2007年4月20日

酒樽を作る時の小さな部品 其の弐 「ダボ」

ダボの打つ時は,このように必ず樽を横向けに寝かせます

四斗酒樽の正面にダボ穴をあけ、ダボを打ち込む
酒樽の木目と合わせて、ダボも柾目を縦に込めます。



右から「六分ダボ」(直径約18ミリ)真ん中が「八分ダボ」(直径約24ミリ)
左端は、前に紹介した天星


酒樽づくりの最後に、なくてはならない物があります。
「ダボ」という部品です。

「駄枘」とも「太枘」とも「駄細」と書きますが、いずれも宛字だと思います。
語源をご存知の方がおられましたら、お知らせ下さい。

建築や家具に用いられる「ダボ」「ホゾ」と原理は同じです。

酒樽の場合は、「ダボ」を抜き「ダボ穴」に「呑み口」を差込み清酒を「片口」に入れ替える部分で、
酒樽が空になれば「漬物樽」や「味噌樽」に転用する場合以外は捨てられる運命にあります。

材料は高野槙(まき)を用います。ここ20年ほどの間に、殆ど槙に統一されました。
それまでは100年以上、「天星」同様、杉の芯材を使っていました。
杉の柾目を使いますから、北国の杉で作った「ダボ」が混入すると、滲みの原因になり、
酒樽屋は長い間、ダボの取替えに苦労したものです。
その後、椹(さわら)を使ってみたりしましたが、香りが清酒には強すぎて短期間で淘汰されました。

今でも、少々酒が滲んでも樽酒の風味を大切にされて、杉ダボを使われている蔵元が何軒かあります。

因みに杉の「ダボ」を製造していた業者は、江戸期から昭和の終わりまで武庫川と尼崎に集中しておりました。
今は一軒も残っていません。

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