2007年4月25日

酒樽づくりの最後の工程 「もと打ち」

樽太鼓(たるだいこ)を沢山つくりました。
樽太鼓は洩れの検査も「天星」も「ダボ」も必要ありませんが、「もと打ち」という最後の工程が残っています。

巻いた「たが」の最初と最後の部分が樽太鼓から、はみ出すので、これらをカットしなければなりません。
竹の根元にあたる部分を「もと」、先を「すえ」と呼びます。
一丁の樽太鼓に「たが」は7本入っているので、合計14ヶ所を切ります。



左手に持っているのが「もと打ち」という刃物です。
やはり、工程と道具の名前が同じです。単に包丁と呼ぶ地域もあります。
但し、刃は鉈(なた)のように厚く、片手で持つには家庭の包丁より随分重いものです。



写真は「ささら」です。料理に使う物と基本的には同じですが、
酒樽屋(さかだるや)では「ささら」は市販の物を使わず、余った太い竹を職人が加工して自分で作ります。



「もと打ち」が終わると、「ささら」を使って余分な竹の「ささくれ」を処理します。
「ささら」を強く握って「たが」の周囲を磨くように仕上げます。

これで「樽太鼓(たるだいこ)」が一丁出来上がりました。

2007年4月24日

酒樽屋の「虫養ひ」 其之弐

今日は気分を変えて、神戸元町のランスで買ってきたフロマージュ・ブランです。
��A VIETTEの物を選びました。

パンと合わせたいので、青森産の大蒜と、セルフィーユ、エシャロットをフロマージュ・ブランに加えました。



シモンさんの天然酵母パンにのせて食べると絶妙です。
未だ仕事が残っているので、生ハムのサラダに紅茶。

2007年4月23日

酒樽が雑誌の表紙に

近畿限定ですが、「KANSAI TIMEOUT」という日本に在住する外国人向けの情報雑誌があります。
最新号の表紙に酒樽が取り上げられていました。

恐らく、どこかの神社に奉納されていた「飾り樽」でしょう。
各蔵元によって微妙にコモの巻き方が違うことが判ります。
下膨れで丸い形に巻かれている物が姿がいいと言われています。

残念ながら、中に木製の酒樽が入っていない事が残念です。

2007年4月22日

酒樽屋の近所に自転車屋が出来る?

酒樽屋の近所に自転車屋さんが出来るようです。
残念ながら、樽屋の好きなロードレーサーは無く、
流行りのカーボンフレームのMTB中心のようです。
想像するに、最近引っ越してきたN氏が、こつこつ店舗を作っていると思われます。
開店すれば、自転車好きにとっては大変便利になることでしょう。

2007年4月21日

酒樽をつくる道具 その四

右側の鉋には前の持ち主「大田」の焼印が見えます




酒樽をつくる工程の一つに「つっこぼり」という作業があります。
樽の内側に出来た板の段をなくすために丸鉋(まるかんな)できれいに削ります。
側に出ている二本の竹釘を両手で握り、「クレ」の内部を鉋がけします。

この作業によって、酒樽の内側の内周と底の外周を一致させる事が出来ます。
非常に重要な工程と言えましょう。

「つっこぼり」「つっこぶり」「つっこぐり」等、職人の育った地域によって、さまざまな呼称がありますが、
多くの道具同様、作業と道具の名前が同じです。

2007年4月20日

酒樽を作る時の小さな部品 其の弐 「ダボ」

ダボの打つ時は,このように必ず樽を横向けに寝かせます

四斗酒樽の正面にダボ穴をあけ、ダボを打ち込む
酒樽の木目と合わせて、ダボも柾目を縦に込めます。



右から「六分ダボ」(直径約18ミリ)真ん中が「八分ダボ」(直径約24ミリ)
左端は、前に紹介した天星


酒樽づくりの最後に、なくてはならない物があります。
「ダボ」という部品です。

「駄枘」とも「太枘」とも「駄細」と書きますが、いずれも宛字だと思います。
語源をご存知の方がおられましたら、お知らせ下さい。

建築や家具に用いられる「ダボ」「ホゾ」と原理は同じです。

酒樽の場合は、「ダボ」を抜き「ダボ穴」に「呑み口」を差込み清酒を「片口」に入れ替える部分で、
酒樽が空になれば「漬物樽」や「味噌樽」に転用する場合以外は捨てられる運命にあります。

材料は高野槙(まき)を用います。ここ20年ほどの間に、殆ど槙に統一されました。
それまでは100年以上、「天星」同様、杉の芯材を使っていました。
杉の柾目を使いますから、北国の杉で作った「ダボ」が混入すると、滲みの原因になり、
酒樽屋は長い間、ダボの取替えに苦労したものです。
その後、椹(さわら)を使ってみたりしましたが、香りが清酒には強すぎて短期間で淘汰されました。

今でも、少々酒が滲んでも樽酒の風味を大切にされて、杉ダボを使われている蔵元が何軒かあります。

因みに杉の「ダボ」を製造していた業者は、江戸期から昭和の終わりまで武庫川と尼崎に集中しておりました。
今は一軒も残っていません。

2007年4月19日

酒樽づくりに欠かせない、小さな部品

酒樽(さかだる)を作る時には、厚み5ミリ、長さ3センチ程の小さな「竹釘」を沢山使います。

樽(たる)の底と蓋は一枚の板で出来ているのではありません。
��枚から5枚の杉板を、この「竹釘」で接いでいくという細かい工程を経ます。



上の写真は二斗樽の底です。
��枚の板を竹釘で接ぐ事によって一枚の丸い底になります。



これは一斗樽の蓋の一番端の部分で、何故か「ビンタ」と呼びます。
この様に、板に穴を開けて、そこに「竹釘」を二本づつ差し込んでいきます。

あまりに面倒な作業なので、今では糊張りが主流ですが、
鏡開きのための酒樽には蓋(ふた)の真ん中に必ず、この竹釘が入っています。

2007年4月18日

酒樽屋の「虫養ひ」 其の壱





酒樽屋は力仕事なので、三食以外に「虫養ひ」と称して、ちょっとした間食をはさみます。
今日は、京都からいづ重の「お稲荷さん」が到来。早速頂きました。
今では珍しくなってしまった「おのみ」が入っていて、その食感がたまりません。




ここの「なれ寿司」は、木樽で熟成しているそうです。
さすがに老舗ですね。


祇園いづ重
京都 祇園石段下
電話:075-561-0019

2007年4月17日

酒樽屋が作った樽(たる)が植木鉢になる

樽(たる)にも第二の人生があります。
写真は四斗樽(たる)ハンダルセットの上半分です。
普通の酒樽なら、使用後は漬物樽や味噌樽に転用されて、第二の利用方法があるのですが、
このハンダルセット上部のみというものは、使い道がなくて、厄介もの扱いされておりました。

最近では写真の様に堆肥を入れてもらってチューリップを咲かせるために役に立っております。
大きさも丁度よく、今では重宝がられております。
よかった。よかった。

2007年4月16日

酒樽屋(さかだるや)は毎日、酒樽(さかだる)をつくる

上に突き出ている尖った木板は「輻(や)」と言い、英語ではSPOKE、自転車のスポークの意です。



おおよそ14~15枚の「轉(くれ)」と言う木側に4~5本の「輻(や)」を加えて調整し、
酒樽(たる)の形にしていきます。



最後の一枚を差し込んで、取り敢えず、最初の段階が完了します。
ここからの、微調整が酒樽つくりでは最も需要、職人の腕の見せ所です。

2007年4月15日

酒樽屋 一膳飯屋に漬物樽を持って行く

真ん中にあるのは此の友酒造の「但馬」です。
ラベルに酒樽が使われています。



新本澄子さんの店では出来たての惣菜を大鉢に15品。
日替わりに30品以上が常時、カウンターに並んでいて、自由に選ぶことが出来ます。
新本さんの、お兄さんが四国で作っている有機野菜と米を使っているのです。
だから、美味しい上に体にもいい訳です。しかも手軽な値段がうれしい。

澄子さんの漬物が更に美味しくなるように「たるや竹十」製の木製漬物樽を使ってもらうことにしました。
澄子さん、今度、お持ちしますね。

実はG.A.P.のSINMOさんの、お母さんなのです。

2007年4月14日

酒樽屋の「お八つ」 其の七

酒樽屋も和菓子ばかり食べている訳ではありません。
たまには、洋菓子も食べます。
今日は近所の名もなき店で買ってきたタルトフルール
フレッシュな果実がたっぷり。

ケーキ皿とコーヒーカップは、少し古いロイヤルコペンハーゲンのブラウンローズ

四斗酒樽の形をした一斗入りの樽

写真は特別な注文で作った四斗酒樽の形をした一斗入りの酒樽です。
この下に発泡スチロールの台を付けてコモを巻いてしまうと、外見上は四斗酒樽です。
岡山県の蔵元から、なるべく杉の香りが早く付くようにという指定だったので、
敢えて、黒っぽい杉を用いました。

最近は四斗酒樽(一升瓶40本)を全部呑むような行事は減ってきたので、この種の酒樽の需要が増えてきました。

2007年4月12日

四斗酒樽完成、各地へ出荷

長い工程を経て、ようやく四斗酒樽が完成しました。
本当は、上の二本の「たが」を締めた後、「泣き輪」を入れて仕上がりです。




静岡県に運ばれる、この酒樽は赤味樽ではなく、中赤樽であるところが残念です。

四斗酒樽一丁を仕上げるのに15分足らず要しますが、杉の木を育てるのに200年かかるので、
一丁にかかる時間は合計、200年15分です。

2007年4月11日

送別会 歓迎会 花見・・・「鏡開き」は続く

蓋をこめる為の溝を削ります


四月の行事は続きます。
毎日、四斗の酒樽をつくっています。
鏡開きには、やはり四斗酒樽が豪快です。

叩き棒という道具で底を所定の位置にこめます

この時に入っている青い「たが」は仮輪ではなく、本当に使う「口輪」という大切な輪です。

2007年4月10日

結婚式 花見 選挙 花見と続いて酒樽屋は大忙し

仮輪を使って、酒樽の形に組み立てます

四月です。春です。
お祝い事が続くと酒樽の鏡開きの注文も増えてまいります。
しかも、依頼があるのは殆ど四斗の酒樽です。

「銑(せん)」という刃物を使い、酒樽の底を整えます。

仮輪が金属製に替わり、蓋の寸法を合わせて、酒樽の形になりました。
ここまで出来ると、頭を使う第一段階の工程が終わります。
あとは、力仕事が・・・・・

2007年4月9日

花もよければ、酒もよし

「たるや竹十」が酒樽を納めている神戸酒心館の酒蔵周辺も桜が満開間近になりました。


めでたい時に酒樽。
祝い事にも酒樽。
そして、花愛でる折にも、
これを鏡開きして場を盛り上げたものです。


昔はこんな口上を述べてから、鏡開き(鏡割りとも言う)をいたしました。

鏡開口上

東西東西、只今より**様の**を祝し鏡開きを行わせて頂きます。

そもそも鏡開きの御(おん)儀式は三百有余年の昔、

徳川四代将軍家綱が戦(いくさ)に備え、諸大名一門郎党を千代田の城に参集せしめ、

先祖の具足甲冑(ぐそくかっちゅう)の御前で、お鏡を飾って出陣の舞を舞い祝宴を致しました。

これが鏡開きの始まりでございます。

この目出度き御(おん)儀式を本日の**に際し、取り行うことは**様の門出を

一層華やかにするものと存じます。

��*様によりまして首尾良く鏡が開きましたなら拍手喝采の程御願い奉ります。


平成**年*月*日



この口上、最近は、聞かれなくなりましたが、若い人たちが気楽に鏡開きをしてくれる傾向になってきたことは嬉しいことです。

酒樽屋としては、せっかく丹精こめて作った酒樽を菰(コモ)というもので包み隠してしまって、樽が見えなくなっては、まことに残念。

最近では、菰を巻かず、端正な杉と竹の美しさを楽しんでくださる方が増えてきました。
裸の酒樽で、鏡開きをしていただくと木の香も宴を盛り上げます。


        桜花 さける山路や 遠からむ 過ぎがてにのみ 春のくれぬる  実朝

2007年4月8日

イタリアのタル・トゥーホ

昨朝、近所の片岡君が白トリュフのオリーブオイルを「たるや竹十」まで届けてくれました。
白トリュフは「タルトゥーホ・ビアンコ」と言います。
このオイルは又の名を「台所の黄金」。何しろ白トリュフですから、たいそう高価なオイルですけれど、フランスパンに一滴たらせば、パンが牛肉に変貌。中級の牛肉にかければ特上の但馬肉に変る魔法の液体なのです。
一滴ものなので一瓶あれば一年は大げさですが、半年は楽しめます。

丁度、神戸の某パン屋で週一回、5本だけ焼くフィセル(細長いフランスパン)を手に入れていたので、これをもう一度オーブンで温めて、黄金オイルをかけ、贅沢なブランチをとることが出来ました。
下町のグルメ片岡君の所にも同じフィセルを一本、前日に届けておいたのです。

2007年4月7日

酒樽屋 浜田夫人から漬物を頂く

隣町に住む浜田夫人の生活は都心部に住みながらの天然スローライフ。
たいがいの物は自分で作ってしまいます。

庭の真ん中に漬物樽がいっぱいの漬物樽小屋があります。
写真の沢庵は勿論、杉の漬物樽で漬けたものですし、
奈良漬も酒粕を「たるや竹十」の木製漬物樽に入れて作った自家製です。

奥に見えるのはそろそろ時期を終える「いかなご釘煮」です。(これには漬物樽を使用していません)

2007年4月6日

酒樽屋の「お八つ」 其の六

吉野の山奥から「たるや竹十」に吉野杉の材料が届き、運転手の方が奈良県吉野上市に立ち寄って、土地の名物「こばしのやき餅」を買って来てくれました。

京都の「焼き餅」の倍以上の大きさ。そして味も素朴で美味しい。
樽屋愛用の麦藁手の土瓶は五世六兵衛作

今日の「お八つ」は少々ボリュームがありました。