙しい
2008年10月19日
毛糸屋が酒樽屋に届けて下さった京漬物
京都に住む古い友人でニット作家の山田さきこさんが二条の加藤順漬物店の千枚漬、志ば漬、そして筍の漬物をお土産に遊びに来ました。
木製の漬物樽(つけものだる)を使っているかどうかは知りませんが、まことに美味でしたので、きっと杉樽(すぎだる)を使っていると想像されます。
加藤順漬物店案内 曰く、『昔のお漬物は、塩蔵して永く保存し、
月日の経つにつれて自然に塩分の濃度により、
醗酵して味がつきました。その味を大切にしながら、
うす味で種々の野菜に味を加えるようになったのが現在の京漬物です。
「関西に行ったら、京都でのおみやげとお食事はお漬物で」と
ご指名される方が大変多くなって参りました。食べておいしい、見て美しい京のお漬物の中で
最もしたしまれていますのが、千枚漬けをはじめ、菜の花漬け、志ば漬、すぐき、日の菜漬等です。
特に製法は、弊店独特のなつかしい京の味を心ゆくまで楽しんでいただけます様吟味しております。
季節ごとに風味と風格を示す、京のお漬物をどうぞ心ゆくまでご賞味下さい。』
ちりめん菜の花漬が有名です。
加藤順漬物店
京都市左京区二条大橋東三筋目北側
電話 075-771-2302
2008年10月17日
酒樽屋の道具 其の漆
酒樽屋がつくる味噌樽(みそだる)
2008年10月13日
大桶の中に棲みたかった人
大きな樽(正確には桶の範疇になるのですが)を茶室にしたりする人はよくいますが、その中に棲んでみようと思う人は余りおりません。
小説家の佐藤春夫は、この事を具体的に考えていて、九尺桶(高さ約3m)を知り合いの蔵元から入手する手配をしていたと語っております。
探偵小説雑誌「宝石」の昭和32年10月号に当時主幹だった城昌幸(城左門)の計らいで、編集に参加していた江戸川乱歩と鼎談しております。
一般的に大桶をそのような目的に使う場合は縦置きににするのですが、他人と同じ事をするのが嫌いな佐藤春夫は四坪ほどの敷地に桶を横置きにして、中に床を張り窓を開け片方にソファーベッドを、反対側はフリースペースにするというレイアウトを城昌幸と乱歩に語っております。
決して民芸調にならないように注意して洋風に仕立てたかったようで、設置する場所も山里などではなく、都会の真ん中を物色していました。
母屋から毎日、パンと水とチーズを運ばせるという我がままも考えていました。
眠れない夜の為に望遠鏡を備えておき、高台から街を眺めて夜の慰みにするという趣向です。
その庵には、もう「犬儒亭」と命名されていた程、本気だったようです。
名前は勿論、ギリシャの哲学者Diogenesディオゲネスに因んでいます。
ディオゲネスこそ酒樽の中に棲んでいたことで有名ですが、彼の生きた紀元前400〜300年には未だ今のような木製の酒樽は洋樽においても存在していなかった筈で、実際には酒を入れていたカメか大壷の中で暮らしていたはずです。
結局、佐藤春夫は都心に そのような贅沢な土地を入手できず、犬儒亭プロジェクトは頓挫しました。
何より大桶には酒樽(さかだる)と違って嵌め込みの蓋(ふた)がありませんから、佐藤春夫が望んでいた密室を作ろうと思えば、蓋(ふた)を打ち付けるかどうかして加工しなければなりません。
この鼎談は後年、講談社から「江戸川乱歩推理文庫 第64巻 書簡 対談 座談」に再録されましたが、この文庫本も絶版で入手困難。再販が望まれます。
神戸酒心館にて
2008年10月12日
酒樽屋は必ず海辺にある筈
2008年10月9日
漬物の樽(たる)が必要な季節です
2008年10月8日
2008年10月7日
大きな樽(タル)の大きな輪
これは樽(タル)用ではなく、桶(オケ)用です。
三尺桶の組輪です。
大きな方の直径が4尺6寸(約140センチ)、細い方で3尺6寸(約110センチ)もあります。
古い桶から輪替えのために外したので、色が褪せています。
一緒に写っている青くて小さい輪は6尺(約18センチ)輪ですから、醸造用の桶がいかに大きい物か判るでしょう。
更に大きな直径7尺6寸(約230センチ)程のものもありますし、手のひらに乗る程小さい桶には当然もっと径の小さい箍(タガ)が入ります。
そのような小型のものを「源氏もの」と呼びます。
いずれも樽屋ではなく、桶師の仕事です。
桶(オケ)では箍(タガ)の組み方が「組輪(くみわ)」と言う、酒だるには使わない複雑で幾分装飾的なものをしばしば使います。
樽(タル)の箍(タガ)より肉薄の竹を二本や三本を結っていく全く違った巻き方をします。
桶(オケ)の場合は本体自体で独立していて、もし箍(タガ)が外れても分解することはありませんから多少、飾りのような要素もありますけれど、樽(タル)の場合は肉厚の丈夫な箍(タガ)が本体を支えているので、箍(タガ)が外れると樽(タル)はバラバラになってしまいます。
風が吹いたら儲かるのは、実は桶屋ではなく、樽屋の筈なのですが、
ここのところ、風の強い日が続いているのに、樽屋が少しも儲からないのは何故でしょう。
2008年10月5日
丸い物は酒樽の蓋(ふた)だけではない
日がな一日、手足のかわくひまもなく、丸いものを触って暮らしております。
酒樽の蓋(ふた)、漬物樽の底や押し蓋、味噌樽の上蓋(ふた)、樽太鼓の蓋(ふた)、原木の杉の断面や加工された樽丸(たるまる)、原竹の切り口から天星や駄細(だぼ)と呼ばれる木栓類に到るまで木樽をつくる作業にとって丸くするという行為は避けて通ることは出来ないのです。
出来上がった木樽は上から見ても下から見ても丸いものですし、側面も均等に丸みを帯びていなければなりません。
そんな訳からか町に出ても何故か丸いものを見ると気にかかります。
「ピッツァ」です。
日本でも最近は「ピッツェリア」と称す、「ピッツァ」を食べさせる店が増え、「お好み焼」同様に手軽に食すことが出来るようになりました。
写真のピッツァは「プローヴォラ カプリチョーザ ビアンカ」Provola Capriccioza Bianca
水牛の乳でつくられたモッツァレーラたっぷりの、名の通りトマトソースの入っていない白いピッツァです。
トム ウエイツの[GRAPEFRIT MOON]新盤
やっぱり、処女作アサイラムレコード盤の方が場末の雰囲気がたっぷりです。
デヴューから、もう25年経ちました。
前菜です。
右の一番向こう側に見えているものは Napoli Zeppoliniという祭りの時などに食べる揚げ物です。海苔が入っていて日本人も好みの風味。
店の壁面にはポンテ ベッキオの山根大介さんが molto buono ! と賞讃する落書きがありました。
PIZZERIA AZZURRI ピッツェリア・アズーリ
神戸市中央区山本通3−7−3ユートピアトーア1F
078-241-6036
12:00-15:00 17:30~22:00
木曜定休
酒樽の蓋(ふた)、漬物樽の底や押し蓋、味噌樽の上蓋(ふた)、樽太鼓の蓋(ふた)、原木の杉の断面や加工された樽丸(たるまる)、原竹の切り口から天星や駄細(だぼ)と呼ばれる木栓類に到るまで木樽をつくる作業にとって丸くするという行為は避けて通ることは出来ないのです。
出来上がった木樽は上から見ても下から見ても丸いものですし、側面も均等に丸みを帯びていなければなりません。
そんな訳からか町に出ても何故か丸いものを見ると気にかかります。
「ピッツァ」です。
日本でも最近は「ピッツェリア」と称す、「ピッツァ」を食べさせる店が増え、「お好み焼」同様に手軽に食すことが出来るようになりました。
写真のピッツァは「プローヴォラ カプリチョーザ ビアンカ」Provola Capriccioza Bianca
水牛の乳でつくられたモッツァレーラたっぷりの、名の通りトマトソースの入っていない白いピッツァです。
トム ウエイツの[GRAPEFRIT MOON]新盤
やっぱり、処女作アサイラムレコード盤の方が場末の雰囲気がたっぷりです。
デヴューから、もう25年経ちました。
前菜です。
右の一番向こう側に見えているものは Napoli Zeppoliniという祭りの時などに食べる揚げ物です。海苔が入っていて日本人も好みの風味。
店の壁面にはポンテ ベッキオの山根大介さんが molto buono ! と賞讃する落書きがありました。
PIZZERIA AZZURRI ピッツェリア・アズーリ
神戸市中央区山本通3−7−3ユートピアトーア1F
078-241-6036
12:00-15:00 17:30~22:00
木曜定休
酒樽を出荷する 酒だるは案外重いのです
2008年10月4日
酒樽屋 おでん屋さんに酒樽を届ける
2008年10月2日
「赤い風船」または「純粋な心臓」
© Copyright Films Montsouris 1956
赤い空の次は赤い風船です。
酒樽屋の女房は、この映画が大変お気に入りで,この夏 早起きして映画館に出掛けて行きました。
樽屋の親方は未だ劇場では観ておりません。
樽(たる)にも「赤い樽」と「白い樽」の二種があるのですが,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
パスカル少年のような純潔な心の持ち主だけが「そら」に上って行くことが出来るのでしょうし、上って行かざるを得ないのでしょう。
LE BALOON ROUGE全編
かつて、「すばらしき風船旅行」と共にVHSがあったのですが、今は廃盤。
フランス版は25€で「白い馬」とカップリングして発売中ですけれど、
今年の12月12日には、日本版もデジタルニューマスターでリリース予定,もう少し我慢しましょう。
こちらは特典ディスク:ドキュメンタリー「僕のお父さんは風船だった」51分 『白い馬』の少年のポートレイト43分、ピクチャーブック、5枚組ポストカードセット、『赤い風船』コマフィルムと豪華おまけ付きですから。
��0年代ならではのシィトローエン11CVやマファックのセンタープルブレーキを装着したロードレーサー、後部屋根なしバス等が古き良き時代のパリ風景を彩っています。
風船を持った少年が、そのバスに乗車を拒否されるシーンが大切な何かを象徴しています。
サイドバーの赤い風船をクリックして下さい
赤い空の次は赤い風船です。
酒樽屋の女房は、この映画が大変お気に入りで,この夏 早起きして映画館に出掛けて行きました。
樽屋の親方は未だ劇場では観ておりません。
樽(たる)にも「赤い樽」と「白い樽」の二種があるのですが,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
パスカル少年のような純潔な心の持ち主だけが「そら」に上って行くことが出来るのでしょうし、上って行かざるを得ないのでしょう。
LE BALOON ROUGE全編
かつて、「すばらしき風船旅行」と共にVHSがあったのですが、今は廃盤。
フランス版は25€で「白い馬」とカップリングして発売中ですけれど、
今年の12月12日には、日本版もデジタルニューマスターでリリース予定,もう少し我慢しましょう。
こちらは特典ディスク:ドキュメンタリー「僕のお父さんは風船だった」51分 『白い馬』の少年のポートレイト43分、ピクチャーブック、5枚組ポストカードセット、『赤い風船』コマフィルムと豪華おまけ付きですから。
��0年代ならではのシィトローエン11CVやマファックのセンタープルブレーキを装着したロードレーサー、後部屋根なしバス等が古き良き時代のパリ風景を彩っています。
風船を持った少年が、そのバスに乗車を拒否されるシーンが大切な何かを象徴しています。
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酒樽屋(さかだるや)の秋
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