2009年5月30日
木樽で味噌づくり
樽屋竹十の味噌樽(タル)には落し蓋(フタ)と上蓋(フタ)の二枚が付いています。
寒い頃に仕込んだ味噌がそろそろ熟成して来る頃です。
ところが、スコブルうまくいっている方もいらっしゃいますけれど、
残念ながら、そうでない方も、おられます。
こちらは樽(タル)屋でして、味噌や漬物に関しては素人なので、近所の味噌作り名人に聞いて参りました。
��どこの町内にも未だ一人や二人は名人が残っております、数年後は判りませんが)
名人の話では、もし、表面に黴は表面が発生していてもスプーン等できれいに取り除けば、
内部は無事ではないかという事です。
大豆を炊くときの水の量が多過ぎて、樽(タル)の中で水が浮いて来ているようなときは、
一旦、全部外へ出し、味噌玉の塊を和紙で包んで水分を吸い取り、ふたたび樽(タル)に戻す。
黴は嫌なものですが、「醗酵」には付き物です。白い黴はアミノ酸なので無害ですけれど、
赤、青、黄などの色の付いた黴は全部排除しなければなりません。
名人も言われていましたが、地球の温暖化で夏が異常に暑かったり、
長期の低温が欲しい冬が暖かかったり、雨期が長過ぎたり、
温度や湿度の変化が毎年違うので、いつも同じレシピでは出来ないそうです。
更に住宅環境も随分変わり、マンション等の中で、年中ひんやりした、暗い場所を探す事が今は大変です。
それに、ほんの数十年前には無かったエアコンが今では殆どの家庭に設置されています。
エアコンの付いた部屋に樽(タル)を保存する事は厳禁です。
真冬の寒くなければならない時に、暖かったり、夏が涼しすぎると上手く醗酵しません。
それにも増して、エアコンは24時間作動させておくことは無いもので、
人がいないときには電源を切る訳ですから、その温度差を大きいものです。
デパートに夏期、樽(タル)の貸し出しなどしますと、電源を切る深夜の高温と昼間の効き過ぎているような冷温との毎日の繰り返しに一週間も経たない内に、すっかりダメになっています。
味噌玉を入れる前に、樽の内部と蓋の裏側を水できれいに洗った後、廉価な焼酎を刷毛で塗って殺菌するのも一つの方法です。
名人から聴いて来た「コツ」
��、他のものは廉価なものを使っても塩だけは最高の物をたっぷり使う事。
日本に塩田は一度完全になくなり、跡地は殆どコンビナートに変わりました。
最近は本当の塩を作ろうという目的で、採算が合わないながらも作り始めた方々がいて、
嬉しくなります。それでも600gで800円というと塩としては高価に感じます。
「赤穂」とか「伯方」と表示された塩が、くせ者です。両地に塩田は全くありません。
塩を買う時には必ず裏の原産国表示を確認して、国産の物をもとめて下さい。
��、炊いた大豆は、しつこい位よく撹拌すること。
��、樽に味噌玉を入れる時に絶対に空気を混入させない事。
��、充分な重しをする事。前述の逆の外国産の安い塩を重りにすると良いらしい。
1キロ以上の重量が均一に味噌にかからねばなりません。
��、樽の保存に冷暗所を選ぶ事。日の当たる場所は厳禁です。
夏でも温度が低く、暗い場所に置かねばなりません。
家の中で最も温度が低い場所を選ぶ事。
��、味噌玉と押し蓋(フタ)の間に隙間を作らず、
清潔な晒を挟んで空気を入れないようにする事。
��、竹十の味噌樽の場合は底部の▽型の溝を先ず、味噌玉で埋めてしまう事。
先達から以上のような回答が返って参りました。
この条件を全て満たすことは現代生活では大変困難ですが、
少しでも近い方法で味噌作りに挑んで下さい。
尚、日本は、南北に長い国です。
各地方によって微妙に作り方は変わりますが、基本はおなじでしょう。
仕込む時期が本来は真冬の筈が、夏に仕込む地域があったりして驚かされます。
��追記 お客様からこのようなコメントをいただきました。
味噌づくりに詳しい方がいらっしゃいましたら、また教えてくださいね。
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