2008年11月7日

酒樽屋に酒樽が戻って来る

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世に瓶詰めの樽酒というものが流通しております。

一般に酒樽そのものを使う機会はそんなに無い事ですから、樽酒の普及の為には
有り難いことですし、皆さんも手軽に樽酒を呑む事が出来る訳です。

もちろん本当に清酒を酒樽に詰めて、木香を取るのですが、
この蔵元が使っている木香取り用木樽は、いわゆる甲付樽(こうつきだる)
ゆっくり、ほんのりとした杉の香が酒自身の芳香と数日の貯蔵期間の間にうまく、
あいまって樽酒特有ののどごしが生まれます。
ただ、ここの酒樽は甲付樽ですから、樽酒に使った後の処理に困ります。
つまり、外側の白い部分が水に弱く、長期保存用の容器には向いていないのです。

フタを抜いて漬物樽に使うには赤味樽あるいは中赤や黒樽の方が向いております。

物事には用途に適したものを使うという事が大事です。
シルクのスーツを着てマラソンに参加する人は どこにもいないでしょう。
この「甲付たる」は酒樽屋竹十の職人が一旦全部分解しフタやタガを新たなものに取り替えて、展示用や樽太鼓に改造し再利用します。

また、残念な事に底蓋と側などすべてに吉野杉を使っている蔵元は数える程です。
秋田杉や肥後杉、周山杉、木曽杉などは樽酒には向いておりません。
やはり、清酒には吉野杉が一番です。その中でも川上村産が最高です。
殊に、酒に最も長い間 触れている底(そこ)には必ず吉野杉を使うべきなのです。
酒樽屋竹十の酒樽は吉野杉を使っております。

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