漬物樽(つけものたる)や味噌樽(みそたる)は蓋がないので、杉材を削る角度や箍(たが)を締める強さが微妙で、失敗も稀にあります。更に自然の力に負けた材料もあります。
「風折れ」と言って、吉野の山林で嵐の折、強風で杉の樹が大きく揺れて、折れてしまうことが多々あるのです。
山では火事以外に「風折れ」「雪折れ」「落雷」の三つが天敵です。
吉野は日本一雨の多い地域ですし、台風も頻繁に上陸します。
これらの障害に100年間、耐えてきた杉だけが、良質の樽材となるわけです。
樽丸を作る時、そして漬物樽や味噌樽を組み立てる時の二度罅(ひび)を見つける機会があるので、山あるいは樽屋で殆どが発見されて焼却されますが、稀に見落とすと写真のように折れてしまいます。
組む前は眼を凝らして検品しないと分からない程の罅(ひび)なのです。
ところが、箍(タガ)を入れると写真のようになります。
折れは表面までは到っていないので、漏れはありませんが、漬物樽ですから内部の状態が重要なので修理が必要です。
こちらの写真は、箍(タガ)が強すぎて完全に側が折れた例です。
責任のない右隣の側にも影響が出ています。
こうなると、漬物樽製作も最初からやり直しです。
箍の竹節が充分削り取れていなくて、こぶ状になり、ここに力が集中したことも原因の一つです。
投稿者 diva : 13:36 | コメント (0)
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