白鹿記念酒造博物館蔵(写真も同館資料より)
西宮市にある財団法人白鹿記念酒造博物館には奈良県に先駆けて酒樽と桶をつくるための道具が保存されている。
その使用法の記録とともに大切に保存すべき貴重な民俗文化財である。
西宮市教育委員会が一冊の資料集として調査編集し上梓している。
この酒造り用桶および、酒樽作りの道具類は、西宮の辰馬本家酒造専属の桶師名川氏と同社製樽部で使用していたもので、全ての道具は揃っていないものの、さまざまな醸造用桶類や清酒の運搬および容器としての酒樽を作るために、江戸期から昭和四十年代まで実際に使用されて来た貴重な財産である。
西宮に限らず各酒蔵では大小さまざまな桶類を使用するため、桶製作用道具の種類も当然多岐にわたり、
側板を削るための正直台が何本も、各種銑類や大小の鉋類、箍を叩く締木類等々が保存されている。
それぞれの用途に応じた工夫が職人の手によりなされている所が興味深い。
近年、木製の桶に代わり琺瑯やステンレスなどのものが多く使用されるようになって、昭和初期には同社だけで二十五人もいたという桶師も最近、最後の一人であった名川氏が引退してしまった事はまことに残念である。
輸送容器としての酒樽だけは数量は減ったものの、途絶える事なく今も製造が続いている。
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