2009年9月11日

樽太鼓に釘を打たないで下さい

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樽太鼓の箍(たが)に釘を打ったり、木工用ボンドを使用したりしないで欲しいのです。
修理の作業が大変面倒になり、ひどい場合は修理が不可能になってしまいます。
樽太鼓は保管が悪いと乾燥して竹の箍(たが)がゆるみ、下に落ちて来ます。
仕方がないので、安易に釘を打ったり化学製品の接着剤を塗ったりする方がおられますが、
これによって樽太鼓の音が良くなる事は決してありません。

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上は箍(たが)にボンドを塗り過ぎて、輪の取替えが出来なくなったもの、
下の右は大量の釘を打ち付け、更に蓋(ふた)をボンドで固定してしまったもの、
下左は樽の蓋(ふた)の替わりに丸く切ったベニヤ板をボンドで貼付け、更にビス止めしたもの。(このような加工を施しても無駄に手間がかかるだけで良い音が出ることはないのです)
どれも修理が困難です。どうしても修理をするとなれば新品を買うより高い費用を要します。




2009年9月10日

吉野杉を使った木樽の作り方 その7 輪締め

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巻いた竹の箍(タガ)を締めることを「輪締め」と呼びます。
左手の締め木を右手に持つ大きな木槌で叩いて箍(タガ)を締めていきます。
何人もの酒樽職人が槌を振り続ける独特の大音響は冬の風物詩とも言えたのですが、
実際は近所の住民の方々にも迷惑をかけますし、
酒樽職人たちも40代,50代で耳が聴こえにくくなるのが通例です。

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あらかじめ、手で締めた箍(タガ)をさらに強く締めるため、
今では、この工程のみ唯一機械を使用します。

酒樽屋の中でも樽屋竹十の職人たちは最後まで機械の導入を拒みました。
昭和40年代に小豆島の醤油樽屋から製樽機械一式を譲り受けた事があったのですが、
酒樽職人たちは、まるで汚い物を見るかのように扱い、機械は工房の片隅に長く放置されていました。
恐らく、この機械が導入されると自分たちの仕事が無くなると危惧していたのでしょう。
この製樽機械一式は後日、職人たちの冷たい眼に耐えられず別の製樽業者の工場へ譲られて行きました。

「竹十」では、ようやく昭和50年代に酒樽業界で一番最後に「樽輪締機」を新調、設置することになります。
千葉県野田市に「川鍋製作所」という日本で唯一の「樽輪締機」を作る工場がありました。
昔、野田には沢山の醤油樽屋があったからでしょう。全国の樽屋がここに発注、修理を依頼していました。「竹十」も長く、ここに世話になりました。
現在は、別の仕事をされているようです。

��7歳まで現役だった、樽屋竹十の一番職人(たくさんいる職人のリーダー格で技術も名人級です)は唯一の機械である「樽輪締機」も使いませんでした。
殆どの酒樽職人たちが喜んで「樽輪締機」を使うなか、彼は目の前に楽な機械があるにも関わらず、最後まで手締めの酒樽を作り続けました。
しかし、ある日に作った酒樽の出来具合に納得出来ず、自ら引退を宣言したその一週間後に亡くなりました。
彼の最後の酒樽は若い私の目では,どこも悪い所がないものでした。

尋常小学校に通いながら酒樽技術を習得し、90年間を樽一筋に生きた見事な人生です。
彼が伝え聞いた文政二年の創業当時の話等を殆ど耳が聴こえなかったにもかかわらず、私に話してくれたものです。


現在「竹十」が使っている写真の輪締機は近所の鉄工所と共同開発した改良型の二代目です。



2009年9月8日

江戸の世に遊ぶための小さな道具 煎茶器 

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樽屋竹十が創業された文政二年とは柏木如亭が亡くなった年でもあり、
菊池三渓が生まれた年でもあります。
漢詩や煎茶が盛期をむかえていた時期です。
文人墨客へ対する、造り酒屋の旦那さん達の援助がなければ成り立たなかった世界でもありました。
酒樽屋の親方たちも当時は、その末席に位置していたようです。

旦那衆のなかでも代表的な人物が大阪の木村蒹葭堂
伊丹の岡田利兵衛です。両者共に造り酒屋を営んでおりました。
旦那衆はこのような席を文化的な社交の場とみなし、当時の文人達を自宅に逗留させたり、
書画を買い上げたりしつつ自宅を解放し知的サロンを開催して、
情報交換を兼ねながら自身の文化的レベルを高めていきました。
現在では残念ながら、そのような粋を極めようとする老舗の旦那衆が少なくなくなりました。
前述の木村家、岡田家ともに現在は酒造を営んでおりません。

明石市立文化博物館で「兵庫の陶磁 煎茶の器」という展覧会があります。
��月29日から9月27日まで
兵庫県の陶磁器、すなわち珉平や三田を中心に京焼も含めた展示。
チラシの紫泥大茶罐は黄檗山萬福寺所蔵の宣興窯。高さが12センチ以上あります。まさに「ヤカン」ですね。



2009年9月7日

樽屋へ見学者が続く

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なぜか、夏が終わりに近づくと酒樽屋には来訪者が続くのです。
酒樽屋の向かいが観光バスのルートに含まれているからだけではないようで、
今となっては珍しくなった酒樽屋の仕事の現場を見ておこうという方々が多いようです。

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そして、HPをご覧になった方が、未だ店が完成していないのに漬物樽、味噌樽、樽太鼓あるいは酒樽を現物を見て比較された上で直接購入されるケースも多々あります。
早く「店」を完成させなければ!!!






2009年9月5日

木樽製造における困難

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木樽の側がタガの圧力に負け、バランスを崩して割れてしまった訳です。
このようになった状態と、そのような樽を「どさ」と呼びます。

『どさ』とは佐渡(さど)の倒置語で、江戸時代、賭博で捕まると佐渡へ島流しになったことから、賭場に役人が踏み込むことを『どさ』と呼びました。
一旦島流しになるとなかなか戻ることは出来なかったといいます。

また、復元不能という意味から『土左衛門』の略という説もあります。
実際には底等を替えれば復元は可能ですけれど、「修理」という作業は
何に於いて同じですが、新品を作る作業の倍以上の時間と労力を要します。

樽を作っている者から言わせると、本当に「どさっ」という感覚で壊れるので、
この方が現実的です。

2009年9月4日

酒樽屋のお八つ  その弐拾陸 ラスク

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折角買って来たバゲットが残ってしまったので、知らない間に樽屋の女房がシナモンラスクを作ってくれていました。
ORANGINAのグラスに入っているのは、お中元の定番「カルピス

ラスクはバゲットを薄く切って、150度位のオーブンで10分ほど焼いた後、表面に溶かしバターを塗り、シナモンとブラウンシュガーをたっぷりのせて、
再度オーブンで10分くらい焼きます。
なかなかの美味です。
材料のパンは舊藤井パン製

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MOISANのフリュートが心斎橋そごうの閉店に伴って関西では買う事が出来なくなって、まことに残念です。
毎朝パリまで出かける訳にもいきませんし。

市販のラスク

2009年9月3日

李白と酒樽

800px-Libai_shangyangtai.jpg北京 故宮博物院(旧紫禁城)蔵

前有一樽酒行二首其二 李白

李白の雑言古詩に詠ふ。

 「前に一樽の酒有るの行(うた)」

  琴奏龍門之綠桐  琴は奏す 龍門の綠桐
  玉壺美酒清若空  玉壺の美酒 清きこと空の若し
  催弦拂柱與君飲  弦を催し柱を拂って君と飲む
  看朱成碧顏始紅  朱を看て碧と成し顏始めて紅なり
  胡姫貌如花     胡姫は貌(かんばせ)花の如く
  當壚笑春風     壚に當たりて春風に笑ふ
  笑春風 舞羅衣   春風に笑ひ 羅衣を舞はしむ
  君今不醉欲安歸  君今醉はずして安(いづく)にか歸らんと欲する
 
李白は杜甫に「李白一斗詩百篇」と「飲中八仙」の中で詠はれる程の酒好きで有名ですが、
当時の一斗は現在の約18,039.......リットルより遥かに少なかったそうで、
一斗樽詩百篇ではなかった訳です。
李白に限らず、漢詩に度々出て来る「樽」は酒を象徴した謂いで、
よく「金樽」とか「一樽」とか詠まれていますが、「一壷」と同じ意味でしょう。
同じく、杜甫が李白を詠んだ詩。ここにも「一樽」が出て来ます。

 
 春日憶李白 
   白也詩無敵         白や詩敵無し
   飄然思不群         飄然として思ひ群せず
   清新愈開府         清新なるは愈開府
   俊逸鮑参軍         俊逸なるは鮑参軍
   渭北春天樹         渭北 春天の樹
   江東日暮雲         江東日暮の雲
   何時一樽酒         何れの時か一樽の酒
   重與細論文         重ねて与に細かに文を論ぜん

ところで、「李白」という銘柄の清酒がありますが、島根県松江市の蔵元が醸造しているものです。

2009年8月29日

夏休みの終わり

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朝晩、涼しくなってきますと夏休みも終わりに近づきます。
宿題が未だ出来ていない子どもたちも多くいることでしょう。
毎年、この時期になると酒樽屋であるということから知り合いに頼まれて、
工作の宿題の手伝いをするのが常なのです。

今年は近所の蔵元の企画で小学生達に工作を教える機会がありました。
使用する素材は酒樽を作る時に出る端材の数々です。

上の写真のうち、左端は酒樽の蓋(ふた)の一部。真ん中は木栓類、
右端は左側の酒樽用蓋(ふた)に穴を開ける時に出来るもので面白い形をしているので、私も子どもの頃は自動車や自転車の車輪に見立てて様々な物を作ったものです。


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2009年8月28日

修理中の樽太鼓

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今日は実際に樽を修理します。
どちらも一斗(小)樽太鼓です。
左の樽太鼓は蓋(ふた)が傷んでいただけなので、新しい蓋(ふた)に取り替え、
更に汚れた樽の表面を銑(せん)を使って一皮むき、最後に新しい青竹を入れ直します。
このように修理をいたしますと新品同様に生まれ変わります。
但し、この再生方法は一回限りです。樽太鼓の側面がどんどん薄くなりますから、
何度も繰り返すことが出来ないのです。

右側の樽太鼓も一斗(小)ですが、樽の側面が折れています。
箍(たが)が強過ぎたのか、樽側が不良だったのか理由は不明ですけれど、
折れてしまっています。
この状態を樽屋は「ドサ」と呼び、一番困った状態です。
当然、悪い部分を取り替えて最初から作り直さねばなりません。

修理は一つひとつ充分に手をかけてやらねばならないのですが、すっかり再生された樽をみるのはうれしいものです。

2009年8月25日

修理を待つ樽太鼓

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各地の小学校から、新学期に使う樽太鼓の修理品が持ち込まれます。
これらには新しい「フタ」が入れられ、「タガ」を巻直して新品同様に戻ります。
��月には新しい樽太鼓として使われる訳です。
左側が二斗(中)樽太鼓、右が四斗(大)の樽太鼓。



2009年8月24日

樽屋が日経に!?

%E7%AB%B9%E5%8D%81%E9%AD%811.jpg往時の灘・大石浜と「竹十」

日本経済新聞に「たるや竹十」が取り上げられました。

��月12日朝刊「200年企業ー成長と持続の条件」第65回。
毎週水曜日掲載の「200年企業」は人気のシリーズだそうです。

当日の朝は新聞が届く前に問合せの電話で目が覚め、
一日中メールと電話が続きました。樽太鼓、漬物樽、味噌樽などの御注文をたくさん頂きました。

%E7%AB%B9%E5%8D%81%E9%AD%812.jpg「竹十」の初代、竹川重兵衛の名が見えます。明治17年刊「豪商名所独案内の魁」より

ありがとう存じました。

2009年8月13日

「鏡開き」が人気

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左から、「9リットル赤味酒樽」、「9リットル甲付酒樽のフタ抜き」とその「フタ」、
右端が「9リットル漬物樽」

最近、海外で結婚式を挙げる方を中心に、最も小さい9リットルの酒樽を使って
「鏡開き」をしたいという御注文が増えてきております。

確かに着物での挙式となると、昔ながらの杉と竹で出来た木樽が一番でしょう。
かつて「鏡開き」と言えば四斗樽が主流でしたが、今は精酒を沢山呑みませんから
��8リットル(一斗樽)か9リットル(5升樽)を選ぶ方が多くなりました。

酒樽の「鏡開き」の儀式は簡単な作業なのですが、一般の方々にとっては特殊な事なので、
写真の真ん中の樽のように、あらかじめ「ふた」を開いておき失敗を避ける方も多くなりました。
ただ、この方法ですと肝心の「木香」が付きにくいので、どちらを選ぶか悩むところです。

2009年7月4日

明日からツール ド フランス

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いよいよTOUR DE FRANCEの季節になりました。
今年のスタートはモナコです。
二人の日本人が出場、更にランスの復活と第96回のツールは話題が満載。
観に行きたいな。樽屋の女房は何度か観戦したことがあるそうなのです。



2009年7月1日

キュウリが豊作だから漬物樽(タル)を沢山つくる

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どこの菜園でも「キュウリ」が沢山実って、急いで漬物樽(タル)を送って欲しいという依頼が多く続きます。
丁度、六月は酒樽の注文が少ないため、一斗の漬物樽を沢山作り置きしていましたから、
当日か、宅急便の都合で翌日には、お届け出来ます。

胡瓜

Cucumis Sativus 学名のSativusは「耕作の」の意、Cucumisは「うり」の意。
北インド原産、10世紀に日本に渡来するも食品としては余り普及せず、
江戸では寛政年間(1789~1800)から,都では聖護院で天保年間(1830~1843)ころから栽培。
西洋では古代ギリシャ時代から栽培が行われていたもよう。

漢名 胡瓜 黄瓜
独名 Gurke
英名 Cucumber
仏名 Concombre 







酒樽屋の「一年のへそ」

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酒樽屋の一年も丁度半分を過ぎました。
梅雨の真中、あじさいが色鮮やかです。

樽屋の工房の中はひんやりしているので、樽(たる)作りには最適です。
昔の人が、そんな風に設計したのでしょうし、工房の中は「木」だらけですから。
漬物樽、樽太鼓、店舗展示用樽を作る合間に酒樽をつくりました。

今年の夏は暑そうですね。