2009年4月15日

吉野杉を使った木樽の作り方 その6 箍(たが)を結う

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竹を割って、細長く加工した物を木樽の外周に合わせて結っていきます。
先ず、竹に丸みをつけて、箍(たが)を結い易くします。
この作業を「竹を殺す」と呼びます。
元に戻ろうとする竹を左手で、しっかり押さえておかねばならないので、力も必要ですが、
折れ易い竹を結う作業は充分な注意も要する工程です。

昔、酒樽のことを「結樽」と呼んでいた語源です。

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真っすぐな,竹を無理矢理丸くする訳ですから、簡単には出来ません。
おおよその形が出来た所で足で押して、真円に近い形に整え、「箍(たが)」を作ります。
更に、木樽の外径の沿わせるため、大きすぎる時は「引き」の、小さすぎると「戻す」作業を繰り返して丁度の大きさの「箍(たが)」を作ります。
樽太鼓の場合は小さくして、硬いものを、漬物樽や味噌樽のように口の開いた木樽の場合は、
少し緩めにする為,大きめに、酒樽のように蓋から洩れては行けない場合は中くらいという風に作る木樽によって「箍(たが)」の強さをそれぞれ微妙に変えますので、技術の違いが歴然と出て来ます。
この「引き」や「戻し」を怠ると良質の味噌樽、漬物樽、樽太鼓、酒樽が出来ません。

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画像の下の竹輪は完全に入った状態。
結いはじめる最初の部分(竹の根に近い太い所)を「元」といいますが、
「元」の下に、もう一回竹が来る結い方でないと「箍(たが)」の力は発揮出来ません。
この「元の下」が後でキーワードになって来ます。
反対側の先の部分は「末」と呼びます。
因に「胴輪」や「小中」の様に力がかからない箍(たが)は一回分、結いを省きます。

上の竹は樽の外周を測って結いはじめる状態、下は完全に樽に収まった状態です。
竹は横の力は弱くて、手で簡単に折れてしまいますが、縦の力は鉄より強いといいます。
実際に今でも、東南アジアでは建築物の足場に丸竹を使う程です。

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