2010年8月11日
樽太鼓(たるたいこ)の修理が完了する
先日、預かっていた、たくさんの「樽太鼓(たるたいこ)」の修理が出来上がりました。
木製の樽太鼓(たるたいこ)は他の締太鼓や宮太鼓同様、激しく叩くため、当然ながら、
蓋(ふた)の部分が摩滅して、薄くなり、ささくれて来ます。
いくら,丁寧に保管しても、3年〜5年で木樽(たる)も乾燥して来るので補修が必須となります。
緩んだ竹箍(たが)を金釘で止めたり、木工用接着剤を塗ったりしても音は良くなりません。
修理の手間が余分にかかるだけです。(これらを取り除くだけで随分時間がかかります)
一番に避けて頂きたい事はプールなどの水の中に木樽(きたる)全体を投げ込んだり、
ホースを使って大量の水を木樽(きたる)にかけたりする事です。
接着剤を多用した古い樽太鼓(たるたいこ)、
決して音が良くなる訳ではないので、勘違いなさらないようにお願いします。
修理の際には、強力な接着剤が塗られている場合は修理が不可能になったり、
接着剤の剥離と釘抜きに手間取ります。
今回の木樽(きたる)は元は某有名蔵元の一空樽(One free barre)が主で、「甲付樽』でした。
酒樽(さかだる)と太鼓樽(たいこだる)は形は同じでも構造や素材が全く違います。
呑み口の穴の埋木等も施しました。
一昔前、催しの直前に樽太鼓(たるたいこ)を倉庫から出してみたら、乾燥してしまい、
竹箍(たが)が緩んでしまった状態で音も出ず、困った先生が学校の水が満たされたプールの中に全部の樽太鼓(たるたいこ)を一晩投げ込んでしまったのです。
音は少し出るようにはなりましたが、木樽(きたる)は変形するし、
修理も無理な状態になるし、後々困ったことがあります。
この「プール投げ込み方式」は全国に普及してしまいました。
これを考案された先生は昨年亡くなられました。合掌…
水で変形していまった後の修理を任された樽屋としましては、
この間違って普及してしまった方式を払拭するために何年もかかりました。
最近は、新品の蓋(ふた)と箍(たが)に全て取り替えますので、
費用は新しい物の半額程度かかりますけれど、
写真のように新しい物と見分けが付かない仕上がりになります。
世間は夏休み、新学期の催しに向けて「樽屋竹十」には毎日程、
樽太鼓(たるたいこ)修理の依頼がまいります。弊店製作の樽(たる)以外に、
既に引退された樽職人達の名仕事を拝見する良い機会になりますから、
採算は合いませんけれど、出来る限りお引き受けするようにしております。
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