2006年9月2日

吉野の「柿の葉寿司」







秋の収穫に柿は未だ早いのですが、「竹十」代々の好物「柿の葉寿司」が、奈良県吉野郡川上村の「樽丸屋さん(酒樽の材料となる吉野杉を割る仕事)」からの届きました。

「柿の葉寿司」は吉野の男たちが、これと「お茶」だけを腰に巻きつけ、山奥に作業に出かけた歴史があります。
吉野杉が立派に大きく成長するためには、間引き、枝打ち、台風や落雷で傷んだ木の処理など、吉野の男たちの手入れが必要なのです。


柿の葉寿司は、柿の葉が大きくなる時期と鯖がたくさん捕れる今時分がうまく合ったのがはじまりでしょうか。
奈良には海がありません。熊野灘で塩漬けされた鯖だけが唯一の魚だったのです。
昔は柿の葉寿司を発酵させるためにも杉樽を利用しました。
また、柿の葉には殺菌作用があり、冷蔵庫がなかった時代も日持ちのする便利でおいしい食べ物でした。
昔は各家庭で食す分だけ作ったものですが、いまや吉野地方の名物になっています。

紀伊半島の更に奥地、熊野地方に行けば、そこまでは鯖が届かなかったので、代わりに高菜漬を使った「目張り鮓」となります。



まだ青い柿の木。
柿の実は柿渋になると防水作用、防腐作用などがあるので、酒屋や樽屋でも、盛んに使います。

樽太鼓(たるたいこ)とも太鼓樽(たいこたる)とも言う





学校の講堂の樽太鼓(たるたいこ)

新学期になりました。

毎年、この頃には樽太鼓(たるたいこ)の注文が増えます。
太鼓樽(たいこたる)と呼んでいる学校や幼稚園もあります。
樽太鼓は使っている間に、バチで思いっきり叩く蓋が必ず痛んでくるので、修理の依頼も、休み明け前後のこの時期に集中します。

樽太鼓(たるたいこ)を保管するには、直射日光を避けて風が樽に直接当たらないようにし、
出来れば、温度が低くて、適度の湿度があるところが最適ですが、そんなワインセラーのような冷暗所は殆どありませんから、太鼓樽を和紙で包んで暗い場所に置いていただくと樽も喜びます。
ビニール袋に包むと、太鼓樽のタガが腐ってきます。

このように保管が大変ですが、「たるや竹十」では、どんな状態の樽太鼓(たるたいこ)でも修理を請け負っています。
但し、木工用ボンドを塗ったり竹に釘を打ったりするのは何の効果もないばかりか、修理が不可能になりますので、止めていただきたいものです。



修理が済んで出荷を待つ「樽太鼓(たるたいこ)」又の名を「太鼓樽(たいこたる)」
「たるや竹十」にて。