「天星(てんぼし)」です。
高野槙(こうやまき)で出来た木栓の呼び名です。
樽屋はフタの事を「天」と呼ぶ事があるので、そこに空いている穴を埋める木栓を星と称したのでしょうか。語源は定かではありません。
高野山でよく採れたので、この名が付いていますが、実際は木曽の槙(まき)も使うようです。
霊木いわれ、魔除けとして家の玄関によく槙の木を植えているので身近な存在ですが、
水にも大変強いので、主に浴槽や風呂桶に使われ、槙の風呂が最上と言われています。
どんなに良い酒樽を作っても、良質の「天星」がなければ、商品にはなりません。
灘五郷には、かつて何軒もの「木栓屋」さんがありましたが、尼崎の大物にあった最後の一軒の廃業に伴い、近所の木栓屋は皆無になりました。
昔の木栓は全て吉野杉製でしたが、「滲み」には勝てませんでした。
毎日、蔵元へ朝早く栓の取り替えに出かけるのが苦痛だった記憶があります。
今でも、香りを重視する極少数の蔵元が杉製の栓を使っています。
今は高野槙の地元、和歌山の業者が殆どの木栓類を作っています。
槙の樹も辺材は水を漏らしますので、杉と同じように中心付近だけを使います。
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