2010年8月20日

酒樽(さかだる)の小さな大敵、虫喰い

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完璧に出来上がったと思った酒樽(たる)でも、極々稀に奇妙な所を見落として、
酒が洩れないという一番大切な条件を満たさない不良品が出来てしまう事があります。

この場合は、一番太い胴輪(地方によって、中の輪とも呼ぶ)の丁度下に小さな穴がある事を
発見出来ずに、仕上げてしまった悪い例です。
吉野杉は美味しい事もあってか、必ず表面は虫に食べられてしまいます。
ですから、白太(しらた)という一番外周部はもちろん、
そのすぐ内部の甲付(こうつき)には虫が通った跡が穴になって残っています。
蓋(ふた)も同じ部所から取るので、底よりも被害の率が高くなります。
写真の酒樽(さかだる)は赤味なので、殆ど虫の被害にはあわないだろうと油断しておりました。自然のものですから全てが工業製品のように同じ品質で揃える訳には行きません。
ひとつひとつの手作りですから、年に一度位の割合で、こんな見落としがあります。

硬く締め上げた、胴輪(どうわ)を緩めて下に降ろし、犯人の「穴」を見付けたら、
その部分を埋木して、胴輪(どうわ)を元の位置に戻したら、洩れは完全に止まります。




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この小さな、鉛筆の先の様な物は、いつもの様に事態と同じ呼び名で,
この高野槙(こうやまき)で作った木片も「虫喰い」と言います。
洋樽でも同じ事態が起こるらしく、Worm barrelと呼ぶそうです。
何か正確な呼称があった筈ですが、今のところ不詳。
樽職人の奥さんが内職でひとつずつ作っておりました。少しずつ大きさが違っていないと、
意味がないのです。
今も30年前も一升瓶に一杯入れて一万円位します。
一番左に一個だけ見えている物は、大きな節を埋木するためのものですが、今は殆ど使いません。

日本で一軒だけ専門業者がいますが、竹釘同様、樽職人が暇な時に作ったりもします。


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