2010年5月28日

杉樽(たる)に於ける「目越し」

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杉の中でも最高といわれる「吉野杉」でも、中には樽(たる)に適していないものもあります。
杉も竹も生き物ですから仕方がありません。
原木を輪切りにした時、樽丸に仕上げる時、樽(たる)を作る時などなど、
何段階もの選別の機会があるのですが、これまた人間の仕事ですから、見落としも稀にあります。

写真の真ん中に見える材料が「目越し」という状態。
水分が木の細胞を通じて滲み出し、どのような方法をとっても滲みを止める事は出来ません。
この一枚だけを交換するしか手段はないのです。
杉の細胞が完全に死んでいて、このような木を「ネキ」(多分、木が寝てしまった意味でしょう)と呼びます。
どんな名人でも、この種の材料を使って樽(たる)を作ることは出来ません。

この一枚のために樽(たる)がダメになるので、選別には厳重な注意が必要なのです。

2010年5月11日

味噌樽(みそだる)の大中小、三種

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人気の「味噌樽(みそだる)」に「特大」(高さ約56センチ)を加えて、
大中小の三種が揃いました。
容量は、それぞれ約36リットル、18リットル、9リットルです。

これらの味噌樽(たる)には、落し蓋と上蓋の二枚が必ず付属します。
そして、この二枚の蓋(ふた)も吉野杉を用い、接着剤を使用せずに竹釘で継いでおります。

この形態の味噌樽(みそだる)は本来、樽屋ではなく、桶屋の仕事なのですけれど、
かつて、日本の町には必ず一軒あった桶屋が激減し、むしろ樽屋の方が未だ少しは残っているものですから、こういう仕事も樽屋が請け負わざるを得なくなってしまった訳です。

「桶(おけ)」と「樽(たる)」の違いは書き出すときりがないので、またの機会に。