それでは,木製樽の材料である「樽丸」は実際には、どのようにして作るかというと、
見ているだけなら、しごく単純なれど、まことに熟練を要する仕事です。
写真は川上村のふたりの山本さん(親戚ではない由)
左の山本さんが丸太をミカン割りします。
右に座る別の山本さんが銑(セン)という刃物で仕上げます。
未だ、切り立ての吉野杉ですから、水分がたっぷり残っております。
木目が素直に真っすぐ通った、即ち、よく手入れされた杉を使えば、作業は楽です。
そのかわり、原木の材料代は当然高くなります。
安くて悪い(手入れされていない)吉野杉を使うと、材の買い入れは安くて済みますが、
後の作業に骨が折れますし、何より良質の樽丸が出来ません。
樽屋としても作業にひと苦労、しかも良い木製樽が出来ないのです。
こちらは出来上がった榑(くれ)を井の字型に組んで乾燥させている所です。
昔、灘にも浜があった頃は、この作業を海辺の砂浜で夏頃やっておりました。
乾燥させる榑の量も半端ではではなく、井の字型ではなく、「おおばい」といって、人間の背の数倍高く積み上げたものです。
夏休みに,「かくれんぼ」をするには格好の場で、その中に入って「おおばい」を崩し、
こっぴどく叱られたものです。
やはり、樽丸つくりは山の中でする方が気持ちよく作業出来ますし、良質のものが仕上がるようです。風土の違いから乾燥の具合が違うからでしょう。
山の中でも稀に台風で乾燥中の樽丸が流されたりしますが、灘の浜では台風で全てをさらわれた事が何度もありました。
昔の「おおばい」と「樽丸」
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