高さが480㎜という、樽屋にとっては大変作りにくいサイズの樽です。
酒樽は容量の関係で、一斗樽(たる)、二斗樽(たる)、四斗樽(タル)の三種のみでしたから、
当然、使う材料も一尺一寸、一尺五寸、一尺八寸(約34センチ、約45センチ、56センチ)の三種のみです。
昔は「樽屋竹十」南の浜辺で丸太を挽き、乾かしておりましたが、
神戸市灘区に浜辺が無くなってしまった事もあり、
全ての作業を山の中で仕上げるようになりました。
そんな訳で約一尺六寸の樽(タル)を作るには、勿体ないのは承知で、
一番長い一尺八寸の樽丸を切断するしか術はないのです。
尚かつ、この細長い樽(タル)には、青い竹ではなく、
古色がかった古いタガを使って欲しいという要望にも応えました。
何度も試作品を送って、作り直しました。何度も断念しそうになり、
断りの電話も入れた程でしたが、完成すれば良い経験になりました。
写真の完成品の手前に見える樽(タル)が一尺五寸で作った二斗樽(タル)、
向こう側に見える樽(タル)が一尺八寸で拵えた四斗樽(タル)です。
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