2008年7月12日

和樽を使って梅干しを作る

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六月末から七月にかけては梅実の季節です。
梅は中国原産のバラ科の植物。漢方薬として或は果実として渡来したと言われています。
梅雨時に葉と葉の間に隠れるようにして実を結びます。


梅干しと言うと硝子の瓶等を使って作るものだと思われがちですが、実は和樽を使うのです。

吉野地方で、使用済みの和樽を使って梅干しを作るという催しがあります。
梅干しは紀州が本場ですし、吉野杉の和樽を使うという事は本来の使い方です。

先ず「塩漬け」をします。
梅干しの塩分は二割とか三割とか地方によって変わりますが、
最近は減塩ということで、一割強が主流です。
塩は天然の良質の物を使いましょう。
どちらにしても一年は寝かさないと塩なれして美味しくなりません。

最初に梅の総重量を量っておかねばなりません。
それから梅をよく洗い水気を切って、容器の中で塩の四分の一を均一にまぶします。
和樽の底に塩をふり、その塩揉みした梅をいれて、更に塩を入れます。
これを繰り返しながら全ての塩揉み梅を和樽に入れて表面を水平に整えて、押し蓋をのせ、
梅の倍の重量の漬物石を置きます。

二三日して水が上がって来たら、石を半分の重量の物に替えます。
最初から塩の重量と同じ重さの石を二つ用意しておくと便利かも知れません。

次に「土用干し」を三日ほど続けます。
殺菌するには、この時期の強い天日が最適なのです。

この後、赤紫蘇の葉で作った「赤梅酢」と一緒に和樽に漬け、上蓋をして保存する訳です。

保存食として、江戸時代から急速に普及しました。
各地で100年以上前の梅干しが蔵の奥から発見されており、味も極上だそうです。
��00年前の物も見つかったと聞きます。
かめ入りもあったそうですが,ほとんどが杉製の和樽入りでした。
梅干し自体も殺菌作用がありますが、杉の持つ殺菌作用も関係していると思われます。
更に木製和樽の持つ強度が数百年の歳月に耐えて来たのでしょう。

木製の和樽を使わないようにというレシピを記した本を時々見ますが大きな勘違いです。
プラスチックは冬夏の温度、湿度の変化の繰り返しによって割れる例が多く寿命が短く、第一に酸によってプラスチックが梅干しの中へ徐々に溶解してきます。
硝子や陶器は台風や地震などの災害によって割れてしまえば中身が台無しになります。

扱いは面倒ですが木製の和樽が食品には最適なのです。












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