山口県の某氏から「手桶」の修理を依頼されました。
蔵の奥から出て来た、という桶です。
これほど傷んだ桶(おけ)が、はるばる長州から分解もせずに届いたことも奇跡的ですが、
なにより、これほど悪い状態の桶(おけ)が現存している事の方が珍しいのです。
類推するに製作されたのは明治の中頃、昭和の初めに手の部分を取り替えた形跡があります。
この時の竹の質が悪かったようです。
その後は非常に悪い環境に保管されていた模様で、上部は完全に乾燥、下部は過度の湿り方。
普通は、ここまで傷んだ樽(たる)や桶(おけ)の修理は、お断りするのですが、
伝来の愛着あるものだということと、「落とし」を入れるという条件だったので、
期限無しで引き受けました。
ご覧の様に、無数の虫穴があいている上に、本体の一部に欠損している箇所もありますが、
これを風景として生かす事にしました。
現在は乾燥中です。更に変形した底が水平に戻らないと修理を始める事が出来ません。
完成のあかつきには、また報告致します。
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