2007年11月30日

酒樽屋の「お八つ」 其の拾

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煎茶好きの酒樽屋(さかだるや)のおやかたに京都から「涼炉」と「羽帚」の焼印入り煎餅の到来物

寶盛堂 田中製菓
京都市上京区五辻七本松西入東柳548
��75-461-1490


五辻は「いつつじ」と読むそうです。「ごつじ」と呼んで樽屋の女房に笑われました。
本当に京都の地名は難しい!!!


神戸にも「田中金盛堂」という酒樽屋贔屓の煎餅屋さんがあるのですが、関係があるのかな。
ここも後日、紹介します。

2007年11月17日

酒樽屋(さかだるや)の「めでたい輪」

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「めでたい輪」製作 たるや竹十 意匠 DIVA

酒樽屋(さかだるや)が作った正月用の「お飾り」が梅田阪急で展示即売されております。
「こじつけ師」こと伊部壽夫さんにセレクトしていただいた物です。

酒樽(さかだる)に使う箍(たが)をリースに仕立てました。
普段と違い、延々と箍(タガ)を巻き続けたので、両手は棘だらけです。
竹の箍(タガ)は素手でないと、うまく巻けないので仕方がありません。


「お正月を楽しむアート展」
阪急・うめだ 9階和食器売場

��1月14日(水)~20日(火) 
大阪市北区角田町2番7号 電話 06-6361-1381
あさ10時→よる8時

��*11月21日(水)~27日(火)の「ジャパニーズ レトロ コレクション」にも樽屋(たるや)の「クリスマスリース」が展示即売されます。(同店7階)

2007年11月9日

タイコ樽(タル)=樽太鼓(タルタイコ)の修理

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たるや竹十では、タイコ樽(タル)=樽太鼓(タルタイコ)の修理も承っております。
写真の樽(タル)は前の持ち主が金釘や針金を使って、箍(タガ)が止めて応急処置をしたものです。
木製の樽(タル)には釘を打ったり、或いは木工用ボンドを使用してゆるんだ箍(タガ)を固定しても、きちんとした修理にはなりません。
太鼓(タイコ)としても音は良くはならないのです。

たるや竹十に送ってくだされば割れた蓋(フタ)や切れた箍(タガ)を新しいものに替えることによって、新品同様にする事が出来ます。
タイコ樽(タル)だけではなく、ディスプレイ樽(タル)も同じように修理して再利用する事が出来ます。

詳しくは、下記まで、お電話下さい。

078-861-8717

2007年11月3日

酒樽屋(さかだるや)が作る特殊な樽(タル)

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今では、殆どの木製樽は菰(こも)に包まれたままで、中を見てもらえません。
酒樽屋(さかだる屋)にとって、こんなに悔しいことは無いのです。

昔は、菰(こも)輸送中に酒樽(さかだる)が傷まないようにする為のプロテクターだったのですが、
他の蔵元の酒樽と差別化するために、どんどん派手になっていって、神社に最近飾ってあるように、
一目で、どこの酒樽(さかだる)か識別出来る様にはなりました。
それと並行して、中の木製樽は見えないから質が悪くてもいいという傾向が強くなり、粗悪化していってしまったのです。

たるや竹十では、出来るだけ木製樽をそのまま見てもらえるように菰を巻かずに裸で出荷するようにしております。
それでは、どこの酒が入っているのか判らないので、正面にレッテルを貼ります。
昔は「腹書き」と言って、ここに何版かの刷り込みを施し、各種の柄や蔵元の銘を色鮮やかに表現したものなのです。
個人的にパーティなどで木製樽を使う時、銘柄ではなく、好きな文字を和紙に墨書きして張っております。
版を作らなくてもいいので、酒の銘柄に囚われることなく、好きな文字を書くことが出来ます。

写真の木製樽は上から三本目と四本目の箍(タガ)で樽の中ほどに仕込んだ底を締め付けることのより、四斗樽(タル)の形をしていますが、容量を二斗に変更しています。
更に上に箍(タガ)を締めると、一斗入りのものも出来ますが、ラベルを貼るスペースがなくなります。

2007年11月2日

山本六三の展覧会

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��0月29日(月)~11月10日(日)
スパン アート ギャラリー SAg
東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル一階
��3-5524-3060

樽屋(たるや)も行きたいのですが、忙しい時期になってしまい、残念ながら見に行けないのです。

来月、このSAgで内藤ルネさんの「お別れの会」があります。

2007年10月28日

漬物樽(つけものたる)の入れ子

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また、漬物樽(つけものたる)です。

左が二斗(36リットル)樽、右が四斗(72リットル)樽の漬物樽です。
二斗樽と一斗樽は丁度、入れ子に出来ますが、四斗樽に二斗樽を入れると、少し頭が出てしまいます。
それに、押し蓋(ふた)と上蓋(ふた)を同梱すると、発送するのに輸送料が倍になってしまいます。
漬物樽(つけものたる)はやっぱり大きい方が良いのですけれど、最近の住宅事情や昔のように大家族の家は少なくなってきているので、主流は一斗樽(たる)になってしまいます。

2007年10月27日

たる屋が作るタイコ樽(タル)

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酒樽屋は、その名の通り普段は酒樽(サカダル)を作っているのですが、秋祭りなどが近づくとタイコ樽(タル)の注文が増えます。写真は二斗(36リットル)のタイコ樽(タル)。
本来は「樽太鼓(タルダイコ)と呼びます。

取りあえず、25個作りました。
これだけ並べると壮観です。
タイコ樽(タル)は光、風、水に弱いので、使用しない時の管理が大変です。
たるや竹十ではタイコ樽(タル)の修理も行なっております。
決して、タガを釘で打ったり、ボンドを塗ったりしないで下さい。
釘を抜き、ボンドを剥がしたりする作業がタイコ樽(タル)の修理より手間がかかるのです。

2007年10月24日

たる屋の長い休暇

今日はもう霜降です。漬物の季節です。

サーバー会社の不調により、随分長くブログが出来ませんでした。
余り故障が多いので、別のサーバー会社に引っ越すことにしましたが、これが結構たいへんなのです。

そんな事をしている間にミック新アルバムを出しました。
��種もあって、【限定デラックス・エディション】というDVD、字幕付きが出るまで待っていたのです。

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ジョン・レノンがプロデュースした未発表曲"TOO MANY COOKS"が収録されている事などが売り物です。
ベースは画像の通り、ジャック・ブルース!

2007年8月4日

樽太鼓(たるたいこ)の蓋(ふた)の違い

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「たるや竹十」で使っている蓋(ふた)は酒樽(さかだる)の時は勿論、樽太鼓(たるたいこ)を作る時も、

写真のように、周囲を山型にして、強度を増すようにしています。



上は普通の押し蓋(おしぶた)型の切り方、下は先端を山型にして、側の杉板に開けた「あり」に食い込むようにしたもの。

こうして、ひと手間かけることによって、樽太鼓(たるだいこ)の強度は格段に増します。



樽太鼓(たるたいこ)は見た目よりも音が命ですから・・・・・



2007年8月3日

THE BIGGEST BANG

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遂に、日本版発売!!!



DVD4枚組み。全部で7時間30分もあるので、未だ半分も見ていません。

キースの英語はさっぱり判りませんから、(他のメンバーの英語が理解できるという意味ではありません)少々高くても字幕付がお奨めです。



THE BIGGEST BANG

酒樽屋の「虫養ひ」 其之参

%E5%85%AC%E6%A5%BD.JPG 一枚500円のざる蕎麦



酒樽屋は所用で時々神戸花隈に行くのですが、この時に立ち寄るのが「洋食の朝日」と

ここ「公楽」です。

二軒とも昼時には行列が出来ています。

「公楽」へは久しぶりに行ったのですが、決してなじみ客でもないのに「のり抜き、やったね?」と

元気な、おねえさんに訊かれた時はちょっと驚きました。



350円の一口丼とのセットが名物です。



店主の津田さんは「ざる蕎麦」とは冬の食べ物であるいう考え方で、八月は殆ど営業しません。



神戸市中央区市下山手8丁目8の1

午前11:00~午後4:00

土曜、日曜、祝日休業

��78-341-1406




2007年7月22日

漬物は板目の漬物樽が一番

漬物樽や味噌樽には、木製の樽が発酵に最適であるという事はすこしずつ理解されてきました。しかし、長期保存には板目の樽が一番適しているということを、皆さん忘れてしまっておられるようです。
柾目は短期間の使用を繰り返す風呂桶や寿司半切、お櫃(ひつ)などに適しています。
柾目の杉を漬物樽に用いますと、必要以上に柔らかい春目の細胞から水分が過剰に排出し、漬物樽には適しません。

樽は板目、桶は柾目であるという事が基本ですが、長期保存用のような場合は例外もあります。
例えば一昨日、紹介した大桶がそうです。桶という呼び名ですが厚い板目材を用いております。

漬物には板目の漬物樽(たる)を お使いいただくのが理に適っているという訳です。

%E6%9F%BE%E7%9B%AE.JPG柾目の桶

2007年7月21日

酒樽屋の「お八つ」其の九

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力仕事の酒樽屋では、休憩時間によく甘い物を「お八つ」にします。
江戸、明治の徒弟制度の時代には考えられなかったことですが・・・・・

樽屋は町内にある和菓子屋へ走ります。
ここで阪神間の一部の地域限定かと思われる和菓子「しがらき餅」が買えるからです。
神戸市内でも、樽屋が知っている限り、ここを含め二軒しか売っていません。
夏限定のお菓子です。

写真左下のように、そのままでは「カットおにぎり」です。「おはぎ」の中身のような餅米の半つきです。きな粉をたっぷりかけて、ようやく「お菓子」になります。
本来はソーセージのような円筒形になっていて、糸で切って食べたものです。

昔は夏になると、リヤカーを牽いたおぢさんが「わらび餅」と一緒に売りにやって来ました。

さお竹屋や金魚売りが町から消えて行き、日本の風情の変化に樽屋も寂しい思いをしております。


あわじ屋
阪神電車大石駅下車すぐ南 神戸市灘区船寺通1-3-3
電話 078-861-5447 


酒樽屋の近くにある大桶

%E5%A4%A7%E6%A1%B6.JPG沢の鶴資料館にて


たるや竹十」の前にある資料館で展示されている大桶です。
��0石桶ともいい、酒造関連では一番大きい桶です。
何人もの人間が入るほど大きい。
直径が2m30cm、深さ1m95cm
容量6336ℓ、即ち一升瓶で3520本分。
先日紹介した「つけもの」という保育社の文庫本の表紙になった物はこれでしょう。

今ではこれらの杉製大桶は大変貴重です。

昭和30年代半ばから、40年代にかけて、全国の日本酒の蔵元は、これらの大桶をどんどん廃棄し、
琺瑯(ほうろう)やステンレス桶に替えていきました。
そして、中古の大桶は醤油業者、味噌業者あるいは漬物業者が使っていました。

最近になって、その価値に気がついた蔵元は大桶を探していますが、もう手遅れかもしれません。
新品を作るとなると現在では数百万円程かかってしまいます。
箍(たが)に使う竹も酒樽より長い物が必要なので、竹の時期の良い冬に準備しておく必要があります。
大桶製作は三人一組でないと出来ないので、少なくなっていく職人の事を考えれば新しくあつらえるのも、増々困難になって来ています。


最近、桶の保存会も出来、再評価されてきました。


tsunemine-2.JPG名人、故常峰巌師匠の工房前での桶輪替風景


「たるや竹十」でも、明治期には大桶を作っていたものです。

2007年7月19日

吉野杉の酒樽と杉箸

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酒樽に使う最適の材料として開発されたものが吉野杉です。杉製品として酒樽と杉箸は助け合って発展してきました。
現在では吉野杉といえば高級建築材だと思われる率の方が高くなっていますが。

酒樽、杉箸のどちらに使っても辺材は生まれます。
この辺材の白い部分を捨てるのは勿体ない、何かに利用できないかと考えた末、出来たのが奈良県吉野郡特産の杉箸です。

これらは、山の手入れによって出た間伐材や、焼却せざるを得ない不要な部分を利用しているのであって、決して、過剰な伐採によるものではありません。

一時、エコロジーという名のもと「割り箸は無駄」と言われ、目の敵にされて、美しい箸を作っていた吉野地方の多くの箸業者が廃業に追い込まれました。

むしろ、問題なのは現在、日本向けに行なわれている東南アジアや中国の大規模な森林伐採です。
これは明らかに環境破壊であって、現地では事実多くの自然災害を引き起こして問題になっています。
今頃になって事態を重く見た中国政府は来年から日本への輸出を禁止するのだそうです。

今、日本の市場に出回っている割り箸の多くがこれらの国からの輸入製品です。
これらの産業によって、現地の人々の生活が潤っている訳ですが、台風などの災害の際に被害者になるのはいつも現場で働いている貧しい人々です。
しかも、神経質なほど清潔好きである日本人向けに雑木を漂白までしています。
食堂の割り箸が異常に白く、奇妙な味がするのは現地での薬品処理によるものなのです。

食べ物を口に橋渡しする物が「箸」です。最も重要な食器です。
一度、吉野の杉箸を使ってみて下さい。食べ物の味が全く違うことを理解してもらえると思います。
吉野杉の割り箸は決して特別な物ではありません。一膳5円位から販売しています。

上の写真、上から「天削」、次が高級品の「利休箸」、一番下が我々が日頃よく目にする輸入品です。

明日のテレビ番組で「箸」はどんな風に紹介されるのか不安ながら楽しみです。
多分、田中淳夫氏著『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)をヒントにするんじゃないかと樽屋は思っているのですが・・・

2007年7月18日

樽屋の酒樽が写真だけテレビに出る

��月20日の深夜、正確には21日の午前1時フジテレビの番組に「たるや竹十」の酒樽が写真だけですが、登場する予定です。
残念ながら、関東のみで、近畿圏の「関西テレビ」では放送されません。
なぜ「割り箸」なのに「酒樽」なのか詳しい事は、また、明日。

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2007年7月17日

なぜ漬物樽(つけものたる)にビニールを?

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これは昭和53年に保育社から刊行されたカラーブックス。人気だったシリーズの一冊です。


この表紙の写真を見た時、酒樽屋は愕然としました。
恐らく、どこかの酒蔵から入手した大桶でしょうが、ビニールで覆われています。

たいへん、気になるのが大桶に敷かれた、このビニールです。
吉野杉の大桶は呼吸しています。木製漬物樽もしかりです。
ビニールを敷かれると窒息します。
これでは、折角貴重な大桶を使ってもプラスチック容器に漬け込んでいるのと同じです。
プラスチック樽は呼吸しません。

日本のように湿気の変化の多い地域では四季の温度湿度の変化に合わせて木樽が動き、
天然乳酸菌の発酵に最適の調整がおのずと成されます。

木樽という自然素材ならではの環境変化への適応作用です。
昭和30年代に石油製品が普及し、老舗の漬物屋さんでもビニール袋を木製の
漬物樽に使うようになりました。樽屋にとっては考えられない程、不思議な行為です。
何故、折角の木製漬物樽にビニールを敷く理由を機会があれば漬物屋さんたちに訊いてみたいと思っています。

是非、漬物樽はビニール等を敷かないで使って頂きたいと樽屋は常々願っています。











ФФ写真のカラーブックスは版元倒産のため現時点では絶版・入手不可。現在の保育社は再建された別会社。ここではこの「つけもの」のようなマイナーな出版物の再版は困難。

2007年7月16日

酒樽屋 四十年振りに醤油樽を作る(再録)

普段は酒樽を作っておりますが、久方ぶりに醤油樽を作りました。
輸送用としての醤油樽は昭和30年代に完全に廃止され、一升瓶にとってかわり、更に今では殆どペットボトル入りになってしまいました。

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この木樽は某醤油屋さんの店頭ディスプレイ用なので形だけで良かったのですが、職人根性が出てしまい洩れないように作ってしまいました。

醤油樽は写真のように黒い杉で作ります。
黒い木樽の方が丈夫なので、長く熟成させる醤油には適しています。

かつて醤油の産地、千葉県野田では灘製酒樽の「一空樽(いちあきだる)」と我々が呼ぶ中古樽、あるいは秋田杉の樽を使っていました。
和歌山では灘に出せない二級品の樽を、又、龍野(たつの)では、うすくち醤油用なのに最もアクの強い秋田杉の樽を使用。
唯一、小豆島だけは、灘五郷の酒樽に使用した残りの吉野杉製木製樽を贅沢に使っていたのです。

昨年、兵庫県たつの市が「うすくち醤油造りと匠の技の伝承記録」というDVDを製作しました。
醤油屋、酒屋、樽屋数軒が協力して出来たものですが、「たるや竹十」も最後の方に数秒間登場します。
昨春2時間余りかかって撮影したものです。

樽のつくり方がよく分かります。

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��VDが手に入らない方は、ここでも容易に見る事が出来るようになったので、再録します。

うすくち醤油伝承保存会製作

2007年7月15日

漬物樽(つけものだる)の栄光と悲惨

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酒樽屋の隣町に住むH夫人の漬物小屋(都市部でこんな空間を持つ贅沢!なんと井戸まで完備)には、
先祖代々伝わる、名物糠床がありました。
たるや竹十」も、この糠床をお裾分けしてもらっておりました。

ところが、数十年愛用の漬物樽が傷んでしまったので、ある朝、H夫人は手近にあったプラスチック樽に替えてしまったのです。
結果は火を見るより明らか。伝来の名物糠床をダメにしてしまいました。


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漬物樽にプラスチックの容器を用いると、こんな悲惨な事態になります。
しかも、漬物から出る塩分がプラスチックを溶かしたり、夏冬の温度変化で漬物樽が割れたりします。

また、木製の漬物樽の中でも柾目のものは過剰に水分が流出して長期保存には適していませんし、
人工樹脂でコーティングしたものは一見きれいですが、呼吸出来ないので木製樽の効果はありません。




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たるや竹十製酒樽の一空樽(一度、酒樽に使った物の蓋を抜いて漬物樽に転用した)

H夫人の糠床ですが、
心機一転、「たるや竹十」に二斗漬物樽を依頼され、新たに昔のものより美味しいものを作成されました。
柔なことで挫ける下町のH夫人ではありませんでした。

2007年7月14日

木製の漬物樽(つけものたる)

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いつもは、酒樽を作っていますが、注文があると漬物樽(たる)も作ります。
写真は一斗漬物樽(たる)と九升漬物樽(たる)を入れ子にした物です。

吉野杉の良質な板目材で作っております。柾目で作ると最初はきれいですが、
木目から水分が出ていってしまい、漬物には向きません。
長く貯蔵する容器には柾目ではなく、板目を用います。

漬物や味噌にプラスチックや陶器を使うと野菜や糠床、味噌が呼吸出来なくて窒息してしまいます。
漬物の本などにも木製の漬物樽(たる)は現在入手は無理などと書かれています。

「たるや竹十」では毎日、吉野杉の樽(たる)を作っているのだけれど・・・・・・・・

2007年7月13日

酒樽屋 四斗酒樽をつくる

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作りかけの四斗樽(よんとだる)です。
四斗とは72リットル、即ち一升瓶が40本入りる樽(たる)です。

昔は酒樽(さかだる)といえばこの四斗樽だけでした。
その後、この半分の二斗樽(にとだる)、またの呼び名を「ハンダル」。
四分の一の一斗樽(いっとだる)、別名小樽(こだる)というように小型化され、
一斗樽主流の時代が戦後長く続きました。

今また、この四斗樽(たる)の存在感が見直されて、注文が多くなっています。
最後に泣き輪、またの名を尻輪という箍(たが)を入れて樽が出来上がります。

2007年7月12日

酒樽屋からのお詫び

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酒樽屋が契約しているレンタルサーバー会社、メディアウォーズ社の「ステップサーバー」の初歩的なミスにより、当ブログの過去のデータが全て失われてしまいました。

このようなことは本来ありえない事故なのですが、ステップサーバー等という極めて脆弱性の高い会社と契約していた酒樽屋の責任でもあります。申し訳ありませんでした。
今後、過去のデータを少しずつ復旧しておりますが、皆様から頂いた貴重な「コメント」も消失してしまい、これらに関しては復元の方法がございません。
深くお詫びいたします。
また、現在も新しい「コメント」を投稿する機能は復旧しておりませんので、今しばらくお待ち下さい。

以下は恐ろしい内容の「ステップサーバー社」の言い訳です。

    【ファイルサーバーのデータ管理体制について】    

ステップサーバーのファイルサーバーシステムでは、データを複数のハードディスクに分散して保存
し、さらにパリティ情報という1台のハードディスクが故障しても別のハードディスクからデータを
復元する事が出来る「 RAID 5 」という高度なデータ管理システムにて運用しています。
しかしながら、「 RAID 5 」でデータを復元する事が出来るのは1台のハードディスクが故障した場
合までとなり、同時に複数のハードディスクが故障した場合にはデータ復元が出来なくなる特性があ
ります。

なお、ステップサーバーのファイルサーバーシステムでは、膨大なデータ量を取扱っている事と、常
時データアクセスが発生するファイルサーバーに対してデータバックアップを行う事でサーバーレス
ポンスが極度に低下する事を回避するために、データバックアップではなく「 RAID 5 」によるデー
タ管理システムを採用しています。


    【サーバー障害およびデータ消失の原因について】    

この度のサーバー障害では、上記で説明した「 RAID 5 」というシステムを構成する「 RAID装置 」の
部品(バックプレーン)および2台のハードディスクが同時に故障した事により、ファイルサーバーへの
アクセスが出来ない状況が発生し、ホームページ閲覧やメール送受信が出来ないなどのサービス障害が
発生しました。

なお、上記の障害を検知した際に「 RAID装置 」を構成している残りのハードディスクに保存されてい
るデータの保全を図るために、ハードディスクからデータのコピー(バックアップ)を開始致しましたが、
同時に複数のハードディスクが故障した場合にはデータ復元が出来なくなる「 RAID 5 」の特性により、
すべてのデータをバックアップする事が出来ず多数のデータが消失する事態となりました。

また、サーバー障害対応時に、残りのハードディスクからデータのコピー(バックアップ)を最優先で行っ
たうえで、障害の原因となった故障したハードディスクおよび「 RAID装置 」の部品(バックプレーン)
の交換を行ったため、長時間サービスが停止する事となりました。

2007年6月23日

酒樽屋 若冲に駆けつける

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待ち時間三時間と聞かされて、二の足を踏んでいた、京都相國寺での若冲展最終日に友人M君、酒樽職人H君を誘って行ってきました。
今回の開催は承天閣という寺院内の美術館でしたが、行列も境内だと気分も少し楽です。

百二十年の封印を解かれた若冲は妖しくも壮観。
お軸というものは美術館で見るものではなく、床の間や寺院で拝見するものだと再認識。

相國寺を辞してなお、伊藤若冲さんの世界から去りがたく、皆で祇園まで散歩することにしました。道案内は樽屋の女房です。

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川面を見つめながら瞑想にふける、三人の哲学者。
哲学の道から、南禅寺のお屋敷町を抜けて、祇園へ。

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お土産は偶然たるや竹十と創業が同じ(文政二年)の祇園饅頭



右から二番目は「水無月」

京都では一年のちょうど折り返しにあたる六月末に、この半年の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事「夏越祓(なごしのはらえ)」が行われます。

この「夏越祓」に用いられるのが、六月の和菓子の代表ともいうべき「水無月」です。水無月は白の外郎生地に小豆をのせ、三角形に切られた菓子ですが、それぞれに意味がこめられています。水無月の上部にある小豆は悪魔払いの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれています。

その左ふたつ棒状の物は名物「しんこ」 茶色い方はニッキ味。

右端は迷っていた僕達に地元の粋なおねえさまが「おいしおすえ」と御推薦のニッキ餅。
左端が、みそあん入り柏餅。全部美味しい。

京都市東山区四条通り大橋東詰  075-561-2719

2007年6月21日

ディスプレイ用の樽(タル太鼓)

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酒樽(タル)の中でも甲付樽(コウツキタル)は本来、日本酒用の特上品なのですが、
今は比較的値段も安く、見た目が美しいので、
店舗のディスプレイ等に贅沢に使われることが多くなりました。

また、稀に樽(タル太鼓)に甲付樽(タル)を使われる方もいらっしゃいます。
タル太鼓には表面が硬い甲付樽(タル)の方が適しているという意見もありますが、
残念ながら、一本の杉から僅かしか取れませんから、材料の確保が困難です。

2007年6月20日

樽屋、リーメントに一本負け !

本日は「樽屋のおやかた」に代わりまして、樽屋の女房がエントリーさせていただきます。
みなさま、どうぞ、よろしくお願いいたします。

さて、早速でございますが、我が家は割合にミニチュアが好きで、先日も樽屋の女房がこのようなものを購入してまいりました。
ひょんなことから知った食玩、リーメントです。
一見、本物の手巻き寿司と見紛うばかり・・・
本当に良くできていますよね。
大皿の真ん中には わさびまであります。
手巻きの海老なんて、その身の透明感に思わず見入ってしまうほど・・

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ご存知の方もいらっしゃるでしょうけれど、この食玩は一応ガムのオマケ、として付いているもので、グリコのオマケのように、箱を開けるまで何が入っているか、分らないのです。で、スパゲティセットが欲しかった私は手巻き寿司セットだったので少々ガッカリしていたのですが、おやかたが「さすが、樽屋の女房 、 いいのが当たったな。このスシ桶はよくできてる !」と申します。続けて「竹でよく木の感じが出せたなぁ、このスシ桶」

ええっ〜そんな筈ないよ、竹なんて。いくら中国製でも価格的にそれは無理。プラスチックじゃないの?!-----と樽屋の女房。
しげしげと眺めていた樽屋のおやかた、ためつすがめつ、「いいや、これは竹でできてる」。
拡大鏡を持ち出して観察後・・・しばし、沈黙。

ついに「プラスティックだぁ。よう、樽屋を騙したな。大したものだ。」

リーメントさん、一本勝ち。恐れ入りました!

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一抱えほどあるスシ桶は、もちろん、「たるや竹十」謹製の吉野杉です。

本日は たいへん失礼いたしました。

2007年5月30日

酒樽の鏡開きの失敗例

これは某所で見かけた御用済みとなった鏡開きの樽です。
槌で叩くところを間違えたら、こうなってしまうのです。

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鏡開きは難しいものではありません。
木槌で叩く所や「金ベラ」を入れる場所を間違うことがなければ、画像のようになる事はありません。
鏡開きのために竹釘で接いだ場所が一番弱いところなのです。
ここを叩けば良いのです。
ヘラを入れる場所が違うと蓋の側面に、このような抉れキズや鏡に不要な割れ目が出てしまいます。
酒樽本体を見ても、奥の黒ずんだ場所にキズを付けてしまっています。
何より、誰の仕業か存じませんが、必要以上の力と手間を要したことは想像されます。

酒樽の「鏡開き」は縁起ものです。美しく開きましょう。

2007年5月27日

酒樽屋 本日の「お八ツ」 其の八

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このところ、お店オープンの準備もあって忙しかったので、久しぶりの休日です。
桐の花を見に行こうと思いたって散歩に出かけました。
ところが突然の強風に「桐の花」見学は断念。
シュークリームを買って帰って「お八ツ」に。

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やっぱり似ていますね。

2007年5月15日

酒樽屋 白い杉樽をつくる

この杉樽は「たるや竹十」では普通は作らない、大変特殊な品物です。
材料は吉野杉の一番外側、「白太」という所で、本来は箸や寿司桶の材料になる部分です。



依頼主からの「白い杉樽」をという要望に応じ特別に作りました。
乾物屋さんの店頭に並べるということで、白い杉に青い竹という、
見るからに美しい木樽を要望されて来られたのです。
杉の外周部は最も硬い部位ですので、作るのに思いのほか時間がかかりました。

水や酒を入れても漏れはしませんが、杉特有の香りは全くありません。
完全にディスプレイ用です。

2007年5月6日

大型スクーターで漬物樽を買いに・・・

酒樽屋はゴールデンウィーク最中も休日返上でスタッフ一同、店舗開店の準備のために出勤しました。
作業中、隣の市から たるや竹十のH.P. を、ご覧になったお客さんが400CCの大型スクーターで漬物樽を買いにやって来てくれました。
最初は乗用車で来られようとしていたそうですが、恐ろしい道路の渋滞に、急遽二輪に変更されたそうです。
お買い上げ下さった9リットルの漬物樽が後部のテールボックスに丁度入った時には驚きました。
道理で電話で何度も漬物樽の寸法を確認されていたのだと合点しました。

願ってもないことに、同氏は これから「木樽でつくる漬物」を普及させたいと考えられているそうです。
美味しい漬物つくりに樽がお役に立てば、こんなに うれしいことはありません。

2007年4月25日

酒樽づくりの最後の工程 「もと打ち」

樽太鼓(たるだいこ)を沢山つくりました。
樽太鼓は洩れの検査も「天星」も「ダボ」も必要ありませんが、「もと打ち」という最後の工程が残っています。

巻いた「たが」の最初と最後の部分が樽太鼓から、はみ出すので、これらをカットしなければなりません。
竹の根元にあたる部分を「もと」、先を「すえ」と呼びます。
一丁の樽太鼓に「たが」は7本入っているので、合計14ヶ所を切ります。



左手に持っているのが「もと打ち」という刃物です。
やはり、工程と道具の名前が同じです。単に包丁と呼ぶ地域もあります。
但し、刃は鉈(なた)のように厚く、片手で持つには家庭の包丁より随分重いものです。



写真は「ささら」です。料理に使う物と基本的には同じですが、
酒樽屋(さかだるや)では「ささら」は市販の物を使わず、余った太い竹を職人が加工して自分で作ります。



「もと打ち」が終わると、「ささら」を使って余分な竹の「ささくれ」を処理します。
「ささら」を強く握って「たが」の周囲を磨くように仕上げます。

これで「樽太鼓(たるだいこ)」が一丁出来上がりました。

2007年4月24日

酒樽屋の「虫養ひ」 其之弐

今日は気分を変えて、神戸元町のランスで買ってきたフロマージュ・ブランです。
��A VIETTEの物を選びました。

パンと合わせたいので、青森産の大蒜と、セルフィーユ、エシャロットをフロマージュ・ブランに加えました。



シモンさんの天然酵母パンにのせて食べると絶妙です。
未だ仕事が残っているので、生ハムのサラダに紅茶。

2007年4月23日

酒樽が雑誌の表紙に

近畿限定ですが、「KANSAI TIMEOUT」という日本に在住する外国人向けの情報雑誌があります。
最新号の表紙に酒樽が取り上げられていました。

恐らく、どこかの神社に奉納されていた「飾り樽」でしょう。
各蔵元によって微妙にコモの巻き方が違うことが判ります。
下膨れで丸い形に巻かれている物が姿がいいと言われています。

残念ながら、中に木製の酒樽が入っていない事が残念です。

2007年4月22日

酒樽屋の近所に自転車屋が出来る?

酒樽屋の近所に自転車屋さんが出来るようです。
残念ながら、樽屋の好きなロードレーサーは無く、
流行りのカーボンフレームのMTB中心のようです。
想像するに、最近引っ越してきたN氏が、こつこつ店舗を作っていると思われます。
開店すれば、自転車好きにとっては大変便利になることでしょう。

2007年4月21日

酒樽をつくる道具 その四

右側の鉋には前の持ち主「大田」の焼印が見えます




酒樽をつくる工程の一つに「つっこぼり」という作業があります。
樽の内側に出来た板の段をなくすために丸鉋(まるかんな)できれいに削ります。
側に出ている二本の竹釘を両手で握り、「クレ」の内部を鉋がけします。

この作業によって、酒樽の内側の内周と底の外周を一致させる事が出来ます。
非常に重要な工程と言えましょう。

「つっこぼり」「つっこぶり」「つっこぐり」等、職人の育った地域によって、さまざまな呼称がありますが、
多くの道具同様、作業と道具の名前が同じです。

2007年4月20日

酒樽を作る時の小さな部品 其の弐 「ダボ」

ダボの打つ時は,このように必ず樽を横向けに寝かせます

四斗酒樽の正面にダボ穴をあけ、ダボを打ち込む
酒樽の木目と合わせて、ダボも柾目を縦に込めます。



右から「六分ダボ」(直径約18ミリ)真ん中が「八分ダボ」(直径約24ミリ)
左端は、前に紹介した天星


酒樽づくりの最後に、なくてはならない物があります。
「ダボ」という部品です。

「駄枘」とも「太枘」とも「駄細」と書きますが、いずれも宛字だと思います。
語源をご存知の方がおられましたら、お知らせ下さい。

建築や家具に用いられる「ダボ」「ホゾ」と原理は同じです。

酒樽の場合は、「ダボ」を抜き「ダボ穴」に「呑み口」を差込み清酒を「片口」に入れ替える部分で、
酒樽が空になれば「漬物樽」や「味噌樽」に転用する場合以外は捨てられる運命にあります。

材料は高野槙(まき)を用います。ここ20年ほどの間に、殆ど槙に統一されました。
それまでは100年以上、「天星」同様、杉の芯材を使っていました。
杉の柾目を使いますから、北国の杉で作った「ダボ」が混入すると、滲みの原因になり、
酒樽屋は長い間、ダボの取替えに苦労したものです。
その後、椹(さわら)を使ってみたりしましたが、香りが清酒には強すぎて短期間で淘汰されました。

今でも、少々酒が滲んでも樽酒の風味を大切にされて、杉ダボを使われている蔵元が何軒かあります。

因みに杉の「ダボ」を製造していた業者は、江戸期から昭和の終わりまで武庫川と尼崎に集中しておりました。
今は一軒も残っていません。

2007年4月19日

酒樽づくりに欠かせない、小さな部品

酒樽(さかだる)を作る時には、厚み5ミリ、長さ3センチ程の小さな「竹釘」を沢山使います。

樽(たる)の底と蓋は一枚の板で出来ているのではありません。
��枚から5枚の杉板を、この「竹釘」で接いでいくという細かい工程を経ます。



上の写真は二斗樽の底です。
��枚の板を竹釘で接ぐ事によって一枚の丸い底になります。



これは一斗樽の蓋の一番端の部分で、何故か「ビンタ」と呼びます。
この様に、板に穴を開けて、そこに「竹釘」を二本づつ差し込んでいきます。

あまりに面倒な作業なので、今では糊張りが主流ですが、
鏡開きのための酒樽には蓋(ふた)の真ん中に必ず、この竹釘が入っています。

2007年4月18日

酒樽屋の「虫養ひ」 其の壱





酒樽屋は力仕事なので、三食以外に「虫養ひ」と称して、ちょっとした間食をはさみます。
今日は、京都からいづ重の「お稲荷さん」が到来。早速頂きました。
今では珍しくなってしまった「おのみ」が入っていて、その食感がたまりません。




ここの「なれ寿司」は、木樽で熟成しているそうです。
さすがに老舗ですね。


祇園いづ重
京都 祇園石段下
電話:075-561-0019

2007年4月17日

酒樽屋が作った樽(たる)が植木鉢になる

樽(たる)にも第二の人生があります。
写真は四斗樽(たる)ハンダルセットの上半分です。
普通の酒樽なら、使用後は漬物樽や味噌樽に転用されて、第二の利用方法があるのですが、
このハンダルセット上部のみというものは、使い道がなくて、厄介もの扱いされておりました。

最近では写真の様に堆肥を入れてもらってチューリップを咲かせるために役に立っております。
大きさも丁度よく、今では重宝がられております。
よかった。よかった。

2007年4月16日

酒樽屋(さかだるや)は毎日、酒樽(さかだる)をつくる

上に突き出ている尖った木板は「輻(や)」と言い、英語ではSPOKE、自転車のスポークの意です。



おおよそ14~15枚の「轉(くれ)」と言う木側に4~5本の「輻(や)」を加えて調整し、
酒樽(たる)の形にしていきます。



最後の一枚を差し込んで、取り敢えず、最初の段階が完了します。
ここからの、微調整が酒樽つくりでは最も需要、職人の腕の見せ所です。

2007年4月15日

酒樽屋 一膳飯屋に漬物樽を持って行く

真ん中にあるのは此の友酒造の「但馬」です。
ラベルに酒樽が使われています。



新本澄子さんの店では出来たての惣菜を大鉢に15品。
日替わりに30品以上が常時、カウンターに並んでいて、自由に選ぶことが出来ます。
新本さんの、お兄さんが四国で作っている有機野菜と米を使っているのです。
だから、美味しい上に体にもいい訳です。しかも手軽な値段がうれしい。

澄子さんの漬物が更に美味しくなるように「たるや竹十」製の木製漬物樽を使ってもらうことにしました。
澄子さん、今度、お持ちしますね。

実はG.A.P.のSINMOさんの、お母さんなのです。

2007年4月14日

酒樽屋の「お八つ」 其の七

酒樽屋も和菓子ばかり食べている訳ではありません。
たまには、洋菓子も食べます。
今日は近所の名もなき店で買ってきたタルトフルール
フレッシュな果実がたっぷり。

ケーキ皿とコーヒーカップは、少し古いロイヤルコペンハーゲンのブラウンローズ

四斗酒樽の形をした一斗入りの樽

写真は特別な注文で作った四斗酒樽の形をした一斗入りの酒樽です。
この下に発泡スチロールの台を付けてコモを巻いてしまうと、外見上は四斗酒樽です。
岡山県の蔵元から、なるべく杉の香りが早く付くようにという指定だったので、
敢えて、黒っぽい杉を用いました。

最近は四斗酒樽(一升瓶40本)を全部呑むような行事は減ってきたので、この種の酒樽の需要が増えてきました。

2007年4月12日

四斗酒樽完成、各地へ出荷

長い工程を経て、ようやく四斗酒樽が完成しました。
本当は、上の二本の「たが」を締めた後、「泣き輪」を入れて仕上がりです。




静岡県に運ばれる、この酒樽は赤味樽ではなく、中赤樽であるところが残念です。

四斗酒樽一丁を仕上げるのに15分足らず要しますが、杉の木を育てるのに200年かかるので、
一丁にかかる時間は合計、200年15分です。

2007年4月11日

送別会 歓迎会 花見・・・「鏡開き」は続く

蓋をこめる為の溝を削ります


四月の行事は続きます。
毎日、四斗の酒樽をつくっています。
鏡開きには、やはり四斗酒樽が豪快です。

叩き棒という道具で底を所定の位置にこめます

この時に入っている青い「たが」は仮輪ではなく、本当に使う「口輪」という大切な輪です。

2007年4月10日

結婚式 花見 選挙 花見と続いて酒樽屋は大忙し

仮輪を使って、酒樽の形に組み立てます

四月です。春です。
お祝い事が続くと酒樽の鏡開きの注文も増えてまいります。
しかも、依頼があるのは殆ど四斗の酒樽です。

「銑(せん)」という刃物を使い、酒樽の底を整えます。

仮輪が金属製に替わり、蓋の寸法を合わせて、酒樽の形になりました。
ここまで出来ると、頭を使う第一段階の工程が終わります。
あとは、力仕事が・・・・・

2007年4月9日

花もよければ、酒もよし

「たるや竹十」が酒樽を納めている神戸酒心館の酒蔵周辺も桜が満開間近になりました。


めでたい時に酒樽。
祝い事にも酒樽。
そして、花愛でる折にも、
これを鏡開きして場を盛り上げたものです。


昔はこんな口上を述べてから、鏡開き(鏡割りとも言う)をいたしました。

鏡開口上

東西東西、只今より**様の**を祝し鏡開きを行わせて頂きます。

そもそも鏡開きの御(おん)儀式は三百有余年の昔、

徳川四代将軍家綱が戦(いくさ)に備え、諸大名一門郎党を千代田の城に参集せしめ、

先祖の具足甲冑(ぐそくかっちゅう)の御前で、お鏡を飾って出陣の舞を舞い祝宴を致しました。

これが鏡開きの始まりでございます。

この目出度き御(おん)儀式を本日の**に際し、取り行うことは**様の門出を

一層華やかにするものと存じます。

��*様によりまして首尾良く鏡が開きましたなら拍手喝采の程御願い奉ります。


平成**年*月*日



この口上、最近は、聞かれなくなりましたが、若い人たちが気楽に鏡開きをしてくれる傾向になってきたことは嬉しいことです。

酒樽屋としては、せっかく丹精こめて作った酒樽を菰(コモ)というもので包み隠してしまって、樽が見えなくなっては、まことに残念。

最近では、菰を巻かず、端正な杉と竹の美しさを楽しんでくださる方が増えてきました。
裸の酒樽で、鏡開きをしていただくと木の香も宴を盛り上げます。


        桜花 さける山路や 遠からむ 過ぎがてにのみ 春のくれぬる  実朝

2007年4月8日

イタリアのタル・トゥーホ

昨朝、近所の片岡君が白トリュフのオリーブオイルを「たるや竹十」まで届けてくれました。
白トリュフは「タルトゥーホ・ビアンコ」と言います。
このオイルは又の名を「台所の黄金」。何しろ白トリュフですから、たいそう高価なオイルですけれど、フランスパンに一滴たらせば、パンが牛肉に変貌。中級の牛肉にかければ特上の但馬肉に変る魔法の液体なのです。
一滴ものなので一瓶あれば一年は大げさですが、半年は楽しめます。

丁度、神戸の某パン屋で週一回、5本だけ焼くフィセル(細長いフランスパン)を手に入れていたので、これをもう一度オーブンで温めて、黄金オイルをかけ、贅沢なブランチをとることが出来ました。
下町のグルメ片岡君の所にも同じフィセルを一本、前日に届けておいたのです。

2007年4月7日

酒樽屋 浜田夫人から漬物を頂く

隣町に住む浜田夫人の生活は都心部に住みながらの天然スローライフ。
たいがいの物は自分で作ってしまいます。

庭の真ん中に漬物樽がいっぱいの漬物樽小屋があります。
写真の沢庵は勿論、杉の漬物樽で漬けたものですし、
奈良漬も酒粕を「たるや竹十」の木製漬物樽に入れて作った自家製です。

奥に見えるのはそろそろ時期を終える「いかなご釘煮」です。(これには漬物樽を使用していません)

2007年4月6日

酒樽屋の「お八つ」 其の六

吉野の山奥から「たるや竹十」に吉野杉の材料が届き、運転手の方が奈良県吉野上市に立ち寄って、土地の名物「こばしのやき餅」を買って来てくれました。

京都の「焼き餅」の倍以上の大きさ。そして味も素朴で美味しい。
樽屋愛用の麦藁手の土瓶は五世六兵衛作

今日の「お八つ」は少々ボリュームがありました。

2007年3月15日

酒樽屋の 「お八つ」 其の参



酒造り復活にかけている灘五郷の老舗「泉酒造」の団子三兄弟に花見団子の差し入れをする。
ついでに自分達も。
団子の真ん中が人気のなんとゴマ入り。最後が抹茶味だと思わせておいて、海苔入り。
でも美味しいのです。

奥の器は萩の「ぐい呑み」を湯呑に見立て、自作の麹蓋風菓子皿に団子二本を欅の盆に。

2007年3月7日

酒樽屋の近所にあるキムチ屋さん「韓八商店」其の2

人気のチャプチェ を買いに行ったら、やっぱり売り切れ、代わりのものを選んでいたら、
あまりの種類の多さに、一つにしぼることが出来ず、思わず今夜は三種類も買ってしまった。

ここ片岡君の店には自転車好きの「けんこう堂」繁田君もよく出没する。

 

 

①樽屋のお気に入りの「蛸キムチ」
②「エゴマの葉」(ケッパリ) ご飯に巻いて食べると美味しい
③見た目より、あっさりした味の「さざゑキムチ」
④おまけで貰った米のおこげ飴(妙に懐かしい味がする)

神戸市灘区船寺通1-3-9
電話:078-805-2011
��0:00~午後7:00

阪神電鉄神戸線大石駅南側の路地に面している。 

水曜日は定休日 ここに行っているらしい。

2007年2月28日

酒屋のポスターには、よく酒樽が出てきます

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造り酒屋の昔のポスターには美人と酒樽がよく出てきますが、
お酒だけではなく、百貨店(当時は呉服屋)やサイダーのポスターにも美人が出てきます。

この画像は北野恒富によるサクラビールのポスター

姫路市立美術館で、3月25日まで「大正レトロ 昭和モダン ポスター展ー印刷と広告の文化史ー」が催されています。

2007年2月26日

樽屋(たるや)の「お八つ」

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酒樽作りが一段落しますと、甘い物が欲しくなります。
今日は近所の和菓子屋の「柏餅」
見えにくいのですが、楊枝は兵庫県篠山の民家を壊す時、おやかたが命がけで屋根に上り(2回落ちた)、取り外してきた「煤竹」を小刀で削り、こさえた物。

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左側は自作の杉製菓子皿、右側の茶托は、琢斎。蓮に蛙

2007年1月31日

漬物屋に漬物樽風の展示用樽を発送する

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京都の某有名漬物屋の店頭展示用に一見、漬物樽に見える「上げ底樽」製作の依頼がありました。
ここでは直接、漬物が樽に触れる訳ではないので、水分が洩れても構わないのですが、
敢えてキッチリ作りました。

ところで、樽の正しい使い方として、漬物の間にビニールを挟む事は、なんとか止めてもらいたい、というのが「たるや」の本音です。
折角、杉樽で拵える意味がありません。
樽屋としては、たいへん不本意なのです。

因みに下の写真は、老舗漬物店の千枚漬け。
おいしいけれど・・・・・・・・
ビニールやめたら、さらに美味、請合います。

しかしながら、「たるや竹十」の漬物樽が皆様の目に触れる機会があった事はありがたいことです。

たるや竹十」は全ての商品が手作りですから、H.P.上に紹介している樽(たる)は常に何個かの在庫を持っておりますが、基本的にオーダーメイドなのです。
ですから、このような変形樽の依頼にも応えられる訳です。

2007年1月30日

新潟総踊りに樽太鼓(たるたいこ)を送る

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新潟では、この時期に由緒ある祭り「にいがた総踊り」が催されます。
樽太鼓を用いた行事もあるらしく、「たるや竹十」から沢山の樽太鼓(たるたいこ)を、何回にも分けて、お送りしました。

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新崎樽ばやし連のサイトより

��回目となる今年は、300年前の新潟で踊られていた小足駄(下駄)と扇子による踊りを復活させ、新潟伝承の一斗の樽太鼓を使った樽砧リズムによる1千人規模の「下駄総踊り」行列と定点演舞を併せたものです。
昔の新潟の三日三晩踊り明かした祭の復活。にいがた総おどりは祈りと願いを込めた当時の踊り祭を復活させるべく誕生したそうです。

「短夜の 夢ならさめな 樽ぎぬた」 尾崎紅葉

2007年1月15日

たる屋の鏡開き

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江戸時代、武家では男は具足(鎧の一部)の前に、女は鏡台の前に鏡餅を置き、十五日に、これを割って食べたものです。平民は神仏の前に供えました。

写真は雑誌「週刊プレイボーイ」昭和43年1月30日/2月6日合併号に掲載された、昭和43年1月15日に日本武道館での「鏡開き式」に登場した故三島由紀夫氏(前日43歳になったばかり)。
この二年後に自刃。

「今の戦争の超スピードをF104搭乗で味わったのち、昔の戦争の超スロモーを武道館の鎧の着初め式と出陣式で味わった。着付だけで三十分以上かかる武具一揃は 重量三十五キロ。バーベルをかつぎ馴れているから 鎧は楽だし 冑も 無線のついたパイロット・ヘルメットの 頭を押えつけられる感じとあまり変りはない。重装備のコロコロした兜虫的な武装のなごりは 今は人間ではなく タンクに残っている。めくらで唖でツンボなのが戦車だと言われているが なるほど鎧兜に身を固めると 視界もせまく 身動きも不自由で 却ってガムシャラな勇気が出るような気がする 大将のキュークツさがよくわかった。やっぱり足軽のほうがいい。」三島由紀夫(原文のママ)

上記文章が新全集に収録されているかどうか、未だ確認しておりませんけれど、写真は未収録でしょう。
この時の別写真はLP「椿説弓張月」上の巻(横尾忠則装)に掲載されております。「下の巻」は未刊。

その後、新潮社刊「決定版全集 34巻」に『(無題 若武者出陣)』として、収録されていることが判りました。

2007年1月4日

酒樽屋 新年の御挨拶

新年あけましておめでとうございます。
昨年は、ひとかたならぬ御贔屓にあずかり真に有難うございました。

大晦日まで働いておりましたので、正月三ヶ日は寝正月でした。

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酒樽屋の鏡餅は、かわいい小餅を樽の側板の上にしつらえてみました。

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『古鏡』樋口隆康著(新潮社)より
「画文帯同向式神獣鏡」

酒樽の蓋のことを「鏡」と申し、そこに取り付けられた木栓を「天星」と呼びます。
古来、上の写真の如く丸い物を古鏡に擬えて、鏡と云いました。
鏡餅も円形に丸めたからです。

毎年、一月十一日頃の鏡開きの儀に倣い、
祝事に酒樽の蓋を開くことを「鏡開き」と申します。
「鏡割り」という言い方は忌み言葉なので、正式には用いません。

新年早々、くだくだしく申し上げましたが、
本年も、ひとつ宜しくお願いいたします

2007年1月1日

酒樽屋のおおつごもり

酒樽、酒樽に明け暮れた師走も、ようやく終わり、樽屋も晦日蕎麦を食しに行きました。
今夜行った店は、近所に最近出来た石臼挽きの蕎麦屋「忠平(ちゅうへい)」

写真は、数日前に食べた北海道の音威子府(おといねっぷ)産。
本日の粉は福井県の丸岡産。優劣つけ難し。

寛文年間の仮名草子「酒餅論」を見るまでもなく蕎麦と清酒は密接な関係にあります。
皆さん、蕎麦を食べる折は蕎麦焼酎ではなく、清酒を呑みましょう。

夜蕎麦売駆落者に二つ売り 「柳多留」


蕎麦屋 忠平

午前11時から夕暮れまで(蕎麦がなくなれば閉店)
定休日 日曜日

神戸市中央区割塚通3-2-11パレスナカシマ一階
電話:078-222-3212