2011年7月31日

大黒正宗さんでの酒樽の菰巻き

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大黒正宗で有名な安福又四郎商店さんでは、酒が美味しい事で有名な石屋川付近の四軒の酒屋さん
すなわち仙介泉酒造さん、灘泉の泉勇之助商店さん、福寿の神戸酒心館の中で
唯一、ご自身の蔵の中で菰巻きが出来ます

ほかの蔵は、たるや竹十が一丁ずつ菰巻きに出かけなければならないので、
これではいけないと来月になったら、菰巻き合同講習会を三日連続で催す次第になりました。
練習用の菰(こも)と縄は用意しましたが、7人分の菰巻き用の道具を揃えるのが大変です。

左下の黒い物は肘や膝用のプロテクター。
想像以上の重労働なのです。

2011年7月27日

酒樽、醤油樽の三ツ輪掛け

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巻き上がった菰巻きの酒樽を輸送用に更にビニール袋で包み、
三ツ輪掛けという簡易梱包を施し中身の酒の種類と製造期日を表示した荷札を付けて、
ようやく出荷出来ます。

古い写真はヒガシマル醤油のコモ巻き風景ですが、こういう形態の荷造りを「裸荷」といい、
先に何度か紹介しましたコモ巻きの方法は「本荷(ほんに)」といいます。
その中間に「仮巻(かりまき)」という無印の薄い菰を簡単に巻く方式もありましたが、
現在は殆ど見られなくなりました。

このあたりの区別が混乱しているので、今のうちに整理しておかねばなりません。
殊に最近はあらかじめ蓋を抜いた酒樽の需要が増え、
鏡(酒樽の蓋)が見えるような昔はなかった特殊な巻き方などもあり尚更です。

巻いている酒樽の向こう側に少し見える完成品には、前述のような不安定な巻き方の際に、
菰を安定させる為に、更に一本黒い紐を結んで輸送中に菰がずれないように留意しました。
この紐はちなみに「豆樽(まめだる)」という一升や二升の小さな樽の菰巻きに使うビニール縄です。
「豆樽」の中身はガラス瓶、あるいはプラスチックです。かつては白磁の焼物でした。
菰をほどいても決して木製樽が出て来る事はありません。





2011年7月23日

酒樽の菰巻き 鏡開き樽編



大暑であります。暑い筈です。
この日は本来の藁による菰(こも)ではなく、ビニール菰(通称PP)を使いました。
本物の菰は長くて良質の物が手に入りにくくなり、
残念ながら、太い縄が途中で足らなくなり、急遽別の縄を繫いだので少々変です。
日を改めて正式な動画を公開します。

前回の一斗樽と違い、これは四斗樽なので、酒が入ると100kg近くになり、
大暑のような時期に四斗樽の注文がある事は稀ですが、酒樽最盛期の真冬でも、
クーラーを付けて、シャツ一枚になっても、まだ汗まみれという程の重作業なのです。



こも巻きと言えば、酒樽のそれより松の害虫駆除の方が知名度が高いのですが、
木の幹に菰を巻く古くから続く風習には余り効果がないことが最近判ってきたようです。

2011年7月20日

菰専門店による菰巻き指導

今日は何故か海の日で、世間では連休だそうですが、樽屋は営業しております。

全国で10軒程になった樽屋より菰屋さんは更に少なくて日本中に3軒だけです。
その中の一軒、老舗の矢野三蔵商店さんのプロによる巻き方紹介です。

 菰の巻き


撥(バチ) [バイ]とも言う


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樫の木で出来ており たたく、こする 作業を担う  縄は叩いて締める事により菰に馴染み より強く締める事ができる





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柔らかく粘りのあるグミの木を削り出して作ったもの 職人が自分の手に合った大きさ、形に仕上げている      現在はステンレス製の特注品を使用             長さ約30cm

2011年7月7日

酒樽に菰(こも)を巻く





酒樽を完全に菰(こも)で包んで、形を整えます。
本来は酒樽と菰の間に藁(わら)を入れて丸い形をつくったのですが、
最近は発砲スチロールの型を入れるので誰が巻いても同じように出来上がります。

蓋の部分は「口かがり縄」を使って編み込みます。
目出たさを表すために象亀甲模様に仕上げなければなりません。



2011年7月1日

木製樽の菰(こも)を解く



菰(こも)、薦(こも)とも書きます。
元々はマコモを使っていましたが、現在では藁(わら)を編んだ物を用いております。

吉野杉で作った一斗木製樽を菰(こも)で巻いてあったのですが、
菰は本来、灘から江戸へ酒樽を樽廻船で運ぶ際に樽と樽が直接当たらないようにする為の
緩衝剤だったのですが、せっかく青竹と川上村の吉野杉で出来た酒樽を藁(わら)で隠すのは忍びないので、
ハレの席では菰を解いて中の杉樽を見せて下さらないと酒樽屋としては、
杉樽を丁寧につくる甲斐がないというものです。