2008年7月31日

李白と酒樽

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唐の詩人李太白は酒好きで有名なことは夙に知られておりますが、当然、その詩にも「樽」が頻繁に登場します。
「樽」といっても千年以上前の話ですから、現在の酒樽とは根本的に違い、壷のようなものもあれば、時には山の木片を寄せ集めたものが登場したりして、形態は未だ統一されていません。
一斗という容量も現在の約18リットルよりも、遥かに少なかったと言います。

「李白一斗詩百篇」という有名な語がありますが、どうやら李白が呑んだのは10リットル(一升瓶五本強)ほどで、とんでもない量ではない訳です。

魯郡東石門送杜二甫
魯郡の東石門にて杜二甫を送る

醉別復幾日  別れに醉うこと 復(ま)た幾日ぞ
登臨偏池臺  登臨は 池臺に偏(あまね)し
何時石門路  何(いず)れも時にか 石門の路にて
重有金樽開  重ねて金樽(きんそん)の開くこと有らん
秋波落泗水  秋波 泗水に落ち
海色明徂徠  海色 徂徠に 明るし
飛蓬各自遠  飛蓬(ひほう) 各自 遠し
且盡手中杯  且つは 盡くせ 手中の杯

酒樽屋がつくる特殊な木樽(たる)

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酒樽屋はときに、変わった酒樽もつくります。
写真は某蔵元の特注による、上から見ると四斗の酒樽(72リットル)ですが、実は容量は一斗(18リットル)の酒樽。
勿論、鏡開き用です。
実は、この酒樽を発砲スチロール製の台の上にのせて、菰を巻いて普通の四斗酒樽の様に見せる訳です。

重心が非常に上に来る事もあり、バランスが悪いので余り作りたくない酒樽ですが、
真夏でもあり、催事などでも清酒を呑む方が少なくなるものの、やはり酒樽は四斗樽じゃないと迫力がないという方が多く、72リットル型18リットル入り酒樽のご要望にも応じております。

2008年7月30日

八木節に使う樽太鼓(たるたいこ)

DSC06877.JPG 写真は四斗樽

八木節には樽太鼓(たるたいこ)を昔から使います。
一度使った酒樽(さかだる)は箍(たが)がゆるみ易く、高音が出なくなるため八木節専用に新たな樽太鼓(たるたいこ)を使います。
樽太鼓(たるたいこ)の箍(たが)は酒樽(さかだる)に比べて、出来る限り強く締めております。
八木節用の樽太鼓の箍(たが)は樽太鼓(たるたいこ)の中でも最も強いものを使っております。

毎年、七月の終わりから八月の始めの日曜に祭りが催され、各地で賑わいを見せます。
この時期は酒樽(さかだる)の出荷が一年の中で一番少ない時期であるため八木節用の樽太鼓(たるたいこ)を作る時間の余裕も出来る訳です。


2008年7月29日

酒樽屋のお八つ 其の拾陸

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夏と言えば、やっぱり これに限ります。  和三盆入り宇治氷

とらや
東京都中央区銀座7-8-6
電話:03-3571-3679
FAX:03-3571-6908
9:30~20:30 [平日・土曜]
9:30~19:30 [日曜・祝日]
年中無休

2008年7月28日

酒樽(たる)が植木鉢に変身

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一度使った、酒樽(たる)は二度、三度と使わないものです。
酒樽(たる)とは、本来そういう、いさぎよいものなのです。
二度はともかく、三度目は酒樽(たる)に酸味が出て来て逆に清酒の味を損なってしまいます。
それでは、戻って来た酒樽(たる)をどうするかというと漬物樽(たる)に使うか、植木鉢樽(たる)にします。
一度、清酒が入った酒樽(たる)は乾燥が早いので樽(たる)太鼓には不向きです。

写真は泉酒造の蔵の中にて

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こんな風に酒樽(たる)の底に穴をいくつか開けておかねばなりません。

2008年7月27日

漬物屋さんが使う漬物樽

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京都 錦の漬物店 高倉屋さんの店先です。
高倉屋さんが使っている漬物樽は殆どが「たるや竹十」製です。
一日に百人以上の方が、この光景をカメラにおさめて行かれるそうで、
漬物樽たちも毎日、恥ずかしい事でしょうね。


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この日は納めた漬物樽の様子を見に行っただけなのですが、水茄子の漬物を頂戴して、恐縮する。
高倉屋さんの漬物は、二十四気節に準じていて、どれをとっても、まことに美味。


一月 : 立春(2月4日)- 雨水(2月19日)
二月 : 啓蟄(3月6日)- 春分(3月21日)
三月 : 清明(4月5日)- 穀雨(4月20日)

四月 : 立夏(5月5日)- 小満(5月21日)
五月 : 芒種(6月6日)- 夏至(6月21日)
六月 : 小暑(7月7日)- 大暑(7月23日)

七月 : 立秋(8月7日)- 処暑(8月23日)
八月 : 白露(9月8日)- 秋分(9月23日)
九月 : 寒露(10月8日)- 霜降(10月23日)

十月 : 立冬(11月7日)- 小雪(11月22日)
十一月 : 大雪(12月7日)- 冬至(12月22日)
十二月 : 小寒(1月5日)- 大寒(1月20日)


今は、大暑過ぎたところ、土用の真ん中、暑くて当然ですね。

2008年7月26日

西宮市に保存されている酒樽作り、桶作りの道具の数々

oke-taru.JPG 白鹿記念酒造博物館蔵(写真も同館資料より)

西宮市にある財団法人白鹿記念酒造博物館には奈良県に先駆けて酒樽と桶をつくるための道具が保存されている。
その使用法の記録とともに大切に保存すべき貴重な民俗文化財である。
西宮市教育委員会が一冊の資料集として調査編集し上梓している。

この酒造り用桶および、酒樽作りの道具類は、西宮の辰馬本家酒造専属の桶師名川氏と同社製樽部で使用していたもので、全ての道具は揃っていないものの、さまざまな醸造用桶類や清酒の運搬および容器としての酒樽を作るために、江戸期から昭和四十年代まで実際に使用されて来た貴重な財産である。
西宮に限らず各酒蔵では大小さまざまな桶類を使用するため、桶製作用道具の種類も当然多岐にわたり、
側板を削るための正直台が何本も、各種銑類や大小の鉋類、箍を叩く締木類等々が保存されている。
それぞれの用途に応じた工夫が職人の手によりなされている所が興味深い。
近年、木製の桶に代わり琺瑯やステンレスなどのものが多く使用されるようになって、昭和初期には同社だけで二十五人もいたという桶師も最近、最後の一人であった名川氏が引退してしまった事はまことに残念である。

輸送容器としての酒樽だけは数量は減ったものの、途絶える事なく今も製造が続いている。


2008年7月23日

酒樽屋が作る八木節樽 又は ディスプレイ樽

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酒樽屋がつくる樽太鼓は、学校の音楽の授業の他に、八木節の祭りに使われたり、
店舗設計のディスプレイに使われたり、単に椅子や机に使われたりと樽太鼓の使用方法は千差万別。
便宜上「樽太鼓」という名称で呼んでいますが、酒樽屋が予想もしない樽太鼓の使い方もある事でしょう。



2008年7月21日

樽太鼓と八木節

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八木節の季節が近づいてまいりました。八木節のリズム隊には樽太鼓(たるたいこ)が不可欠です。
写真は八木節のために作った四斗(72リットル)の樽太鼓(たるたいこ)です。
やはり、地元の群馬、栃木方面からの依頼が殆どです。

祭りが終わったら、樽太鼓(たるたいこ)を新聞紙で包み、直射日光と風を避けて冷暗所に保管して下さい。
適度な湿度は必要ですが、湿度の変化に弱いので八木節用の樽太鼓(たるたいこ)には「水」をかけないようにお願いします。



酒樽屋の虫養ひ 其の陸

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酒樽屋も時にはアフターヌーンティー。
クラブハウスサンドをシェア。ポット入りのココアを三杯。
ピクルスとポテトチップス付き。

2008年7月19日

江戸の江戸一に 四斗の酒樽が 二丁並ぶ

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余分なものが一切無く、かつ清潔な店構え。
おなじみさん以外は入り難いと思う。



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左が「泉正宗」、右が「白鷹」の四斗酒樽 。
どちらも赤味樽です。
左の「泉正宗」の四斗酒樽は「たるや竹十」による吉野杉の酒樽です。

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初めて行く者にとっては、まるで酒道場のような居酒屋です。
扉を開けるとU字型のカウンターの奥に座る、いかにも江戸っ子めく女将さんの眼が語る。
「あなた方はじめての客だわね」「どんな呑み方をするのかしらねえ」..................

通されたのはカウンターの一番奥、即ち女将さんの前。
酒を呑めない酒樽屋夫婦は、やや緊張気味。
取り敢えず二種の樽酒を注文。白鷹の樽は周山杉の香りが。
全員が身内と思われるスタッフの動きもキビキビとして気持ちがいい。

二丁の四斗酒樽以外にも、選び抜かれた地酒が一升瓶でずらり。
基本的に樽酒も含めて、燗が基本。
周囲を見渡すと静かに酒を呑む常連の一人客が目立つ。
その間も全ての客の酒の進み具合と肴の食べ方に女将さんの鋭いチェックが。

奥に手書された肴が美味しい。この日は本当に魚ばかりだったけど。
清酒と相性のいい肴が揃っていて、注文に迷う。
女将さん手作りの漬物を頼んだら、ようやく「おいしいでしょ」と女将の一言。
多分、たるや竹十の一空樽で漬けた物。本当においしかった。
糠を混ぜる手は複数の人ではいけない。同じ人が混ぜないと美味しくならないとか。

お勘定の時に時代を感じさせる算盤で女将自らパチパチ。
料理を少しでも残していたら、叱られる。清酒が徳利に残っていたら「全部呑みなさい」という厳しい指令が。
江戸時代、茶道、華道など共に「酒道」というものがあったのですが、それを思い出しました。
現代では希有な一店です。



山手線大塚駅南口、路面電車を渡り、東京三菱UFJ銀行の向かい
豊島区南大塚2-45
平日は17時から営業。22時閉店
土曜はいずれも30分ほど早くなる。
TEL:03-3945-3032
日曜定休。

2008年7月18日

酒樽屋の近所にインド料理店が出来る

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ゴータム ラクシュマンさんが岡本店に続いて、酒樽屋の近所に新店舗を突然開きました。
ここは、つい最近までうどん屋さんだったところです。(その前は喫茶店)

ラクシュマン夫妻は、かつて新神戸のインド料理店「アジメール」で働いていた経験の持ち主。インド料理好きの樽屋がよく通っていたお店です。
オープン初日に行くと、「アジメール」のマネージャーが先客に...
数年ぶりの再会でした。

ラクシュマン夫妻の19歳の息子サントス君が灘店を手伝っております。

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ゴータム インドレストラン 灘店
神戸市灘区船寺通1−8−16
078-882-7551
11:30~14:30 17:00~22:00


2008年7月17日

酒樽屋 ディスプレイ用の売場樽を作る

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かねてから製作中のディスプレイ用の売場樽が完成しました。
数が多いのと少し洩れるように作るという特殊な依頼だったので、使う材料も普段とは違いますし、少々手間取りました。
一番右に見えるものが、上から12センチの底のもの。左に三つ見えているのが上から23センチの所に底を込めたもの。

ディスプレイ用の樽は常に特殊な依頼で作りますから規格通りの酒樽に比べて、いつも慣れるまでに時間を要します。
��0丁位作った所で調子が出てくるのですが、だいたいその程度の数量が依頼数なのです。

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上の二つは裏側。節だらけの底が入ってはいますが、単に補強用です。
ディスプレイ用の売場樽が出来上がってから、最後にはめ込むので、思いのほか 技を要するのです。







2008年7月16日

酒樽屋のお八つ 其之拾肆

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東北を除いて、鮎釣りが解禁になる頃、各地の和菓子屋にも「若鮎」が並びます。
写真の大極殿の鮎は、しっぽまで たっぷり求肥が..........

因に本日は「鮎の日」だそうです。
何の日でもあるんですね。

昨日は全国休漁でした。鮎漁はどうなのでしょうね...


大極殿
京都市中京区高倉四条上ル
075-221-3323

どうやら6月5日が「樽の日」だそうです。