2010年9月8日

簡易式樽太鼓(たいこ)修理法

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最近、急速に需要が伸びて来た楽器としての樽太鼓(たるたいこ、たるだいこ)は
廉価で、かつ趣きがあり人気があります。
昔は学校や保育園での色々な催しや音楽の授業に使うという形態が主でしたけれど、
最近は地元の祭、阿波踊り、八木節、ソーラン節などの囃子方にも登場、
更に江戸明治期に盛んだった、使い古した酒樽や醤油樽を楽器に見立てて祭の宵に叩きながら踊る風習を復活させようという兆しが全国各地に広まって来た事も影響しています。

樽太鼓(たるたいこ)は杉製ですから、フタが柔らかいので叩き続けると表面の摩滅、ささくれが顕著になります。かつて、これを改良しようとフタを分厚くしてみたり、あるいは南洋材のように硬い物を使ってみた事がありますが、やはり杉の持つしなやかさと現在の約2センチの薄さが高音を醸し出しているようで、基本的な樽(たる)の形状は変えず、箍(タガ)の堅さの方が重要だという事を再認識しました。 

小学校でも高学年になると大人顔負けの力で叩くので、フタの傷みも激しくなります。
それより、保管状況にもよりますが、竹の輪で出来た箍(たが)よりも、
杉で出来た蓋(ふた)の乾燥が早いので、一年程で音質が劣化する事です。

樽屋竹十では、こんな場合、蓋(ふた)も箍(たが)も総替えして新品同様に再生します。
そこまで完璧を求めない方や予算と時間に制限がある方の場合は、蓋(ふた)を裏返して、
上2本の箍(たが)を締め直します。
元が中古の酒樽であった場合は蓋(ふた)に天星(てんぼし)を入れ直します。

外見は余り良いとは申せませんが、音が第一ですから楽器としての第一条件は満たしている訳です。

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写真の場合は穴が貫通してしまいました。
蓋(ふた)が、ここまで傷むと当然「裏返し」は不可能です。新品と取替ました。
弊店の樽太鼓は、音が良いと気に入って貰えるのは、
機械による量産品と違い、ひとつずつの手作りだからではないかと思います。

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