2010年9月3日
たがや 落語に登場する「箍(たが)」
両國花火之圖(六枚續の上部三枚) 歌川豊圖 文化年間 江戸東京博物館所蔵
樽(たる)や桶(おけ)の周囲を結っている竹の輪を箍(たが)と呼びます。
洋樽では竹ではなく金属を使い、アジアの各地では葛(かずら)の場合も見られます。
日本でも桶(おけ)の場合は銅製針金を捩ったものや、
金属板で本体を支えることもあり、これも箍(たが)と呼びますが、
たが屋と言えば竹冠のとおり、竹箍(たが)が通例です。
痛んだ桶や樽の修理を請け負う仕事が、日本中どこにでもありました。
関西では「輪替屋」、関東では「たがや」と呼んでいたようです。
お櫃(ひつ)や盥(たらい)等ちょっとした、木製品を気軽に修理してくれる仕事です。
たがや!という掛け声の「落げ」の落語が有名です。
「たまや!_」と掛けてているのでしょう。
三代目金馬、五代目志ん生、三代目志ん朝などが有名ですね。
故志ん朝師匠の「たがや」其の一、其の二、其の三を拝聴してみましょうか。(注 計20分ばかりありますよ)
師匠、最近じゃ「たがや」の何樽(なんたる)かを「枕」で説明するのに往生しそうですな。
「桶屋」はかろうじて復活しつつあり、「樽屋」も清酒が無くならない限り続きますけれど、
残念ながら「たがや」や「輪替屋」は「鋳掛屋」同様、皆無になってしまいました。
結局、「たるや竹十」に全国から輪替えの依頼が来るという奇妙な事態になっております。
日本中に「輪替え」を待っている桶や樽が無数にあるというのに。
折角、皆さんが桶や樽の良さに気が付きはじめて下さったという時には、
既に職人がいなくなっていました。
万博前後に台頭したプラスチックの功罪は想像以上に大きいようです。
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