2006年5月14日

味噌樽(みそたる)をつくる時にも味噌が必要

たるや竹十の樽は最上の材料を使っているので、漏れることは殆どありません。
ただ、稀に節を含んだ材料が混入した時に「みそ」という裏技を使います。
これは酒樽の材料不足の時代の遺物で、現在では殆ど使わない技法です。


酒樽材料の杉に逆目が出ると、そのままでは漏れの原因になります。
そこでまず、逆目の部分を手に持っている「目叩き」という道具を使い、
小さな穴を無数に開けます。

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開けた穴の部分に「味噌」を塗り込めます。
味噌(みそ)と呼んでいますが、実は酒粕の熟成したもの、
即ち、奈良漬の周囲に付いている物と同じ成分です。

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「みそ」を塗り込めた後、その上に和紙を張ります。「みそ」に粘着性があるので、糊は不要です。
これで逆目の出た木の表面が平らになりました。
平らになったところで、酒樽に組み上げます。

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この「みそ」は、酒粕に「にがり」を混ぜて約一年間、冷暗所で熟成させたものです。
粕の原料は酒ですから、容器としての酒樽には最適なのです。
ただ、このような逆目のある材料が少なくなったので「みそ」を使うことも稀になりました。

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これは、出来立ての酒粕。
粕汁や甘酒に使用しますが、子供の頃は焼いて「おやつ」として食べたものです。
良い酒粕は、最近は貴重品になって来て、清酒より高価な場合すらあるほどです。
酒粕は手や顔に塗るとすべすべになり、お風呂に入れれば肌に効果的です。

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清酒の蔵元から出る酒粕は専門の業者が、各蔵から集めて小売します。
それ以外にも徳島などの奈良漬業者の所へ酒粕は運ばれて行きます。

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