2009年2月10日
吉野杉を使った木樽の作り方 その3「側立て」
最初に二本の仮輪(白い口仮輪と緑色の胴仮輪)を用意します。
仮輪の材料は竹のタガで、これは道具ですが,消耗品です。
そこの中に十数枚の地側(じがわ)即ち普通の榑(くれ)と5〜6枚の輻(や)を入れます。
色々な幅のものを選んでおく事。
そして、側の木口を軽く濡らしておく事。
沢山入れると,作業しにくく、少ないと、作業中は両手が塞がっているので困った事になります。
この量の判断は、長く経験を積まねばなりません。
幅の事を略して、「ば」と呼んでおります。
左手で口仮輪を持ち、側を一枚ずつ並べていきます。
この時、仮輪を支えている左手は思いのほか力が必要です。
地側3枚に輻を一枚くらいの割合で並べて、一周します。
酒樽では、正面に呑み穴を開けるので、それにふさわしい最も良い側を選んでおきます。
この側を「印前」と呼びます。木目が詰まり。幅(ば)が広くも狭くもないものが最適。
最後の一枚の選択に苦慮しますが、とにかく形を作ることが、この段階の最大重要事項です。
取り敢えず、樽が自力で立つようにします。
仮輪を上下して加減する事がコツです。
口仮輪を上に上げると側が締まっていきます。
残りの側が5枚余りました。これくらいが理想です。
残ったものは、必要ないので次の段階のために外に出してしまいます。
とにかく樽の形は出来ました。
この場合は、幅の狭いものばかりだったので24枚位使いましたが、
普通は20枚までで組み上がるものです。
この樽は樽太鼓用に良く乾燥した材料を選んだので、幅の狭い側(がわ)が多くなっています。
普通はもっと広いものを使いますが、小さい樽ほど狭いものの方が作業はし易くなります。
これらの作業がし易いように、酒樽の作業台~「みせ板」には軽い傾斜が付いています。
桶屋さんの作業台は水平です。
一尺一寸の榑(くれ)を使って、一斗樽をつくり始めました。
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