2015年2月20日

酒樽屋の「さし止め」

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完璧に作った筈の酒樽(さかだる)も、中には酒を容れると洩れるという事態が発生します。
酒樽(さかだる)から酒が洩れる事を「さす」と言います。
この洩れを止める事を「さし止め」と呼びます。
殆どの「さし」は「むしくい」という槙の木で出来た木片を突き刺せば止まるのです。
昔は酒造会社から「さし」という電話があると「さし止め職人」が自転車で走っていったものです。
昔は悪い職人もいて、あらかじめ分かりにくい場所に錐で小さな穴を樽にあけておき、
「さし」の電話があると、喜んで飛んで行きます。
洩れの原因は自身が一番良く知っている訳ですから直ぐに止めたあと、
なじみの酒屋さんと美味しい原酒を呑みながら一時間ほど無駄話をして、
「ああ大変だった」と言って工場(こうば)に帰って来る訳です。
彼の自転車の籠には、しっかり御土産の一升瓶も隠されていました。



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