
今では、殆どの木製樽は菰(こも)に包まれたままで、中を見てもらえません。
酒樽屋(さかだる屋)にとって、こんなに悔しいことは無いのです。
昔は、菰(こも)輸送中に酒樽(さかだる)が傷まないようにする為のプロテクターだったのですが、
他の蔵元の酒樽と差別化するために、どんどん派手になっていって、神社に最近飾ってあるように、
一目で、どこの酒樽(さかだる)か識別出来る様にはなりました。
それと並行して、中の木製樽は見えないから質が悪くてもいいという傾向が強くなり、粗悪化していってしまったのです。
たるや竹十では、出来るだけ木製樽をそのまま見てもらえるように菰を巻かずに裸で出荷するようにしております。
それでは、どこの酒が入っているのか判らないので、正面にレッテルを貼ります。
昔は「腹書き」と言って、ここに何版かの刷り込みを施し、各種の柄や蔵元の銘を色鮮やかに表現したものなのです。
個人的にパーティなどで木製樽を使う時、銘柄ではなく、好きな文字を和紙に墨書きして張っております。
版を作らなくてもいいので、酒の銘柄に囚われることなく、好きな文字を書くことが出来ます。
写真の木製樽は上から三本目と四本目の箍(タガ)で樽の中ほどに仕込んだ底を締め付けることのより、四斗樽(タル)の形をしていますが、容量を二斗に変更しています。
更に上に箍(タガ)を締めると、一斗入りのものも出来ますが、ラベルを貼るスペースがなくなります。