2010年7月12日

和樽屋のワールドカップ

312952b6.jpg KATE SIMON撮影

今年、南アフリカで開催されたFIFAワールドカップ2010
は日本が予想外に活躍したせいで、大騒ぎになりましたが、
決勝戦の後に流れた音楽を聴いて、たいそう驚きました。

なんと名曲Could you be Lovedです。

開催地がアフリカですし、Bob Marley & the Wailersの曲が流れて当然ですね。
彼自身、レゲエと同等くらい、サッカーへの情熱を持っておりました。
試合中の怪我が原因で癌になり、死に至ったと言われています。
ところで、写真のエチオピアンキャスケットはプレイの邪魔になったと思うのですが。
ドレッドのままよりは動き易いのかも知れません。

そう言えば、オープニングR ケリーでしたね。

2010年7月4日

鏡開き用の酒樽を結婚式場へ届ける

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結婚式の際、酒樽を使った鏡開きをしたいという御要望があったので、早速ひとつ拵えました。
「樽屋竹十」の木樽(たる)は全て、オーダーメードなのです。
今回は木樽(たる)の中に清酒ではなく、梅酒を入れるという話でした。
酒樽(さかだる)と言っても中に何を入れるかは、お客さまの自由なのです。
少し前には、空の酒樽(さかだる)に水を満たし、
鏡開きの飛沫(しぶき)だけを楽しみたいという方までおられました。
酒屋さんにとっては困ったものです。
某酒造メーカーに依頼したら丁重に断られたそうです。
酒造メーカーや町の酒屋さんは酒を売っている訳ですから、当然でしょう。

今回もまた、菰(こも)を巻かずに
酒樽(さかだる)に直接、和紙を貼って墨書きする方法を選ばれました。

神戸市の北野町での挙式でしたので、自分で持って行っても良い位の距離でしたが、
運賃も安く、安全なので宅急便業者に依頼しました。
いつも、お世話になっているドライバーのお兄さんが、
「会社の帰りに個人的に持って行こうかな」と冗談を言った位に近所なのです。

またまた、鏡開きし易い様に、あらかじめ蓋(ふた)を外しておきました。

2010年6月28日

修理に持ち込まれた年代物の「手桶」

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山口県の某氏から「手桶」の修理を依頼されました。
蔵の奥から出て来た、という桶です。
これほど傷んだ桶(おけ)が、はるばる長州から分解もせずに届いたことも奇跡的ですが、
なにより、これほど悪い状態の桶(おけ)が現存している事の方が珍しいのです。

類推するに製作されたのは明治の中頃、昭和の初めに手の部分を取り替えた形跡があります。
この時の竹の質が悪かったようです。
その後は非常に悪い環境に保管されていた模様で、上部は完全に乾燥、下部は過度の湿り方。
普通は、ここまで傷んだ樽(たる)や桶(おけ)の修理は、お断りするのですが、
伝来の愛着あるものだということと、「落とし」を入れるという条件だったので、
期限無しで引き受けました。




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ご覧の様に、無数の虫穴があいている上に、本体の一部に欠損している箇所もありますが、
これを風景として生かす事にしました。
現在は乾燥中です。更に変形した底が水平に戻らないと修理を始める事が出来ません。
完成のあかつきには、また報告致します。

2010年6月24日

「つゆのあとさき」に於ける樽(たる)と雨

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六月も半ばを過ぎました。
日本特有の、この時期は樽(たる)にとって、最も困った季節なのです。

竹や蓋(ふた)に黴が発生し易い、雨期という季節は酒樽屋にとって大敵です。
かつて、黴雨と書いて「ばいう」と読んだ程です。
地方によっては普段の倍以上の雨量なので「倍雨」とも呼びました。

今年は、春に長雨が続いたので、空梅雨とばかり予想していたら、
やはり毎年通り、梅雨前線は活発なようです。

ただし、樽にとって不可欠である杉や竹などの植物の生長にとって雨はなくてはならないもの。
また、味噌や漬物の醗酵が最も盛んに進む時期でもあります。
日本有数の雨量を誇る奈良県吉野郡川上村の山林でも、ここ数日の長雨は「恵みの雨」でありました。

さるにても、欧米の大粒の雨と違って日本の雨には幾本もの糸が引く様な降り方に独特の風情があり、
まさに、驟雨と呼ぶに相応しい景色です。

「久雨尚歇まず輕寒腹痛を催す。夜に入って風あり燈を吹くも夢成らず。
そゞろに憶ふ。雨のふる夜はたゞしんしんと心さびしき寝屋の内、これ江戸の俗謡なり。
........」永井荷風『 雨瀟瀟』大正十年


2010年6月18日

樽太鼓(たるたいこ)の晴舞台

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今年の鶴岡踊り祭りに参加した「宝谷八木節保存会」の勇姿です。

山形県は日本でも有数の酒処ですし、明治までは主たる輸送容器でしたから、かつては酒樽(さかだる)が村中に転がっていた事でしょう。
現在も「たるや竹十」から山形県の蔵元へ定期的に酒樽(さかだる)をお送りしております。

写真は今春のものですが、本来は夏の盆踊りの際に盛大に繰り広げられます。
他の地域同様、盆踊りは念仏信仰の一つです。発祥は鎌倉時代、江戸中期に現在の形式が確立します。
初期における、戦での死者への弔い、疫病による死人への鎮魂歌等の意味が薄れ、年に一度の身分を超えた夏祭りへと趣旨が変化して来ます。
当時の鶴ヶ岡城の下での踊りは、神田明神の神田祭りにも匹敵するといわれる程の巨大なものだったと伝えられています。
明治初期まで約200年間続いた、この踊りはも全国の踊り同様三日三晩踊り続けたそうです(旧暦7月17日から20日)
当然お酒も入りますし、年に一度のハレですから、様々な事故もありました。
結局、風紀の乱れが原因で幕府から徹夜の踊りが禁止されたり、先の戦争で男手が足りず中止されたりした経緯はあるものの、現代ではすっかり宗教色も消え、盆踊りは夏の風物詩の一つとして定着して来ました。

往事は一つの村から多い時は200人、今の五日町のように商店が立ち並ぶ村からは500人以上の連が繰り出したと言います。
唄の文句は村ごとに鎮魂歌であったり恋歌であったり、あるいは卑猥なものと毎年書き替えられて来ましたと言います。
それに伴って衣裳や振り付けも変化してきました。
 構成は仕組み踊りと呼び、「大踊り」「中立」「どさ踊り」の三種でした。
踊り手は当然男に限ります。

「大踊り」は男役女役一対で役者の扮装で襦袢姿、「中立ち」はそれを簡素化したもの、「どさ踊り」は仮面をつけての滑稽踊り。
どさの主役は薄給武士が住む給人町でした。高禄の範士の家中新町からも繰り出し、町方ばかりならぬ城下上げての一大イベントだったのです。

現代では盆踊りは身分や立場を超えて、夏の暑さだけではなく全てを忘れる事の出来る楽しい催しになりました。

八木節阿波踊りを含めて、このような催しに「樽太鼓(たるたいこ)」も復活出来る様になって樽屋にとって嬉しい限りです。




2010年6月17日

樽太鼓(たるたいこ)を通じた出会い

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「竹十」の樽太鼓(たるたいこ)を二日連続でNHKがテレビ放送して下さったお陰で、
普段PCに縁のない方々も放映後、電話、FAXは勿論のこと、
わざわざ何人もの方が弊店まで足を運んで下さり、
長く探していた樽太鼓(たるたいこ)に出会えたと喜んで頂けました。

中でも、嬉しかったのは趣味で太鼓を最低毎日2時間練習しているという男性のお客さま(上の写真)。バチを持って買って頂いた樽太鼓(たるたいこ)を叩き出したら止まらなくなってしまいました。
もう一人の方は翌朝早くから来られた、倉庫に何年も眠っている使用不能の樽太鼓(たるたいこ)の存在を思い出された某幼稚園の先生。
樽太鼓の修理は「樽屋竹十」が請け負いますけれど、さて幼稚園児にどんな方法で太鼓演奏を教えたら良いか、樽屋の親方はスティーブ・ジョーダンでもチャーリー・ワッツでもありません。叩く事は出来ても演奏指導は出来ません。

一日前の夕方来られた前述の太鼓マニアのお客さまの連絡先を伺っていたので、この方に連絡を取って、先の幼稚園での指導をお願い出来ました。


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2010年6月16日

修理を待つ樽太鼓(たるたいこ)達

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この時期には夏祭り、盆踊り等をひかえて、古くなって音が悪くなった樽太鼓の修理依頼が増えて来ます。
木工用接着剤や鉄釘を多用していない限り、どんな状態の樽(たる)太鼓(たいこ)でも修復が可能です。
多くの樽(たる)が一度使った酒樽(さかだる)の再利用なので、乾燥が激しく少々手間取りますが、
殆どの場合、蓋と竹箍(たが)を新しい物に取替え、側面を削り新品同様にしていまいます。

樽(たる)に限った事ではなく、どんな物でもそうですけれど「修理」という作業は最初から新しい物を作るよりも、ずっと手間がかかる仕事です。
殊に自分の作った樽(たる)の修理は簡単ですが、他の職人さん達が過去に作った樽(たる)は工程や寸法が異なるため手持ちの道具を使えず、道具作りから始めないと作業が出来ません。
それでも採算を度外視して修理を請け負う理由は、既に鬼籍に入った先輩たちが作った名人芸の樽(たる)を見せて貰えたり、逆にとんでもない作り方の樽(たる)を分解する事が出来ますので、樽造りの良い勉強になるからです。


杉樽(たる)に於ける「目荒」

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杉に限らず樹木には年輪があります。
酒樽に使用する吉野杉は色と木目、更に榑(くれ)のねじれ具合や厚み等々、
厳重な選別を経て製品に致します。
酒樽,漬物樽、味噌樽以外の液体容器でない樽、すなわち樽太鼓等を作る時に、
これら選別から外れた吉野杉の榑(くれ)を利用します。

写真は吉野杉の中でも極々稀な「目荒」という種類で、杉の芯に近い部分を割ったのでしょう。
昔の樽が倉庫の奥から出て来たので調べていて見付けました。
今では絶対に榑(くれ)として樽丸には加工しない部分です。
大量に酒樽が出荷されていた時期の遺物です。




2010年6月10日

トラックに積みきれない程の漬物樽を通販のお客さまに発送

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漬物や味噌の手作りには、やはり杉樽を使う事で出来が全く違って来ます。
食品の醗酵には新鮮な空気の流通と余分に出て来る水分の逃げ道が不可欠だからでしょう。

写真は信州の味噌屋さんへ四斗(72ℓ)の漬物樽を運ぶべくトラックに積んでいる光景です。
竹十で出来る最大の樽(たる)は四斗樽なので、これを使って味噌を作るのだそうです。
この味噌屋さんは、木樽を使いたかったそうですが、樽屋との接点がなく今までは仕方なくプラスチック容器を使用されていたそうで、ずっと木樽を探しておられたとの事。
これからはきっと美味しい味噌が出来ることでしょう。



2010年6月8日

杉樽(たる)に於ける「目回り」

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酒樽(たる)に使う樽丸(たるまる)の中にも非常に稀ですが、
写真のような不良品が混入することが一年に一度位あります。
木口の黒い部分の冬目が割れているところが見える筈です。

これは「めまわり」と呼んでいる状態で、木目に沿って杉が縦に割れてしまっているのです。
このような材料は樽(たる)に組み立てる時、竹の箍(たが)の力に耐えられないので、
どんな種類の杉樽(たる)であっても使用不能です。
廃棄する他に手段はありません。
本来、ここまで歴然とした状態のものは樽丸(たるまる)の製造過程で見付け次第廃棄しますので、樽屋(たるや)の工房に登場することはあり得ません。

これは、樽屋(たるや)の倉庫に保管中、乾燥して木目が割れてしまったのでしょう。

こんな状態になる原因は山林内での「強風」です。
台風等で強い風が吹くと、当然ながら杉の大木も大きく揺れる訳ですけれど、
ある限界を越すと、このように垂直に木目が割れるか、それとも、
かつて紹介したような「風折れ(かざおれ)」又の名を「うて」という水平にヒビが入る
被害を受けることになる訳で、共に樽(たる)に加工出来ないため、焼却します。

更に強い風に遭った杉は原木まるごと地上に倒れ、山から搬出する値打ちもないので、
山林の中に放置されたままになっています。

決して「風が吹いたら桶屋が儲かる」訳ではないのです。

「めまわり」も「うて」も光線の加減によって見落としにくいものですから、
材料の選別には細心の注意が必要です。

酒樽屋のお八つ  その參拾

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LADUREE(ラデュレ)の「マカロン」です。
早く食べないと美味しくないので、現物はもう無いため間違っているかも知れませんが、
多分、左がショコラ、右がマント・グラシアン。
��862年パリ、ロワイヤル通りに創業。
ふたつのマカロンを合わせて、中にガナッシュを入れて48時間ねかせて置くそうです。
今では軽い食事も出来るシャンゼリゼ店の方が人気の由。


最近、東京と名古屋にも進出したので入手し易くなりました。

銀座三越 東京都中央区銀座4-6-16
午前10時~午後10時 03-3563-2120

日本橋三越 東京都中央区日本橋室町1-4-1
午前10時~午後8時 03-3274-0355

名古屋高島屋 名古屋市中村区名駅一丁目1-4 
営業時間:10時~20時 052-566-3877


2010年6月7日

樽屋 またまたテレビ番組に !?

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最近、取材続きの樽屋ですが、この度は「樽太鼓」をニュース番組でご紹介いただくことになりました。


NHK 神戸(兵庫県のみ) 「テラス関西」6月7日夕方6時10分〜7時(6時40分頃の5分程度)
NHK 近畿5府県 「ぐるっと関西」6月8日 昼11時30分〜12時(5分程度)



そんな訳で神戸市立本山第二小学校の6年生の皆さんが樽太鼓を使って「本二太鼓」の練習をしている風景も放映予定。

そして、吉野杉の原木から樽丸を作り、竹と底蓋を組み合わせて
「樽太鼓」を作る工程の一部も撮影しました。
化学的な接着剤を一切使わず竹釘で継ぎ、材料は「樽太鼓」の場合も奈良県吉野郡川上村の杉のみで組み立てております。



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2010年5月28日

杉樽(たる)に於ける「目越し」

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杉の中でも最高といわれる「吉野杉」でも、中には樽(たる)に適していないものもあります。
杉も竹も生き物ですから仕方がありません。
原木を輪切りにした時、樽丸に仕上げる時、樽(たる)を作る時などなど、
何段階もの選別の機会があるのですが、これまた人間の仕事ですから、見落としも稀にあります。

写真の真ん中に見える材料が「目越し」という状態。
水分が木の細胞を通じて滲み出し、どのような方法をとっても滲みを止める事は出来ません。
この一枚だけを交換するしか手段はないのです。
杉の細胞が完全に死んでいて、このような木を「ネキ」(多分、木が寝てしまった意味でしょう)と呼びます。
どんな名人でも、この種の材料を使って樽(たる)を作ることは出来ません。

この一枚のために樽(たる)がダメになるので、選別には厳重な注意が必要なのです。

2010年5月11日

味噌樽(みそだる)の大中小、三種

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人気の「味噌樽(みそだる)」に「特大」(高さ約56センチ)を加えて、
大中小の三種が揃いました。
容量は、それぞれ約36リットル、18リットル、9リットルです。

これらの味噌樽(たる)には、落し蓋と上蓋の二枚が必ず付属します。
そして、この二枚の蓋(ふた)も吉野杉を用い、接着剤を使用せずに竹釘で継いでおります。

この形態の味噌樽(みそだる)は本来、樽屋ではなく、桶屋の仕事なのですけれど、
かつて、日本の町には必ず一軒あった桶屋が激減し、むしろ樽屋の方が未だ少しは残っているものですから、こういう仕事も樽屋が請け負わざるを得なくなってしまった訳です。

「桶(おけ)」と「樽(たる)」の違いは書き出すときりがないので、またの機会に。