2011年9月17日

にいがた総踊り 10周年を迎える

秋の銀色三連休の日曜日。皆さんいかが御過ごしでしょう。



新潟では恒例となった新潟総踊りが目出度く10周年記念となりました。
わざわざ樽屋竹十まで来て下さり太鼓演奏の実演まで披露して下さり、
又、その後は何度も試作品を作っては先生の厳しい試し打ちに適わず、
失敗も繰り返しながらの10年でした。
佐藤さん、鼓山先生、スタッフの方々、ボランティアの皆様、お疲れさまでした。
これからも宜しく御願いします。

にいがた総踊りの樽太鼓の叩き方は樽を潰すという程の迫力ですから、
それに耐えられるように特別に強靭に作っているのです。
最初の頃は単純に蓋や側を厚くすれば良いと勘違いした事もありました。
いくつもの樽太鼓に水を容れて見たりもしました。
側は厚くしましたけれど蓋と底は薄い板を使い、
タガを強く締めれば良い音が出る訳です。
但し、傷み方が早いので、「樽砧」専用のような木製タル太鼓です。

昨年は新潟まで4トントラックで出かけたのですが、ニアミスでした。
今年は別のところへ行くので亦々勇姿を拝見出来ません。

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総踊り実行委員会 (株)サイトのサイトより

師匠の永島鼓山氏です

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祭りの使用後に戻って来た「樽砧」用の樽太鼓ですが、側面が数カ所も破れていて、
その叩き様の激しさを想像することが出来ます。
但し、木製樽としては修理、再生は不可能です。
どの程度の傷み具合かを知りたかったので、参考までに返送してもらった樽です。
最近は、側面に少し厚い杉板を使って少しでも長持ちするように変更してみました。




2011年9月13日

酒樽と中秋の名月

今年も中秋名月です。
満月を見ると、いつも四斗樽(たる)の蓋(ふた)を想い起こします。

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a98-rickyleejones1.jpg 珍しくリッキー リー ジョーンズ

丁度、一千一秒物語の元となる原稿が発見されたそうです。
原稿を収めたDVDは八木書店から刊行予定。45万円もするそうですが...................................

この原稿は10月1日~11月26日まで日本近代文学館で展示される由。




2011年9月12日

昔の菰の巻き方

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菰の巻き方は各酒造メーカーによって、それぞれ微妙に異なります。
戦前の菰巻き樽が出て来たので、中の酒樽を見てみたかったので、
解く前に菰の巻き方を仔細に比べてみると大きく違っていました。

ビニール菰が主流の今、昔は本菰に荒縄、中に藁を入れて形を整えています。
写真の巻き方が本式ではないかと思われます。
今でも、この巻き方を踏襲している蔵が何社かあります。


2011年9月10日

建築用の足場に竹を使う

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この竹の束は酒樽のタガを作る為に用意しているの物ではありません。建築用なのです。

東南アジアでは今でも建築物の足場用に丸竹を使います。主にマダケです。
日本でも、つい最近まで杉の間伐材を用いていました。
極めて少なくなりましたが、今でも小さな現場等では細い足場丸太をバン線で結わえて使う事もあります。
少々技術を要します。

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今では既成の金属製足場材を組立てて、小さなビルなら丸ごとを二日程で養生してしまいます。
歩み板も杉材からアルミ製に変わりました。
この時、現場で作業しているのは殆ど東南アジアの人々です。
解体する時は殆ど一日で完了です。

2011年9月9日

酒樽屋の秋

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重陽であります。
久しぶりに外に出ますと、街のショウウインドウは当然ながら秋一色。

姫路市立美術館
では縁の画家、酒井抱一鈴木基一の展覧会「酒井抱一と江戸琳派の全貌」が始まりました。
パンフレットに掲載の「夏秋草図屏風」(重要文化財)は東京国立博物館から借りてくるので、
��月21日からの第三期の展示のみ。
江戸後期特有の涼しげな粋が楽しめそうです。

殊の外、琳派好きだった山本芳樹さんが生きていたら、さぞ喜んだろうと偲ばれます。





2011年9月8日

吉野杉の樽丸作り その2



吉野川の清流を前に樽丸の仕上げ作業をする山本さん。
銑(せん)」という特殊な刃物を使って、割った杉の裏と表の厚みを揃え、
木のねじれを修正していきます。

本日、白露。
周囲全てが杉だらけの自然環境は鎮静作用があって何より心地良いものですが、
川上村も襲った、この度の台風12号の脅威は「自然」が持つ優しさの裏側に隠れた
恐ろしさという二面性を思い知らされました。

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よく切れる刃物の大鋸屑(おがくず)は着火材や防臭材にもなるのです。

2011年9月7日

吉野杉の樽丸つくり その後



ミカン割りした吉野杉を丸みの付いた鉈(なた)と大槌を使い、
全てを6分(2センチ弱)の厚さに割ります。
木目が切れては樽丸にはならないので、決して製材機は使用しませんし、
素性の良い吉野杉ですと、手で割る方が簡単に良質の樽丸が出来ます。

��0秒〜50秒くらいの所が「甲付(こうつき)」を割っている所。
外側に赤味が出ては「背抜け」になり、内側に白太が出ると「甲付」にはなりません。
ほり出した一番外側は「箸」の材料に、最も内側は、昔は底や木栓の材料にしましたが、
今では、もっぱら燃料となります。

この作業をしているY氏の作業場が今回の台風で土砂に埋まってしまいました。
今も復旧作業中ですが、何とか元のように戻って仕事が出来る様になってもらいたいものです。










2011年9月6日

台風12号 吉野林業へ大きな被害をもたらす

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大型台風が吉野杉の産地、紀伊半島を直撃。
しかも低速で居座ったために普段から日本一雨量が多い地域なのに、
未曾有の雨が続いたために山崩れが多発しました。
メディアでは余り報道されていませんけれど、
吉野杉の川上村でも命に関わる被害こそ出ておりませんが、
家屋の被害は多発していて、
「たるや竹十」用の樽丸を作っている工場も土砂に埋もれてしまいました。
現在も復旧作業中です。

写真は初夏の台風による被害で、倒れて来た杉が狭い林道をふさぎ、
乗用車は勿論、軽四も四駆も通行不能でした。
今回の豪雨は、この比ではありません。
未だ,雨が続く模様で予断は許されないのです。

%E5%B7%9D%E4%B8%8A%E6%9D%91.jpeg川上村提供 朝日新聞より

写真に見える建物は村役場、森林組合などの村の中枢部。
村の中心を通る国道が通行止めのため、現在は他の場所に仮設移動の由。

「水」は人間にとって最も重要な物質ですが、同時に最も危険な存在である事を、
再認識させられました。東日本大震災に於いても同様です。

皮肉な事に今、最も必要とされている物が又、「水」なのです。
神戸でも阪神淡路大震災の折、一番必要とされた物は電気やガスより「水」でした。










2011年9月4日

吉野杉のミカン割り



IMG_0001.jpg吉野林業全書より

最近は力が必要な部分は器械化されて、楽になりました。
ただし、まっすぐに木目が育った基準以上の品質を持った吉野杉でないと、
この機械は応じてくれません。
つい最近まで下の図のように全てが手作業でした。





2011年9月3日

酒樽用に吉野杉の原木を切る



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この作業を「先山(さきやま)」と謂います。
一般的には「玉切り」とも謂い、切った物は「玉」と呼びます。

今回は四斗樽用の一尺八寸が四本と一斗樽および四斗ハンダルセット用の一尺一寸の物が
一本取れました。

2011年9月1日

酒樽屋のお八つ  其の參拾陸 タマリンド

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九月、長月になりました。

写真は東南アジア(主にタイ)やカリブ海(主にジャマイカ)で大変普及しているお菓子です。
たいそう美味しいのに何故か日本では、余り見る機会がありません。
唯一、香辛料としてインド料理用などにペースト状で輸入されているだけのようです。

この お菓子は枝豆の兄貴分のようなタマリンド豆を甘く炊いて、
アプリコットパウダーをまぶしたものです。
見かけは美味しそうではありませんし、
問題は中から出て来る種が、まるで石のように固いのです。(手前の黒い粒)
下手をすると歯を折るくらいの固さなので、
神経質な日本人向きではありません。これが原因で輸入しないのでしょうか。
実際に食べた時も何故、石が混入しているのかなと不審に思った程なのです。




酒樽屋 吉野へ杉を買いに行く

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酒樽屋は酒樽ばかり作っている訳ではありません。
菰(こも)ばかり巻いているという状態は緊急事態だったからだけです。

普段は定期的に奈良県南部の吉野地方へ出かけます。

底にも蓋にも化学的接着剤を使わず、全ての材料を吉野杉で作っている樽屋竹十では、
常に良質の材料を定期的に確保するため、吉野地方の中でも酒樽に最適なを植林している、
川上村とその加工作業をしている麓の
吉野町上市へ、しばしば出かけます。

日本で一番、雨が多い山岳地域だからか神戸と比べて涼しいと感じた事はありません。
それでも昔に比べると道路も良くなって、気軽に日帰り出来るようになりました。

下の写真は見事に人口植林された吉野杉です。
これから何十年先が楽しみです。

普段から工場内はスギダラケ、杉に囲まれて仕事をしていますが、
さすが現地の杉林に出かけると本物の森林浴
明らかに気持ちがリフレッシュして帰ってまいります。