酒樽(さかだる)で一番よいものといえば甲付樽(こうつきだる)です。
と言うよりも昭和の中頃までは酒樽(さかだる)には甲付樽(こうつきだる)しか使いませんでした。
しかも、戦前は四斗樽(よんとだる)すなわち72リットル、一升瓶で40本分のものだけが流通していました。
日本酒と最も相性がよく、しかも見た目が青竹に白と清々しく、しかも酒が洩れにくい性質の部分なので珍重されたものです。
これをコモで巻いてしまうのは大変もったいないことです。
当時は酒樽(さかだる)が届いたら、すぐにコモは廃棄して中の酒樽(さかだる)を出したものです。
吉野杉の中でも最良の川上産の材料、その中でも原木で一箇所だけしかとれない部分、
外側が白く内側が赤い箇所を甲付(こうつき)と呼びます。
それでは、その内側の赤い部分(「赤味」といいます)はどうしたかというと「醤油樽」に使っていました。
また、外側の白い部分は「木皮」(こわ)といって柾目に割り寿司半切に使います。
半切には向かない白い部分が少ない原木の場合は吉野地方で箸に加工されてきました。
醤油を樽詰しなくなった昭和36年以降は赤味材も酒樽に使うようになり、甲付(こうつき)は特級酒(今の特撰)、赤味(あかみ)は一級酒(今の上撰)と差別化しました。
白い部分は酒樽(さかだる)の蓋(ふた)に、赤い部分は底にも使います。
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