2010年9月2日

樽屋が行う最後の作業、「さし留め」

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完璧に出来上がった積もりの酒樽でも、酒を入れると思いもしない箇所から洩れ出す事があります。
この状態を「さし」と呼びます。
酒が「さす」すなわち、洩れるからです。「差す」とか「注す」と書きます。

こうなると蔵元の「樽場」から呼び出しがかかります。たいてい早朝です。
道具一式を携えて、酒蔵へ向います。

手前にある四つが先日、紹介した「虫食い」
左が「虫食い」を入れるために穴を開tけなければならないので錐
右は、その「虫食い」を叩き込むための「目打ち」
向こう側は、叩き込んで余分が残った「虫食い」を切り取る鑿(のみ)など。

変形の金具は和紙を使う時に必要な丸みの付いた金具。
その隣は「まさ」と呼ぶ、本来は杉の端材を使うものなのですが、
最近は強度を高めるためでしょう。「竹まさ」と言って、竹の切れ端を主に用います。

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一度は止まったと判断して帰る途中に電話があり、また別の場所から洩れ出した由。
大概の「さし」は「虫食い」と「和紙」で留るのですが、最近の暑さに酒樽も乾燥していまったようです。
和紙を洩れている隙間に差し込んで行くと少々の洩れや滲みを留める事が出来ます。

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「まさ」を箍(たが)と側板の間に差し込んで、箍(たが)の力を強くします。
余り強過ぎても「まさ」の隣の力が弱まるのため、この作業は微妙な力のバランスを必要とします。
本当の仕上がりは「まさ」が見えないように箍(たが)の奥に隠してしまうのですが、
説明し易いように表面で切断しました。





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