2008年4月3日

MY FUNNY BIRTHDAY

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今日が酒樽屋の本当の誕生日です。
酒樽屋の十代後半はこのジャズ喫茶に終始しました。

この狭い空間で奇妙な人々との出会いがありました。
山本六三さんや渡辺一孝(未だ「考」ではなかった)さん達と知り合ったのも、この店でした。
コルトレーンやセシル テーラーがよくかかっていましたが、誰もジャズなんて聴いていませんでした。(一階の数人は除く)
新宿の風月堂は本来クラシック喫茶で早川義夫さんの曲によればバッハが流れていたそうですが、これも余り覚えておりません。


開店から閉店まで居座る客が多くて、遂に「追加注文」というバンビ特有のメニューが出来た程です。「追加注文」時代からバンビはつまらなくなりました。
中島裕之くん(のちの中島らも氏)が登場したのは、この頃です。
酒樽屋は、その後 東京の学校へ行ってしまうので、中島くんとは数回しか話したことはありません。
ところが酒樽屋の姓は明治になるまでは中島だったらしく、更に誕生日が同じ四月三日だという共通点が不思議で、一度ゆっくり話してみたいと思っているうちに彼は階段死してしまいました。
まことに残念です。

今はもうバンビーというジャズ喫茶もありませんし、マッチ箱に書いてある番号に電話をしても某保険会社に架かるだけです。
あの大きなJBLのスピーカーとマランツのアンプはどこに行ってしまったのでしょう?
何万枚のLPはどこに消えたのでしょう。



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2008年4月2日

このふたり 誕生日が同じというだけだけど

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生涯、煙草を離さなかった、セルジュ・ゲンズブール。


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かたや、喉頭癌からみごと復活した、忌野清志郎こと栗原清志くんの愛車。
盗難で有名になりました。
「オレンジ号」という名は色からではなく,イギリスのアンプメーカーの名称。
マツナガのフルカーボンフレームですから、重量6.8キロ(公式レースにはこれ以上軽い自転車はエントリー出来ません)
盗まれた時の写真を見るとその後、ホイールをSHIMANOからCAMPAGNOLOに変更した模様。

ゲンズブールは自転車よりオートバイクの方がお好きだったようで、
バルドーにも、ハーレーに乗せて、『ハーレーダヴィットソン』を歌わせてたなァ。
もし彼が「Rene Herse」という曲も作ってたら、もう少し長生きしていた筈。


この二人は何の関係もありませんが、どこか似ています。マージナルなところが。。。。。

2008年4月1日

漬物の季節です

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野菜の美味しい季節です。(冬野菜もおいしかったですね)

吉野杉で作った漬物樽で漬ける漬け物も格別です。
野菜から出る水分を木製の漬物樽が適度に吸い取り、代わりに新鮮な空気を漬物に入れてくれます。
プラスチックや陶器の入れ物と違って木製の漬物樽(つけものだる)は朝から晩まで樽そのものが呼吸しているのです。

勿論、出来上がった漬物の味も最高です。

酒樽の代表 甲付樽(こうつきだる)

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少々、しつこいようですが酒樽(さかだる)といえば、甲付樽です。それも四斗樽です。
明治、大正までは四斗の甲付樽(こうつきだる)ばかり作っていましたが、昭和になって、
一斗(コダル)、二斗(ハンダル)が主流に変わりましたが、平成も20年になりますと、
また、四斗樽(よんとだる)の良さが見直されてきました。



2008年3月8日

酒樽屋 贔屓の詩人の誕生日

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ロベール ド モンテスキュウ伯爵が1855年に生まれた日。

「さかしま」の舞台になったと言われる、モンテスキュウが住んでいたQuai d'Orsayの館を訪ねた時の写真です。

現在は館の半分が中国文化センターのような物になっていました。
他の彼の旧居と違い、当時の面影が微かに残っています。
残り半分はパリ市所有。

2008年3月7日

味噌樽(みそたる)の封印

%E7%9B%AE%E5%BC%B5%E3%82%8A1.JPG写真 沢の鶴資料館

清酒醸造用大桶の蓋の封印です。
桶板の板目が美しいですね。

画像は勿論、清酒醸造用の大桶ですが、味噌つくりの際も同じように蓋(ふた)と本体の味噌樽(みそだる)の間を良質の和紙を用いて封印します。
今頃の寒い時期に仕込んだ清酒を秋まで寝かせて充分醗酵するまで、この封印は決して取りません。 

%E7%9B%AE%E5%BC%B5%E3%82%8A%E7%B4%99.JPG 写真 沢の鶴資料館

目張り紙と言います。

昔は、二月三月くらいになると何人もの古紙屋が大八車に山盛りの古紙を積んで灘五郷を回ってきたものです。
上に載っている「こより」状の紙は、今でも使いますが、漏れ(「さし」と言います)を止めるための必需品です。
漏れる部分に埋め込むと和紙の力で漏れが止まります。
酒樽(さかたる)にも味噌樽(みそたる)に漬物樽(つけものたる)にも使います。


家庭で仕込む味噌樽(みそたる)も、このように和紙で封印するといいようです。



2008年3月5日

酒樽屋の最高級品 甲付樽(こうつきだる)

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酒樽(さかだる)で一番よいものといえば甲付樽(こうつきだる)です。

と言うよりも昭和の中頃までは酒樽(さかだる)には甲付樽(こうつきだる)しか使いませんでした。
しかも、戦前は四斗樽(よんとだる)すなわち72リットル、一升瓶で40本分のものだけが流通していました。
日本酒と最も相性がよく、しかも見た目が青竹に白と清々しく、しかも酒が洩れにくい性質の部分なので珍重されたものです。
これをコモで巻いてしまうのは大変もったいないことです。
当時は酒樽(さかだる)が届いたら、すぐにコモは廃棄して中の酒樽(さかだる)を出したものです。


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吉野杉の中でも最良の川上産の材料、その中でも原木で一箇所だけしかとれない部分、
外側が白く内側が赤い箇所を甲付(こうつき)と呼びます。
それでは、その内側の赤い部分(「赤味」といいます)はどうしたかというと「醤油樽」に使っていました。
また、外側の白い部分は「木皮」(こわ)といって柾目に割り寿司半切に使います。
半切には向かない白い部分が少ない原木の場合は吉野地方で箸に加工されてきました。

醤油を樽詰しなくなった昭和36年以降は赤味材も酒樽に使うようになり、甲付(こうつき)は特級酒(今の特撰)、赤味(あかみ)は一級酒(今の上撰)と差別化しました。

白い部分は酒樽(さかだる)の蓋(ふた)に、赤い部分は底にも使います。


  


2008年3月4日

酒樽屋の「虫養ひ」 其の参

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酒樽屋は100キロ位の四斗樽を運んだりもしなければならないので、昼食と夕食の間に何か食べないと仕事になりません。今日は・・・
「駅そば」です。

不思議な食べ物です。
��R姫路駅が発祥の地だそうで、関西特有の物でしょう。

敗戦直後の昭和24年10月、物資の統制から小麦粉が手に入りにくくなって、
うどんを駅で出す事が出来なくなり、最初こんにゃく粉の麺を代用していたのが、痛み易いので、
ラーメンの麺を入れてみたら評判が良いので定着したのだそうです。
当時、器付きで一杯50円、器を返すと40円。(結構、高級品ですね)
今でも一杯400円です。
トッピングはてんかすとネギだけですから、今も高級品かも・・・

旧年まで350円だったのですが、ここのところの小麦の高騰には逆らえなかったようで、
昭和の食糧難より、現代の食糧事情の方が深刻なようです。



栄食堂
神戸市灘区岩屋中町5-1-10
��78-882-4590

��:40~23:00 年中無休

ドライバーにとって嬉しいのは、店内に駐車違反取締の方々が来られた時のために,
店前道路を映し出すモニターがあること。

2008年3月3日

特製の菰樽と塗枡

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有馬の旅館から依頼があって、パーティー用に特別な桃色の菰(こも)をつくりました。
四斗樽の鏡開き用です。(桃の節句だからという訳ではありません)
枡もロゴ入りの特製を別注しました。
樽屋としては、青竹の見える酒樽で鏡開きをしていただきかったのですけれど、お客様の要望は「コモダル」だったので、仕方なく一日がかりで、「印」を描きました。


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2008年3月1日

吉野杉の漬物樽で沢庵を漬ける

%E5%96%9C%E5%A4%9A%E5%A4%A7%E6%A0%B9.jpg 写真 喜多章

三月になりましたが、まだまだ寒い日が続きます。
某日、京都のさる塔頭から沢庵を漬けたいからと四斗漬物樽二丁の依頼がありました。
電話でご注文をいただいたのですが、その折に「ところで四斗で大根が何本位漬けられるのですか」という質問を受けました。
樽屋のおやかたは沢庵を漬けた経験がありません。
大根を縦に突っ込んだ様子を想像して、「多分、10本くらいでしょう」と答えたら、呆れられ「ああ、もう(質問の答えは)結構ですから、漬物樽をよろしくお願いします」と言われてしまいました。

樽屋の女房に訊いても全然知らないとのこと。
慌てて近所のご婦人方に尋ねに行くと、即座に答えが返ってきました。
一斗樽で20本、二斗樽で50本、四斗樽で80本くらい。持ち運びする事も考えれば二斗樽が一番、と教えてもらいました。

お陰で最近は、お客様に尋ねられても即座に答えられるようになりました。

%E6%BC%AC%E7%89%A9%E6%A8%BD.JPG 二斗樽に一斗樽を入れたところ

沢庵は大徳寺の澤庵 宗彭が考案したという説もありますが、単に「たくわえ漬け」が転じたものでしょう。

ところで、食堂などで沢庵(おこうこ或いはおしんこ)が出てくる時、必ず二切れです。
これは一切れでは「人斬れ」三切れでは「身斬れ」を思わせ縁起が悪いので二切れなのだそうです。


2008年2月26日

酒樽屋のつくる味噌樽 其ノ二

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最近では稀になりましたが、神戸でも年に何度か雪が積もります。
白い車が洗車しなくても、もっと白くなりました。

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寒い時期は味噌つくりや漬物に丁度よい季節です。
写真は「味噌樽の大」18リットル(一斗)入り。約15キロの味噌が出来ます。
この半分の物と、この倍の物の三種類があります。
味噌樽の右の蓋は上蓋(うわぶた)と押し蓋(おしぶた)です。
地方によって味噌の作り方は様々なので、味噌樽を買って下さった方には蓋(ふた)は、この2枚を付ける事にしました。

味噌樽(みそだる)は本来、桶屋さんが作るものでしたが、桶の手法でこしらえると高価になるので、
樽づくりの手法を工夫して、樽屋製作の味噌樽を考えました。
材料は吉野杉の板目を用います。

味噌樽や漬物樽に柾目を使うと一見、美しく見えますが木目から水分が滲み出すので必ず板目を使います。

味噌樽も酒樽と同じで、なぜか箍(タガ)の数が七本と決まっているのです。




2008年2月25日

スコセッシ アカデミー賞2部門受賞

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アカデミー賞が近づいています。
かつて,7回もノミネートされながら、無冠だったマーティン・スコセッシが昨年79回目にようやくオスカーを取りました。
酒樽屋(さかだるや)も贔屓の映画監督です。
自分でも信じられない様子が映像から伝わって来ます。

本名をMartin Marcantonio Luciano Scorseseという位でシチリア移民の両親からN.Y.で生まれました。
故郷イタリアへの憧憬が強いのは当然ですが、早近のブルースへの熱の入れ方は尋常ではなく、
各ブルースCDも「スコセッシの」と帯に入れると売上がのびるのだそうです。(ほんとうです)
先日のストーンズ映画に続いて、ミックの製作による「The Long Play」も決定しました。
キースとミックの友情をテーマにしたものが想像されます。
楽しみだなあ。
なにしろ、20代にあの「ウッドストック」を編集した人ですから・・・・・・

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こんな良いDVDが絶版だそうです。


2008年2月8日

酒樽屋(さかだるや)が待ち遠しい映画は・・・・・

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今年が第58回目になるベルリン国際映画祭が、2月7日(現地時間)夜、開幕。
オープニング作品に選ばれた[SHINE A LIGHT]の上映に合わせ、マーティン・スコセッシ監督とローリング・ストーンズの4人が現地入りし、記者会見とオープニング・セレモニーに登場。

世界的スーパースターとあって、セレモニー前に行われた記者会見は、240台ものカメラが並び、200人以上の記者が場内からあふれるという、前代未聞のスタート。
ストーンズの熱狂的なファンであるスコセッシが、アカデミー賞受賞スタッフを集め、2006年10月29日と11月1日に行われたビーコンシアターでのステージを舞台裏まで、密着した本作。

「ストーンズの音楽は僕の人生の一部。自分の映画の根底に流れるもの、インスピレーション。40年前にライブを観てからずっと、ストーンズの映画を作りたいと思っていた。彼らの曲はタイムレス。この映画を作ることで若返ったよ」とスコセッシは明かす。
監督曰く、ドキュメンタリー作品が国際映画祭のオープニングを飾るのは初めて。

そんな本作について「ドキュメンタリーではなく、パフォーマンスの瞬間をとらえた琥珀のような、クリエイティブな作品。映画をやりたいとずっと思っていた」とミック・ジャガー。
キース・リチャーズの口からも「スコセッシが僕らの音楽を多用してきたから、彼との絆が生まれたんだ」と語られ、監督との長きにわたる相思相愛が明かされた。


続いてのオープニング・セレモニーでは、彼らも黒のスーツに衣裳替えし、メイン会場のレッドカーペットへ。
こちらも300人もの報道陣に加え、会場周辺には5,000人を数えるファンが詰めかけた。
「ストーンズ!」「ストーンズ!」コールの嵐が巻き起こる中、メンバーが姿を現すと、会場は一気にヒートアップ!
満員の観客席はスタンディング・オベーション。
ダイアン・クルーガーら審査員までもがファンの顔となり、あらためて彼らの圧倒的な人気が実証された。
さらに、この日行われたプレス試写にても、急遽別スクリーンが設けられるなど、全てにおいて異例のスケールで映画祭は幕を開けたらしい。

��.スコセッシはザ・バンドの「ラスト ワルツ」、ボブ・ディランの「ノー・ディレクション・ホーム」、先年の「ブルース」と音楽映画を撮ってきた監督、この次はジョージ・ハリスンの伝記映画を企画中とか。
ミックやキースと同じ65歳・・・スコセッシが普通でミックが若すぎるのかな。


厳寒を吹き飛ばす熱い風をベルリンに送り込んだ[SHINE A LIGHT]
一番の見所はバディ・ガイとミックのセッションでしょう。
日本公開は、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて(未定)。

上映に先駆けてサントラCDが近日、パラマウントから発売。
これを機にストーンズ、パラマウントに移籍の噂もあり。

2008年2月6日

「めでたい輪」完売御礼

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銀座松屋でも完売 !! との報が、先日届きました。
昨年末、大阪梅田阪急と東京銀座松屋に並んだたるや竹十謹製「めでたい輪」です。

梅田阪急でも会期中売り切れて、お客さまにお待ちいただいたのですが、銀座松屋でも同様、たくさんの方にご予約いただきました。
樽屋の12月は殊のほか忙しく、追加の「めでたい輪」がなかなか製作できず、ご迷惑をおかけいたしました。

今年も暮れに両デパートで販売させていただく予定です。

写真は親方が面白がってつくったミニチュア版「めでたい輪」
これも思いがけず、お買い上げいただきました・・・

まことにありがとう存じました。

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2008年2月3日

酒樽屋がつくる味噌樽(みそだる)

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寒い日が続きます。手づくりの味噌(みそ)の季節です。
木樽を使った味噌(みそ)づくりには、一年で一番寒い今頃が一番適しています。

長い間仕込む味噌(みそ)のために、味噌樽(みそだる)には杉の板目材を用います。
樽屋(たるや)ではなく桶屋(おけや)が作る味噌樽(みそだる)も板目です。
柾目では水分が滲み出てしまい、カビや虫の原因になるからです。

また、味噌樽(みそたる)は出来るだけ空気に触れる部分を少なく作るので写真のように
酒樽(さかだる)よりも細長い形につくります。

「たるや竹十」がつくる味噌樽には上蓋(ふた)と押し蓋(ふた)
更に上蓋(ふた)と樽(たる)の隙間を封印する和紙が添付されます。
また、地方によっては封印用に熟成した酒粕を使うので、これを添えることも出来ます。

杉の木も真竹も、一月の終わりから二月の初めの今頃の物が一番、味噌樽(みそたる)つくりに適しています。

何故か味噌樽(みそだる)に巻く箍(タガ)は酒樽(さかだる)同様、七本なのです。