2011年1月31日

酒樽屋(さかだるや)のお八つ 其の參拾伍

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御存知「ぜんざい」であります。
本当は鏡開きの日に作るつもりだったのが、すっかり遅れましたけれど
鏡開きの餅も残っていたので、本日のお八つは「ぜんざい」です。
材料の小豆は、かつて樽屋竹十の味噌樽(たる)を委託販売してもらっていたFarmの
平野さん自家截培によるものです。

彼が木製味噌樽を使った味噌の作り方を詳しくUPしてくれていて、参考になると思います。
   
      


2011年1月28日

酒樽(さかだる)を作る道具 ささら

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竹がこのような形になった事を「ささら」と呼ぶ説もあれば、
稲穂が触れる音だと言う人もいます。
どちらにせよ、中華鍋を洗う時に使う事で良く知られている道具です。
樽屋(たるや)は、これを箍(たが)の「もとうち」という作業の仕上げに用います。
もっぱら、樽職人の助手が暇な折りに余った竹の株を細く割って作って置きます。

2011年1月27日

大型の味噌樽をつくる

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大型の味噌樽です。

本来、吉野杉でつくる木製の酒樽(さかだる)は四斗樽(72リットル)、二斗樽(36リットル)、一斗樽(18リットル)の三種類だけしか存在せず和樽屋は延々と、
この三種類の和樽(たる)を作っておれば良かったのですけれど、
醤油樽(たる)用として五升樽(9リットル)が必要とされたり、
最近では外見は四斗樽(72リットル)ですが、内部が二重底になっていて容量が36リットルの物、また同様に二斗樽(36リットル)の姿をしているけれど容量は18リットルの二重底樽。
更に、これらの簡易型として樽(たる)の下半分が発泡スチロールで出来た「ハンダルセット」を開発したりして来ましたが、基本的な容量は、一斗、二斗、四斗の三種類だけです。

これに対し最近、要望が多いので三斗樽(たる)という特殊な寸法の和樽(たる)を作る機会が増えました。
これは約54リットルの容量で、元々桶屋さんだけが作る木製容器でした。
写真の物は味噌用に作った物で、酒樽(さかだる)用に作ることは決してありません。

参考までに左に並んでいる味噌樽(たる)は9リットル。味噌樽の「小」です。
それぞれに分厚い蓋(ふた)が落し蓋(ふた)と上蓋(ふた)の二枚が付属します。


2011年1月20日

丈夫になった押し蓋(ふた)

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味噌樽(たる)や漬物樽(たる)の押し蓋(ふた)と上蓋(ふた)を、
分厚くして、尚かつ接着剤を用いず竹釘で継ぐ方式に変更しました。
勿論、材料は本体と同じ吉野杉です。
今までは、柾目の薄い押し蓋を使用しておりましたが、
これでは長い間に蓋(ふた)が反ってしまいます。
板目に変えて、2センチ〜2.5センチ近くまで厚い材料を使うようにしました。
直接、蓋(ふた)が味噌や野菜に触れるので化学的な接着剤も使わない事にしました。

酒樽(さかだる)の底と蓋(ふた)も同様の変更を施しました。
        

2011年1月15日

酒樽(さかだる)の海外発送承ります

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各種木製樽は国内でも北海道や南の離島へ毎日のように発送しておりますが、
月に二三回、木製樽の海外発送依頼があります。
DHLFedExあるいはEMSを利用します。
当然、航空便なので翌日にはヨーロッパ等でも現地に到着しているのですけれど、
通関に何日もかかるのが常なので、早めに発送しなければなりません。
殊に北米行きはテロ対策が厳重な為、税関や保税倉庫に一ヶ月近く放置される事もあるので充分な注意が必要です。
もっぱら、木製樽を海外発送場合は結婚式や新年会等の鏡開きに使用される例が多いので、
期日厳守が原則です。

そして、運賃が本体の木製樽と同じ位か、あるいは上回る事もあります。

2011年1月10日

酒樽屋 中国書画の世界へ

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昨日から京都国立博物館「筆墨精神」なる展覧会が開催中。
村山龍平(号、香雪)と共に朝日新聞の創始者の一人である上野理一氏(有竹齋)のコレクションが中核となっています。
蒐集には常に内藤湖南が監修にあたったので、中国文人の美的感覚に依拠しつつ、
主に明清の書画を中心に系統立て、非常に高いレヴェルの特色あるものとなっています。

上野理一の長男精一氏の妻、故梅子さんは又の名を菊野秋子といい、琴の演者として夙に著名。
子爵九鬼隆義の長女ですから、中島棕隠と姻戚関係にある訳です。

��月20日まで





2011年1月9日

樽屋(たるや)竹十、マンホールの蓋(ふた)になる  

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永らく探していた、「樽屋(たるや)竹十」のマンホールの蓋(ふた)を発見。
偶然ながら、今年の年賀状に使用した図と同じ物でした。
隣町の路地裏にひっそりと......................................................

神戸市水道局から樽屋に何の連絡もありませんでしたけれど。

随分前から、この「樽屋マンホール」の存在は聞いていたのですが、
「酒蔵の道」と名付けられた近所の旧街道にあるものだと信じ込んでいたため、
何年も発見出来ませんでした。
今日は他の用事があって、徒歩にて裏道を通っていて、ようやく出会えました。

取り外して記念に持ち帰る事は出来ません。



2011年1月7日

酒樽屋も(さかだるや)も七草粥(ななくさがゆ)を食す

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春の「七草粥」であります。決して美味とは言えませんけれどが、
四季を彩る、贅沢な朝食のひとつです。

芹(せり)、薺(なずな)御形(ごぎょう)蘩蔞(はこべ)
仏座(ほとけのざ)、菘(すずな)蘿蔔 (すずしろ)の七種。

[春」があれば、『秋」もあるわけで、



「萩」、「尾花」、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)または朝顔(あさがお,今の桔梗?)
この食材で粥は出来ませんね。

「はぎのはな おばな くずはな なでしこのはな
おみなえし また ふじばかま あさがおのはな」 山上億良



正月気分が薄らいだ頃、各スーパーマーケット行けば七種パックで売ってはいますが,............
出来れば、のんびり里山に採りに行きたいものです。

古代中国では一年の邪気を払い、その年の無事を祈ったといわれています。


         椀の芹芳としておとろへず      草城

2011年1月5日

吉野杉と灘の酒樽についての雑誌が復刊

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宮本常一氏監修になる、近畿日本ツーリスト日本観光文化研究所刊行
「あるくみるきく」の210号です。

特集「吉野の木霊」吉野の林業について詳細に、別の250号では、
そこから派生して灘の樽つくりとの関係について、しっかりしたフィールドワークで記述されています。
この冊子は昭和42年〜昭和63年まで全263巻刊行、ほぼ一号一特集に編集されていました。
この2冊は小冊子ゆえ、古書としての入手が困難で岐阜の図書館でのコピーを考えていた矢先、
増補改訂版として復刻されました。元版にない写真も出ていますが、間違いが訂正されていない部分も多々見られます。取材した方が亡くなっていたりするので仕方がありません。
さるにても、このような冊子を再編集して全25巻になり刊行される事は喜ばしい事です。

2011年1月3日

日本の文化に竹は不可欠。杉も又しかり

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竹の清々しい青さは新年には何より合い相応しいものです。

歳寒三友は「山水」「松竹」「琴酒」
歳寒二雅が「「梅」と「竹」

竹が無ければ新年が迎えられない様に。竹が無ければ木樽(たる)をつくる事も出来ません。




2011年1月2日

酒樽屋(さかだるや)年に一度の休暇

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酒樽屋(さかだるや)も人並みに正月を迎えます。
昨年は忙しくて年末の大掃除も出来ず仕舞いだったので、
三ヶ日を終えたら、先ず片付けから仕事を始める予定です。

新年発送の樽(たる)の予約も各種頂いているので、仕事場の黒板はメモだらけです。
お正月に鏡開きを予定され樽酒用の木製樽を御注文下さった、沢山の御客さま方は無事に鏡開きが出来たのか心配です。
お一人だけ、造酒屋を通じ依頼を受けて発送した東京の方からだけ深夜に問合せの電話がありました。
これは、造酒屋の説明不足でした。
どのような場合でも不明な点は、ご遠慮なく御電話下さい。


2011年1月1日

酒樽屋(さかだるや)新年の挨拶

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謹んで新春の慶びを申し上げます。
本年も宜しくお願い致します。

  霞む日も寝正月かよ山の家  一茶

酒樽屋(さかだるや)の「おおつごもり」

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鳶鴉図 北村美術館蔵 重要文化財

本年も数多くの御注文、お問い合わせ、忝く存じます。
全ての樽(たる)が受注製作のため、なにかと不手際もございましたでしょうが、
全国、各国の皆様に喜んで頂けた様子、何よりの幸せでございます。
来年も精進致します故、御贔屓のほど謹んで御願い申し上げます。

偶然ながら、画像の如き雪の大晦日になりました。
更に寒さが厳しくなるとの予報です。御自愛の程をお祈り申し上げます。

与謝蕪村は天明三年(1789年)十二月二十五日に六十八歳で仏光寺烏丸西入にて死去と言われていますが、
本日、大晦日が命日という説もあり。






親不孝 おおつごもりも うろうろと 蕪村