2006年5月30日
モロッコの樽屋あるいは地中海の余白
地の果て、モロッコにも樽屋があります。
水のきれいな処に樽屋あり。
ジブラルタル海峡で採れたばかりの新鮮な蛸を樽の中に入れて、その中で塩もみする訳です。
檻製作:針金屋銀三 意匠:DIVA
ジュネの「愛の唄」のDVDは英国版が先行しましたが、樽屋が買ったフランス版の方がお奨めです。
ジャコメッティの珍しい映像やジュネの詩を歌ったCDと、この冊子が付いています。
それに「愛の唄」に変なBGMが流れてきません。日本で上映された時も意味無くバッハが挿入されました。
この映画は音楽なしで見るべきものです。
写真の葉書は今日終った金子國義さんの美術倶楽部での花のノートルダム
展のものです。
今年も新作ゆかたの展覧会が6月12日から種村さんの銀座の画廊で催されます。
「花のノートルダム」の日本語訳は現在絶版ですが、鏑木清方訳が出ることを望みます。
写真Ron Holer
写真はモロッコのジャンジュネの墓。
小さな大理石板で出来た、この泥棒作家の墓石は一度泥棒にあって、再建されたものだそうです。
昔、この隣にはスペイン刑務所があり、更に、その奥には淫売窟があったといいます。
ジュネは21歳の時、志願兵としてモロッコのライフル連隊に配属され、晩年もその地の孤児たちと過ごしました。
遺言通り、大西洋を望むララシュの旧スペイン人墓地に、頭をメッカの方を向けて埋葬されています。
これ以上ジャンジュネの終焉の地にふさわしい場所はないでしょう。
「言葉のあらゆる映像は砂漠にあり、それを索めに出かけなければならない」(『恋する虜』)
投稿者 diva : 04:37 | コメント (0)
2006年5月22日
イタリアの酒樽(たる)
イタリア語でBOTTEは樽の意味です。
��OTTEGAは商店や工房の意味なので、昔は店頭に商品を入れた樽を並べていたのだろうと、
勝手に想像していましたが、イタリア人の友人何人かが、ちょっとおかしいと言い出したので、
調べてみたら、全く別の語源でした。
��OTTEはローマ時代の大樽のことで、元はラテン語です。
ボトルという言葉もここから派生したものでしょう。
それに対してBOTTEGAはギリシャ語のapotheke(穀物倉庫)から来ています。
��OTTEGAは現代では専ら工房の意味に用いられ、商店にはNEGOZIOを使います。
有名な革屋さんBOTTEGA VENETAはヴェネト工房という意味になる訳です。
決して昔、樽屋だった訳ではありません。
続きを読む "イタリアの酒樽(たる)"
2006年5月19日
錦の漬物樽
錦・高倉屋さんの依頼で二重底という特殊な漬物樽をたくさん作りました。
錦市場の東端にある高倉屋さんでは漬物樽に直接、糠を漬けています。
当たり前の事なのですが、最近、高倉屋さんのように直に漬けているお店は殆どありません。
無粋にビニールを敷くと、漬物樽と漬物の間に互いに悪影響が発生するだけで樽を使う意味が無いのです。ビニールで樽と糠を遮断してしまうと、メンテナンスは楽ですが、漬物樽の寿命は短くなり、漬物の味はプラスチック容器を使ったものとあまり変わらなくなります。
新しい漬物樽に高倉屋さんの新しい糠。
これは、四斗樽なので、約百キロの重さになります。
たるや竹十から出荷直前の漬物樽。
見た目は四斗樽ですが、天から8寸(約24センチ)の所にもう一枚底を入れて、持ち運び易く拵えました。
そんな事があってはならないのですけれど、万一漏れて来た時のことを想定して、水抜き穴を開けています。
2006年5月17日
フィンランドの樽屋(たるや)
フィンランドの大統領はタルヤ・ハロネンという女性なのです。あだ名はムーミン・ママ。先祖は樽屋(たるや)ではないでしょう。
北欧では樽はビールやウォトカの醸造に使われています。当然、樽屋(たるや)もたくさんあります。
雑誌『COYOTE』の13号は「フィンランドの短い夏」という特集だそうです。
尚、写真の女性はタルヤ女史ではありません。
2006年5月14日
味噌樽(みそたる)をつくる時にも味噌が必要
たるや竹十の樽は最上の材料を使っているので、漏れることは殆どありません。
ただ、稀に節を含んだ材料が混入した時に「みそ」という裏技を使います。
これは酒樽の材料不足の時代の遺物で、現在では殆ど使わない技法です。
酒樽材料の杉に逆目が出ると、そのままでは漏れの原因になります。
そこでまず、逆目の部分を手に持っている「目叩き」という道具を使い、
小さな穴を無数に開けます。
開けた穴の部分に「味噌」を塗り込めます。
味噌(みそ)と呼んでいますが、実は酒粕の熟成したもの、
即ち、奈良漬の周囲に付いている物と同じ成分です。
「みそ」を塗り込めた後、その上に和紙を張ります。「みそ」に粘着性があるので、糊は不要です。
これで逆目の出た木の表面が平らになりました。
平らになったところで、酒樽に組み上げます。
この「みそ」は、酒粕に「にがり」を混ぜて約一年間、冷暗所で熟成させたものです。
粕の原料は酒ですから、容器としての酒樽には最適なのです。
ただ、このような逆目のある材料が少なくなったので「みそ」を使うことも稀になりました。
これは、出来立ての酒粕。
粕汁や甘酒に使用しますが、子供の頃は焼いて「おやつ」として食べたものです。
良い酒粕は、最近は貴重品になって来て、清酒より高価な場合すらあるほどです。
酒粕は手や顔に塗るとすべすべになり、お風呂に入れれば肌に効果的です。
清酒の蔵元から出る酒粕は専門の業者が、各蔵から集めて小売します。
それ以外にも徳島などの奈良漬業者の所へ酒粕は運ばれて行きます。
ただ、稀に節を含んだ材料が混入した時に「みそ」という裏技を使います。
これは酒樽の材料不足の時代の遺物で、現在では殆ど使わない技法です。
酒樽材料の杉に逆目が出ると、そのままでは漏れの原因になります。
そこでまず、逆目の部分を手に持っている「目叩き」という道具を使い、
小さな穴を無数に開けます。
開けた穴の部分に「味噌」を塗り込めます。
味噌(みそ)と呼んでいますが、実は酒粕の熟成したもの、
即ち、奈良漬の周囲に付いている物と同じ成分です。
「みそ」を塗り込めた後、その上に和紙を張ります。「みそ」に粘着性があるので、糊は不要です。
これで逆目の出た木の表面が平らになりました。
平らになったところで、酒樽に組み上げます。
この「みそ」は、酒粕に「にがり」を混ぜて約一年間、冷暗所で熟成させたものです。
粕の原料は酒ですから、容器としての酒樽には最適なのです。
ただ、このような逆目のある材料が少なくなったので「みそ」を使うことも稀になりました。
これは、出来立ての酒粕。
粕汁や甘酒に使用しますが、子供の頃は焼いて「おやつ」として食べたものです。
良い酒粕は、最近は貴重品になって来て、清酒より高価な場合すらあるほどです。
酒粕は手や顔に塗るとすべすべになり、お風呂に入れれば肌に効果的です。
清酒の蔵元から出る酒粕は専門の業者が、各蔵から集めて小売します。
それ以外にも徳島などの奈良漬業者の所へ酒粕は運ばれて行きます。
味噌樽(みそたる)をつくる時にも味噌が必要
たるや竹十の樽は最上の材料を使っているので、漏れることは殆どありません。
ただ、稀に節を含んだ材料が混入した時に「みそ」という裏技を使います。
これは材料不足の時代の遺物で、現在では殆ど使わない技法です。
材料の杉に逆目が出ると、そのままでは漏れの原因になります。
そこでまず、逆目の部分を手に持っている「目叩き」という道具を使い、
小さな穴を無数に開けます。
開けた穴の部分に「味噌」を塗り込めます。
味噌(みそ)と呼んでいますが、実は酒粕の熟成したもの、
即ち、奈良漬の周囲に付いている物と同じ成分です。
「みそ」を塗り込めた後、その上に和紙を張ります。「みそ」に粘着性があるので、糊は不要です。
これで逆目の出た木の表面が平らになりました。
平らになったところで、樽に組み上げます。
この「みそ」は、酒粕に「にがり」を混ぜて約一年間、冷暗所で熟成させたものです。
粕の原料は酒ですから、容器としての酒樽には最適なのです。
ただ、このような逆目のある材料が少なくなったので「みそ」を使うことも稀になりました。
これは、出来立ての酒粕。
粕汁や甘酒に使用しますが、子供の頃は焼いて「おやつ」として食べたものです。
良い酒粕は、最近は貴重品になって来て、清酒より高価な場合すらあるほどです。
酒粕は手や顔に塗るとすべすべになり、お風呂に入れれば肌に効果的です。
蔵元から出る酒粕は専門の業者が、各蔵から集めて小売します。
それ以外にも徳島などの奈良漬業者の所へ酒粕は運ばれて行きます。
2006年5月12日
2006年5月8日
独逸の樽屋、といっても映画監督 其ノ一
独逸にファスビンダーいう映画監督がいました。
ドイツ語でfassは樽、binderは結ぶ人。
つまりFassbinderは樽屋なのです。
だからという訳でもありませんが、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1945~1982)は樽屋の好きな監督の一人です。
彼の先祖も樽屋だったのかも知れません。
去年の今頃、パリのポンピドーセンターで大回顧展が催されました。
写真はその時の大部のカタログです。
元になっているのは代表的なファスビンダー論である1996年刊のトーマス・エルセッサー著"Fassbinder's Germany"
そのドイツ語訳が2001年に出版され、写真の仏語版は増補決定版のようなもの。
巻末の書誌が充実していますが、残念ながら日本語の著書は完全に欠落しています。
この展覧会の後に現代思潮新社から「ファスビンダー」上梓されました。
ボーブールでは、別の企画会場でジャン・ジュネの「愛の唄」が上映され、別の階ではファスビンダーの遺作「ケレル(ブレストの乱暴者)」が公開されているという奇妙な日も。
「愛の唄」は市販され、「ケレル」も紀伊國屋書店から昨年DVDが発売されて、字幕付で観ることが出来るようになりました。
三島由紀夫の映画版「憂国」も全集に収録され、もう高価で画質の悪い海賊版に頼らなくてもよさそうです。
樽屋贔屓の「三本立て」が、ようやく封印を解かれました。
2006年5月7日
お祝いの杉樽
「たるや竹十」のHPを製作をしてくれたL嬢が本日、目出度く結婚いたしました。
��C上のトラブルがあると深夜でも駆けつけてくれる救急隊だったのですが、これからは何でも自分で解決しなければなりません。
新郎が日本酒好きなこともあって、お祝いは、やっぱり杉樽にいたしました。
新婚旅行はワールドカップ観戦を兼ねてドイツだそうです。
おめでとう!!!
2006年5月5日
樽屋の手と端午の節句
五月五日です。
樽屋の自宅には昔から写真の「茶坊主」がおります。
茶坊主が、手にしている紙には「いろは」とあり、
子供の頃、もっと勉強せなあかんねんで!という意味やろうなと解釈しておりました。
茶坊主と、お供の招き猫、狛犬の寸法がわかるように、アシスタントから手を出せと言われました。
出した手は樽屋の手にしては、ちょっときれいに撮れすぎです。
始終、木を触っている樽職人の手は、もっと荒れております。
写真 アシスタントH
2006年5月3日
杉樽に酒を詰める道具
以前、杉樽に清酒を詰める為の道具を紹介しましたが、現在使われているのはステンレス製、その前はアルミ製。戦前までは江戸以来のこんな木桶を使用していました。
素材は変わりましたが、現在でも杉樽には必需品です。
名称は、やはり「詰漏斗」でした。
左端は現役!右端は某記念館の展示品。展示品は乾燥して隙間だらけになっています。
樽や桶にとって空調は天敵なのです。勿論、直射日光と風にも弱いのです。
ところで、問題児キースは、その後、順調に回復。
5月27日のバルセロナ公演から始まるユーロツアーは予定通り開催されます。
2006年5月1日
キースも木から落ちる!!!樽屋も驚く!
ツアーの前半を終えて、フィジーの一泊数十万円というワカヤホテルで長期休養をとっていたキース・リチャーズが7メートル以上のココナッツの木から転落!その後、ジェットスキーの事故にも巻きもまれたという情報。
現在ニュージーランドの病院で治療中。大事には到らなかった模様で、病院内を歩いているという説も。
キースは前も自宅で転落、骨折。
今生きている方が不思議なミュージシャンではありますが、どうか気をつけて下さいね。
彼がいなくなったら、ストーンズもなくなります。
そういう樽屋の親方も偶然ながら同日、自宅の四階から野良猫を捕まえようとして転落寸前。
皆さん若くはないのですから、中島らも君や柿右衛門さんのようにならないようにしましょう。
しかし、ユーロツアーは大混乱ですね。今月末のスペイン公演は絶対無理でしょう。
ロニーはアメリカに帰ってしまったし、このツアーが最後だと宣言しているチャーリーのリズムも狂うだろうし、樽屋が夢見ていたバカンス兼用の夏のニースやポルトガル公演も延期になるのかなあ。
一方いつも冷静なミックは満室の高級ホテルの一室をなんとか譲って欲しいと、
ブッシュ米大統領から直接依頼されたけれど一蹴した由。
かっこいいい!!!
大統領だから何でも自分の思い通りになるとは限らないのですよ。
ストーンズに湾岸戦争反対の歌詞のある曲があることを知らなかったんでしょう。
投稿者 diva : 11:33 | コメント (0)
休日も四斗の杉樽の出荷
四月最後の日曜日、樽屋は休みたかったけれど、注文が来ればそうは行きません。
杉樽の基本、四斗の酒樽がたくさん出荷されました。
昔は杉樽といえば四斗樽だけでした。
一斗の杉樽は「小樽」、二斗の杉樽を「半樽」と呼びます。
今では、容量が半分だけの杉樽のことも「ハンダル」と言う様になって混同しますが、
本当は「ハンダル」とは二斗の杉樽のことです。
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